和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

よう受けとりました。

2024-11-09 | 詩歌
「日本わらべ歌全集24」(柳原書店)は、「佐賀長崎のわらべ歌」でした。
各巻県ごとに、採集者・編者がおられて、佐賀は福岡博。
福岡氏は、はじめに「佐賀わらべ歌風土記」を書いておりました。
そこに出てくる指摘が印象深い。

「 ・・・子供の言葉は叫び声に近い。
  それで自然発情的な叫びやかけ声に類するものが目につく。
  ・・・呼んだり、呼びかけたりするものが多い。  」

その次でした。

「 手まり歌、羽根つき歌、お手玉歌はもちろん、
  年中行事の歌にしても、すべて動作と共にあるもので、
  この点、いわゆる童謡とはその趣を異にしている。
  つまり遊びの要素である行動や動作を除外しては
  成立しない要素をもっていることがわかる。・・・  」(p20~21)

こうして、採集・採譜されたわらべ歌が引用されてゆくのですが、
その歌への説明も具体的でわかりやすかったのでした。
まずは、「手まり歌」の説明からはじめてみます。

「 古いわらべ歌の中で、手まり歌はもっとも美しいリズムに満ち、
  いまうたっても生き生きとした魅力を持っている。

  明治の頃まで手まりといえば、たいてい自分の家で作ったもので、
  赤いおもとの実のシンを抜き、白い灯芯で巻き包み、
  木綿糸を巻きつけていき、さらに赤、青、黄などの色糸で、
  花や麻の葉形の模様をかかった。
  そのころは佐賀でも、木綿の布を織る家が多く、
  くず糸がたくさん出ていたせいもあった。

  遊び方は、いまでこそ土間や板の間でつくのが普通であるが、
  そのころはお手玉のように手のひらでうける遊び方(揚げまり)
  があり、歌にも、つき歌とあげ歌の二通りがあった。

  もっとむかしは、布袋に小豆などを入れたお手玉のことを 
  ≪ 手まり ≫と呼んだそうで、
  歴史的には あげ歌が古いとされている。・・  」(p26)

それでは、はじめに引用されてる「 手まり歌 」を引用しましょ。

       からうめからだけ  ( 手まり歌 )

     からうめ からだけ
     からすが一匹 とんで渡った
     この手まりゃ だれにあげましょ
     花のみちこさんに あーげましょ
     よう受けとんさいの
     よう受けとりました        ( 佐賀市 )

「 『 からうめからだけ 』は、手まりをつく人は一人で、
  最初はみんな合唱で『 ・・・だれにあげましょ 』
  までうたったあと、ついている人が、
  次につかせたい人の名をあげて、
  『 花の〇〇さんに、あーげましょ 』と
  一人でうたい、ポンと手まりを高く上げる。
  指名された人は、
  『 よう受けとりました 』と受けとり、
  また最初から繰り返す。          」(~p28)

はい。「日本わらべ歌全集」(柳原書店)は
ただ、わらべ歌を並べてあるだけでなく、
それにまつわる子供遊びが詳しく描写されています。
全国に同じわらべ歌はあるのですが、
各県の方の歌解説は人さまざまです。
そうした何気ない箇所に惹かれます。

ということで、今月中に残りの巻をひらいてゆくことに。
コメント
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