京都関連の古本を買っていると、
京都の料理の本に、どうしても出あう(笑)。
京都の庭園の本とか、
京都の料理の本とか、
買わないようにする。
う~ん。
それでも、ちょっとは買ってみる。
「京のおばんざい」(光村推古書院・2002年)は、
古本で300円でした。
その「12月」のページをひらくと、
「堀川ごぼうと金時にんじん」と題する2頁の文。
このまえ見た写真集で、印象に残る、
金時にんじんが登場しておりました。
そこから引用。
「・・・お煮しめにはまた、
金時にんじんも欠かせない。
上鳥羽あたりで作られている。
赤い赤いにんじんである。
金時さんのように赤いので、
その名がついているのんやろう。
よその方はびっくりしやはる。
これもじきがつおで
くっつりたいて、
舌にのせると、
歯ごたえはあるのに、
やわらかい。
このにんじんは、かやくご飯にも、
かす汁にも入れるし、
おなますの色どりにも、
もみじおろしにもまぜる。
真紅の色がはなやいで、
だいだい色の西洋にんじんとは、
また、別のおもむきがある。」
はい。この短文のはじまりも引用しなきゃね(笑)。
「京都特産の冬のお野菜は、
聖護院かぶらに聖護院大根、
中堂寺大根、九条ねぎ、壬生菜、
くずき・・・・など、まだあって、
堀川ごぼうもそうである。
秀吉の死後、聚楽第はさびれて、
お堀へは、近所の人がごもく(ごみ)を
ほかす(捨てる)ようになった。
そしてある日、気がつくと、
そこにはごんぼが生えていた。
太うて、まん中がほんがら(空洞)に
なっているごぼうである。
地名をつけて堀川ごぼう、
また、聚楽ごぼうともいうた。
堀川ごぼうは、まん中の空洞へ
かしわを詰めたり、
おさかなのすり身をつめたりして、炊く。
長いままで煮ふくめたのを、
輪切りにして盛り合わすと、
これは料理めいたものになる。
・・・・」
この短文の最後には、こうありました。
「けれど、堀川ごぼうは、
もうめったに見かけんようになった。
作る人も、作る地所も減ってしもうて、
いまはわずかに洛北・一乗寺のあたりで
作られていると、耳にした。
そのごんぼは、もはや
わたしたちの暮らしとは無縁のもので、
高級料理の珍味になっている。
京の土に生まれ育った
堀川ごぼうを、
もういっぺん、
おぞよにしてみたい。」
(p278~279)
忘れないように、
「あとがき」引用。
「光村推古書院さんから、『おばんざい』を
復刻出版したいというお話を頂いた・・・・
・・・・・・
思い返せば昭和38年の初冬。
木村(しげ)さんから話が持ち込まれました。
・・・・・・・
木村さんはわたし(平山千鶴)に相談してきました。
木村さんは『婦人朝日』の投稿作文欄を母体にした
京都の集まりの中心でした。わたしはその仲間の一人でした。
・・・・・・・・・
昭和39年の1月4日から、週二回『おばんざい』は
紙面に載り始めました。わたしたちはこの欄を、
ただのお料理の手引きにしたくないと思いました。
戦後急激に変わってゆく町の暮らし、
忘れがちになり、消えてゆくしきたりも
合せて書きたいと思いました。
そして期せずして、
しまつで辛抱強いが、妙に醒めて、
少々いけずな京おんなの気質も
吐露してしまいました。・・・・」
(P288~298)
この本の、シャキッとした、かくし味とは、
『少々いけずな京おんなの気質』でした。
著者は、秋山十三子・木村しげ・平山千鶴。
となっておりました。
こんにちは。
にんじんに金時なんてのが
あることも知りませんでした。
そうですか、きさらさんの
方でも、お正月料理限定で
金時にんじんが流通してるんですね。
いながらにして、地域のひろがりを
感じられるようで、豊かな気分になります。
金時にんじんの味はわかりませんが、
その色の鮮やかさは写真で拝見。
はい。今年のお正月は、
関西のお雑煮を思い浮かべる
のだろうなあ(笑)。
売られてないのでしょうか?
こちらでは お正月のおせちや 雑煮には
この赤い人参を使います。
私の近くでは 正月前だけ売られています。
堀川ごぼうも 売られているのを見たことはありますが
使ったことはないです。
見た目も楽しい 太いごぼうです。