中田喜直へのクエスチョン。
『子供の歌を作るとき、どんな考えで作られますか?』
と中田はよく聞かされた。
そんなとき、中田は必ず
『 子供のことを考えないで作ります 』と答えていた。
要するに
『 子供や大衆に媚びたら駄目で、
他人のことはあまり考えず、
自分の考えを率直に表現するのが一番大切 』だということだ。
伴奏についても、中田は、
『 私は童謡を沢山作っているが、
メロディーより伴奏のほうに力を入れ、
時間をかけて作ることが多い。
幼稚園の先生でも弾けるようにやさしく、
などと考えたことはない。いつもその詩に一番ふさわしい
音楽であることだけを考えて作曲してきた 』
・・・・・・・・
『 小学校の音楽教科書のために、拍子、調、音域など、
子供にも先生にもやさしくという、いろいろな配慮、
制限などがつけられて作られた曲がある。
私も何曲か頼まれて作曲したが、
このような作品の中では、いい曲がほとんどない。
子供が歌いやすく、分かりやすいように、という親切心があっても、
作曲家の心を縛ってしまうから駄目なのである』
これも中田の言葉だが、実に的を射た指摘である。
逆に言えば、子どもに媚びない名詩を得て、
自分の考えだけを大事にして作曲する作曲家には、
教科書に出番はあまりないことになる。・・・・ 」
( p115~117 牛山剛著「夏がくれば思い出す」新潮社 )
( 『 』内の中田氏の言葉は、
サンケイ新聞昭和57年5月31日付「五線譜にのせて」より )
はい。牛山剛著「夏がくれば思い出す 評伝中田喜直」。
この本は、あれこれと、あとになって思い出しそうな箇所が
あるのでした。はい。今年の夏の収穫。
この文のなかほどにも、
『 ほんとうに魅力ある歌だったら、
子どもたちは校門を出ても喜んで唱うだろう。 』(p117)
という箇所がありました。はい。
70歳でも。80歳でも。90歳でも。
100歳でも『喜んで唱うだろう』。
昨日のコメントを頂戴し、そんなことが、思い浮かびました。
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