和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

船は白金 艪(ろ)は黄金

2024-11-25 | 詩歌
土曜日の夜から熱が出て38.4。何にもする気がおこらず、
寝ていたら、腰が痛くなってくるし・・・。

「日本わらべ歌全集19上」は「広島のわらべ歌」です。
手まり歌に惹かれました。そこを引用。

        長吉でぶちに(でぶちは、出額で「おでこ」のこと)


     セッセのセ 
     長吉でぶちに 笹植えて
     その笹折んな 枝折んな
     上(かみ)へ参ろうと 出かけたら
     後(あと)からお小夜(さよ)が 泣いてくる
     泣く涙は どこへ行く
     泣く涙は 船に積む
     船は白銀(しらがね) 艪は黄金(こがね)
     ヤーレ押せ押せ 都まで
     都みやげに 何もろた
     都みやげに 帯もろた
     帯をもろがた まだ絎(く)けぬ
     絎けてたもれや 針三本 針三本

             ( 安芸郡音戸町・倉横町 )


「 おでこへ笹を植えるという奇抜な発想でうたい出す
  愉快な手まり歌。・・・・

  『 船は白銀、艪は黄金 』以下は、
  『 淋敷座之慰 』( 延宝4年成 )にある
  鞠もの歌から出たものらしく、
  東北地方から九州鹿児島まで、ほぼ類似の歌詞でうたわれている。
  
  江戸時代より伝承されてきた手まり歌の名歌として評価が高い。 」
                            ( p32 )


ここを読んだときに、私に思い浮かんだんのは、
西條八十の『 かなりや 』でした。
詩集『砂金』に載っているようです。

        かなりや   西條八十

     ――唄を忘れたカナリヤは、後の山に棄てましょか。
     ――いえ、いえ、それはなりませぬ。

     ――唄を忘れたカナリヤは、背戸の小藪に埋けましょか。
     ――いえ、いえ、それもなりまぬ。

     ――唄を忘れたカナリヤは、柳の鞭でぶちましょか。
     ――いえ、いえ、それはかはいそう。

     ――唄を忘れたカナリヤは、
       象牙の舟に、銀の櫂(かい)、
       月夜の海に浮かべれば、
       忘れた唄をおもひだす。

             (p55 「詩集西條八十」ハルキ文庫 ) 

私には、西條八十の『カナリヤ』の詩の中で、どうして
『 象牙の舟に、銀の櫂 』へと結びつくのだろうかと
今まで不思議に思っておりました。わらべ歌の文脈では、
各行での『 長吉でぶちに 』がごく自然に惹かれます。

コメント (2)
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