和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

にっぽん縦断こころ旅。

2021-01-06 | 産経新聞
新聞は産経新聞を取っているのですが、
新聞を読んでないなあ。ということで、
産経新聞のオピニオン欄「正論」の
昨日1月5日の平川祐弘氏の文を読む。
うん。「年頭にあたり」とあるので、
年頭オピニオンのシリーズのお一人
として書かれておられるようです。
題して「日本における神道の行方考える」。

うん。平川祐弘氏は1931年生まれですから、
今年は90歳。文章は若々しくNHKBSの
「にっぽん縦断こころ旅」への言及が
鮮やかな印象を残してくれます。
それは、最後に書かれているのでして、
そのまえに、ここを引用してから

「私は優等生タイプだったから、敗戦後、
神道がよくないように教えられるや、敏感に従った。
 ・・・・・・・
しかし、人の心の中に半ば眠っている宗教感情こそ、
実は深く根ざしたなにかである。無意識であるだけ
に逆に根深い。それが人生の大事な瞬間に目覚める。

神道は時の流れと結びついた宗教感情で、
季節の命の営みの宗教でもある。
初日の出に覚える胸の高鳴りが、日本の民の宗教心なのだ。
その証左に歳時記には新年に天神地祇(てんじんちぎ)に
まつわる句が多い。」

はい。これが平川氏の文の中頃にありました。
後は、平川氏の文の最後を、おもむろに引用してみます。
うん。わたしはこれを読めただけで、産経新聞を購読した
甲斐があったと、この一年思っているだろうなあ(笑)。
さて、この文を読まなかった方々のために、引用してみます。

「私は自宅から徒歩で参宮橋、そこから西参道を経て、
参拝後、南参道から原宿へ出て代々木公園を抜けて帰宅する。
卒寿を迎える身には大散歩で、気軽に長旅に出ることはない。

そんな老体は、テレビで火野正平氏の自転車の
『にっぽん縦断こころ旅』を見、一緒に全国を旅したつもりでいる。

NHKの関係者がどこまで自覚しているか知らないが、
あの一行は自転車で日本を実は巡礼している。
その尋ねる先は神社やお寺の庭、海辺、大樹、山頂、小学校など、
日本人の心のふるさとをたどるが、大和島根には地霊の働きがある
のか、その行く先の多くが神道ゆかりの地である。

日本人の心の行方はどこにあるのか。それは自転車をこぐ人に、
往時の思い出を手紙で打ち明ける人々の胸の中にある。

その人たちのいまは亡き人々をしのぶ思いが、
自転車をこぐ人にも、それを見ている私たちにも伝わる。
その共感が体験されることが尊い。

松尾芭蕉の『奥の細道』にも神道の巡礼の面影がある。
人生の旅路を踏みしめていくとき、光を浴びた瞬間、
畏敬の念を覚え、日本のこころを思いもかけず
分かち持つ折がある。神道は生きている。
  あらたふと青葉若葉の日の光      」


平川祐弘氏が一日でも長く生きて頂けるよう、
そして、今年も健筆で語りかけて下さるよう、
そんな一年でありますよう、願っております。

言葉でもって2021年お年玉をいただいたような、
ほっとするような、うれしい心持になりました。
新年のはじまりの、その言葉の、おすそ分け。
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