この機会に「不思議の国のアリス」を買うことに。
「不思議の国のアリス・オリジナル」(書籍情報社・2002年)。
これが古本で、244円+送料350=594円。
帯から引用すると
「『不思議の国のアリス』のオリジナル原本、
『地下の国のアリス』を完全復刻‼
ルイス・キャロルの直筆による、
大英図書館秘蔵の一冊を解説・全訳付きで‼」
わたしが確認したかったのは、
物語のはじまりの数行でした。
「アリスはだんだん退屈になってきました。
土手の上にお姉さんと並んですわっているのですが、
何もすることがないのです。一度、二度、
お姉さんの読んでいる本をのぞいてみたけれど、
その本には絵もなければ会話もありません。
『いったいなんの役に立つのかしら?』
とアリスは思いました。
『絵も会話もない本なんて』 」
はい。ここを引用して、これでわたしは満足。
さて、今回の古本は函入で、一つの函に二冊。
一冊が、ルイス・キャロルの手書きの原本。
その絵も、ルイス・キャロルの手書きです。
ここは、帯の文を引用することに。
「『不思議の国のアリス』の始まりは、たった一人の
少女のために作られた手作りのプレゼントブックでした。
1864年のクリスマス、若き数学教師ルイス・キャロルは、実在の
少女アリス・リデルに、一冊のきれいに彩色した本を贈りました。
この本こそ、名作『不思議の国のアリス』の原型となった、
史上最高のプレゼントブック『地下の国のアリス』だったのです。」
はい。一冊は原型のままでした。
もう一冊は日本語版なのでした。
日本語版には、黒柳徹子さんが「はじめに」を書いてる。
そこから、この箇所を引用。
「アリスは、本当に美しい少女でした。・・・・
10歳の時にしかない美しさを。10歳の少女が持っている
不思議な魅力が、世界を魅了することになったのです。
10歳の少女の感受性やユーモアや色んなことの理解力が、
どれくらいのものか、私には、よくわかります。
それは、私が書いた『窓ぎわのトットちゃん』が、
その頃の年だからです。 ・・・・ 」(p30)
さてっと、アリスのセリフに
『絵も会話もない本なんて』とありました。
不思議の国のアリスが、出版される際に、
ルイス・キャロルの絵は、当時評判の高かった『パンチ』
の画家のジョン・テニエルの絵にかえて出版されました。
本を読まないけれど、不思議の国のアリスといえば、
すぐにでも思い浮ぶ絵は、このジョン・テニエルのものです。
そのよく知られるジョン・テニエルの絵を見た時のわたしは、
その完璧な挿絵に、跳ね返されるような違和感がありました。
本も読まないわたしは、挿絵からもはねつけられたわけです。
いまになって、原型のアリスの本をひらくと、なんとも、
ルイス・キャロル自身の挿絵が、身近で馴染んで見えます。
さてっと、アリスです。
『いったいなんの役に立つのかしら?』
『絵も会話もない本なんて』
うん。これは実在のアリス・リデルが
語った言葉なのだろうなあ。そう、わたしは思います。
そしてね。『会話もない本』に嫌気がさした私は、
江戸ことば・京都ことば・大阪ことばへと、
いまごろになって、やっと、興味の触手が伸びるのでした。