和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

連想くらべ。

2022-04-17 | 前書・後書。
わたしは、本を読んだ後より、読む前の方がいろいろ思い楽しめるタイプ。
ということで、尾形仂著「歌仙の世界」(講談社学術文庫)を語ることに。

本文を読む前に、あとがきと、文庫版あとがきをひらく。
そして解説、那珂太郎氏の「尾形仂と『歌仙の世界』」を読む。

はい。これで私は満腹。もう本文は、
あとまわしにして語り始めることに。
『あとがき』には重要なキーワード。
まずは

「・・明治以来久しく文学史の裏通りに追いやられ、
 高校の教科書からも姿を消してしまった現在、
 連句の存在やそのおもしろさを知っている日本人は、
 はたしてどれぐらいいるだろうか。・・・・

 本書は、そうした状況の中で、一人でも多くの日本人に
 連句のおもしろさについて知ってもらえたらと、まったくの
 初心の読者を対象に想定して執筆したものである。 」(p272)


『あとがき』は2㌻で、次のページに
重要なキーワードが書かれております。
はい。おもむろに引用することに。

「 連句はつまるところ、連想くらべの遊びである。
 
  なぜ芭蕉はその遊びに生涯を賭けたのか。
  『余興 四章』では、連句が日本人の感性や
  美意識や構想力の特性に裏うちされながら、

  いかに深く日本人の生活の中に根をおろしてきたか、
  そして芸術としてどんな特性や新しい可能性を秘め 
  ているかについて、考えてみた。

  ・・・・・初めはこの仕事に必ずしもそれほど
  乗り気ではなかった私を叱咤督励し、はからずも
  連句鑑賞の楽しさを十二分に満喫する幸せを与え  
  られた講談社出版研究所の中野景好さんに、
  今となっては心から感謝したい。       」(p273)

ちなみに、これは昭和61年5月に刊行されたもので、
1989年12月に、講談社学術文庫に入っております。
那珂太郎氏の解説も読ませます。解説のさわりを引用。

「生真面目な碩学である尾形氏は、自分から私生活や私的経歴
 について書くやうなこともあまりなさそうに思はれるので、
 私の知る範囲のことを・・略記しておきたい。」(p277)

はい。こういう本は、きっと読了後は
咀嚼するのに精一杯で、おいそれとは
語り始められず黙ってしまうのが落ち。
読む前の方がお気楽に語れるのでした。


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2 コメント

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こんにちは(^^♪ (のりピー)
2022-04-17 15:26:42
とか言って、本文の方は素通り・・・なんてことは・・・?? ない!方に賭けていますが(^_-)
返信する
思わず。 (和田浦海岸)
2022-04-17 16:58:35
こんにちは。のりピーさん。
思わず、拍手したくなる、
適切な、つっこみ。
ありがとうございます。
返信する

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