和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

ピチクリ ピイ。

2022-07-30 | 本棚並べ
まど・みちお『風景詩集』(かど創房・昭和54年)に
詩「もうすんだとすれば」がはいっておりました。

この詩集の、装幀画=まど・みちお。
詩だけでは、現わせきれない世界が、
自身の挿画にも展開されるのでした。

「YAMAGUCHI MAO 山口マオ作品集」(玄光社・2022年7月19日)
というのを手にしました。そこに2ページの対談が載ってる。
葛西薫×山口マオ。ちなみにマオ猫といえば気づく方がいるかもしれない。

絵本の画を、マオさんは描いている。
いきおい、絵本の話になっておりました。

マオ】 ・・・・絵本は、いいものを作りたいという  
      情熱がないと続けられないですね。

葛西】 芯から絵が好きじゃないとね。

マオ】 そうですね。絵本は誰でも出来るものではなくて、
    書き手の気持ちにならないと描けない。

    かと言って、逆にサービスをしすぎても、
    説明しすぎてもだめでしょうね。
    少し不器用なくらいの方がいいのかも。
    僕はどちらかと言えば不器用なほうです。

   ・・・・・・・・・・・

マオ】 ・・・・特に、いい文章だと、読んでいるうちに
    絵が思い浮かんで来るんです。

葛西】 それはすごい話だなあ。
    確かにいい文章やいい言葉に出合うと、
    僕も絵が生まれますね。言葉に触発されるというか、
    言葉が醸す空気なんでしょうね。
                    ( p117 )


この夏の私は、初山滋に惹かれ、彼が描いた絵本なども
気になれば、ポツリポツリとネット古本で購入してます。
つい最近手にしたのは、函入りでした。
フレーベル館「新しい子どものうた3 ことりのうた」(1971年)
別冊として楽譜集がついている。
各ページ見開き2ページに歌の活字があり、どの歌の絵も初山滋。
もちろん、表紙絵・初山滋。

この本の歌を、ならべておきます。

 ことりのうた・めだかのがっこう・おはながわらった
 みつばちぶんぶん・ぶらんこ・もりのよあけ・おほしさま
 トマト・ちいさいあきみつけた・こなゆきこんこ・こもりうた。

はい。各見開きごとに、ちがう絵の初山滋。
うん。どういったらよいのか。作詞者が何よりもこの絵の最初の読者。
そういいたくなるような、歌と絵とで完結した世界が醸し出されます。
その緊密な、歌と挿画のコラボを、いっしょに楽しませてもらう一冊。

竹迫祐子編「初山滋」(河出書房新社・らんぷの本・2007年)。
そのはじめに、初山滋の言葉がありました。そのはじまり。

「 私は、自分の仕事のすべてを童画にささげているが、
  自分の仕事を窮屈にかんがえてはいない。

  私は自分の絵の中に、たのしくねっころがって遊んでいる。
  
  時には絵の中に甘えた自分の心が、子供のように
  茶目振りを発揮していることがある。かと思うと・・・・・

  ・・・・・
  絵を描いている私の心は、童心の世界を漫歩しているのだ。
  これは実在の子供の世界とは違う。なんというのか・・・

  言葉では言いあらわせぬ絵の中に甘え切れる心、
  私は、いつもその用意をして筆をとる。・・・・     」


非力な私に、本「ことりのうた」の、絵を説明できないのが残念。
せっかくなので、歌詞「ことりのうた」の一番を引用し終ります。

     ことりのうた    与田準一

    ことりは とっても
    うたが すき
    かあさん よぶのも
    うたで よぶ
 
    ピピピピ ピ
      チチチチ チ
        ピチクリ ピイ
  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする