和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

幼児口遊(クチスサミ)

2024-11-16 | 詩歌
「日本わらべ歌全集14上」(柳原書店)は、「三重のわらべ歌」。

普段は4ページの、地域新聞をとっております。
わらべ歌の関連で、お手玉の記事が気になりました。
そこには、手作りのお手玉を贈ったとあります。

「 中学生の頃から、趣味で編み物や洋裁などをしている・・・
  現在も月に1回・・編み物サークルなどで活動しながら、
  手芸をたしなんでいる。

  お手玉は、洋服作りの過程で出る端切れを有効利用しようと
  作ったもので、『 いろんな人に昔の遊びに親しんでもらえたら 』
  という思いから、小学校や福祉施設への寄贈を思いついたという。

  今回は、地元の〇〇小学校と孫が通う学校、
  地域の老人ホームの3カ所に100個ずつ贈るため、
  計300個作った。・・・    」
             ( p4  2024年11月13日 房日新聞 )

三重のわらべ歌のなかに、お手玉の説明がありました。

「 お手玉は、手まりと共に女の子の遊びの双璧だが、
  そのルーツは『 いしなどり 』(擲石・投石)といって、
  数個の小石を撒き、その中の一個を上にあげている間に
  撒いた石二、三個をさらえ、落ちて来た石も一緒につかみ取る   
  遊びであった。

  この遊びの歴史は古く、赤染衛門の『 栄花物語 』にも
  見えるほか、江戸期には喜多川守貞の『 守貞漫稿 』にも
  『 いしなご 』として述べられている。

  現在のように布の小裁(こぎれ)を縫って作るようになったのは
  室町以降でその呼び名も、関東は『 お手玉 』、
  上方は『 おじゃみ 』『 おこんめ 』が一般的だが、
  『 石ナンゴ 』(東国)、『 ナナツゴ 』(越前)『 ヲノセ』(伊勢)
  などいろいろある。・・・  」
        ( p88 「日本わらべ歌全集14上・三重のわらべ歌」 )


せっかく、ひらいたので、引用をつづけます。

         子供は風の子   ( 寒気 )

    子供は風の子 じじばば火の子
      ( 繰り返す )   
                 ( 亀山市南崎町 )

  「 『 子供は風の子』の唱え文句は、
    天保2年序にある『 尾張童遊集 』(小寺玉晁著)の
    『 幼児口遊(クチスサミ) 』の項にも出ている。
    これもまた古い伝承をもっている。      」( p156 )

 
 この本のあとがきは服部勇次氏。この全集について語っております。

「  『日本わらべ歌全集』全27巻39冊の第1回配本は
   尾原昭夫氏の『 東京のわらべ歌 』と
   高橋美智子氏の『 京都のわらべ歌 』が
   昭和54年も押しつまった12月、同時に刊行された。

   あれから早くも13年になる。・・・・
   当初、全国47都道府県を網羅して伝承わらべ歌を採集調査し、
   しかも楽譜もつけるという計画に、果たして全巻無事に
   完成できるかどうかと危惧した・・・・

   今回刊行される『 三重のわらべ歌 』は第38回目の配本であり、
   あと完成まで『 山口のわらべ歌 』一冊になったという。
    ・・・・・・・・・・・

               平成3年11月    服部勇次   」

          つづれさせ    ( こおろぎ )


       つづれさせ つづれさせ
       ぼっこさせ ぼっこさせ  
              ( 安芸(あげ)郡芸濃(げいのう)町 )

   注:  つづれ = 綴れ。ぼろ着物。
       ぼっこ = ぼろ着物をいう方言。  

    「 こおろぎの鳴き声の聞きなしである。
      こおろぎが鳴き出すと秋も深まり冬も近い。
      綴れを刺して冬支度をする季節になったと
      教えているのだという。         」( p168 ) 


 
コメント
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