「日本わらべ歌全集24」(柳原書店)は、「佐賀長崎のわらべ歌」でした。
各巻県ごとに、採集者・編者がおられて、佐賀は福岡博。
福岡氏は、はじめに「佐賀わらべ歌風土記」を書いておりました。
そこに出てくる指摘が印象深い。
「 ・・・子供の言葉は叫び声に近い。
それで自然発情的な叫びやかけ声に類するものが目につく。
・・・呼んだり、呼びかけたりするものが多い。 」
その次でした。
「 手まり歌、羽根つき歌、お手玉歌はもちろん、
年中行事の歌にしても、すべて動作と共にあるもので、
この点、いわゆる童謡とはその趣を異にしている。
つまり遊びの要素である行動や動作を除外しては
成立しない要素をもっていることがわかる。・・・ 」(p20~21)
こうして、採集・採譜されたわらべ歌が引用されてゆくのですが、
その歌への説明も具体的でわかりやすかったのでした。
まずは、「手まり歌」の説明からはじめてみます。
「 古いわらべ歌の中で、手まり歌はもっとも美しいリズムに満ち、
いまうたっても生き生きとした魅力を持っている。
明治の頃まで手まりといえば、たいてい自分の家で作ったもので、
赤いおもとの実のシンを抜き、白い灯芯で巻き包み、
木綿糸を巻きつけていき、さらに赤、青、黄などの色糸で、
花や麻の葉形の模様をかかった。
そのころは佐賀でも、木綿の布を織る家が多く、
くず糸がたくさん出ていたせいもあった。
遊び方は、いまでこそ土間や板の間でつくのが普通であるが、
そのころはお手玉のように手のひらでうける遊び方(揚げまり)
があり、歌にも、つき歌とあげ歌の二通りがあった。
もっとむかしは、布袋に小豆などを入れたお手玉のことを
≪ 手まり ≫と呼んだそうで、
歴史的には あげ歌が古いとされている。・・ 」(p26)
それでは、はじめに引用されてる「 手まり歌 」を引用しましょ。
からうめからだけ ( 手まり歌 )
からうめ からだけ
からすが一匹 とんで渡った
この手まりゃ だれにあげましょ
花のみちこさんに あーげましょ
よう受けとんさいの
よう受けとりました ( 佐賀市 )
「 『 からうめからだけ 』は、手まりをつく人は一人で、
最初はみんな合唱で『 ・・・だれにあげましょ 』
までうたったあと、ついている人が、
次につかせたい人の名をあげて、
『 花の〇〇さんに、あーげましょ 』と
一人でうたい、ポンと手まりを高く上げる。
指名された人は、
『 よう受けとりました 』と受けとり、
また最初から繰り返す。 」(~p28)
はい。「日本わらべ歌全集」(柳原書店)は
ただ、わらべ歌を並べてあるだけでなく、
それにまつわる子供遊びが詳しく描写されています。
全国に同じわらべ歌はあるのですが、
各県の方の歌解説は人さまざまです。
そうした何気ない箇所に惹かれます。
ということで、今月中に残りの巻をひらいてゆくことに。