和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

墓碑銘を読みあげ

2024-09-24 | 詩歌
お墓参りというと、
あらためて、アイさんのことが思い浮かびます。

吉村昭著「三陸大津波」(文春文庫)の
第二章「昭和八年の津波」のなかに、「子供の眼」があります。
そこに、尋常小学校6年 牧野アイさんの作文があったのでした。

東日本大震災のあと、
森健著「『つなみ』の子どもたち 作文に書かれた物語」(文藝春秋)
をひらいていたときに、そのアイさんとの出会いが語られておりました。

ここには、娘さんの栄子さんの語りを、あらためて引用しておきます。

「 栄子の記憶には、アイのこんな習慣が深く刻まれている。

『 母は津波を忘れないために、夜寝るときには、
  洋服をきちんと畳み、着る順番に枕元に置いておく。
  玄関の靴は必ず外向きにして揃えておく。
  避難の際は赤沼山への道を決めておく。

  また、お盆のお墓参りでは必ず墓碑銘を読みあげ、
  誰が津波で死んだかを口にしていた。

  その振る舞いも母自身への津波への教訓であると同時に、
  子どもたちへの防災教育でもあったのです 』

               ・・・・・・    」(p250)


うん。今回この箇所を引用していたら、
戦後にシベリアへ抑留された過去を持つ、
石原吉郎氏の短い詩を思い浮かべました。


      世界がほろびる日に    石原吉郎


    世界がほろびる日に
    かぜをひくな
    ビールスに気をつけろ
    ベランダに
    ふとんを干しておけ
    ガスの元栓を忘れるな
    電気釜は
    八時に仕掛けておけ
コメント (2)
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