和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

姉妹喧嘩(きょうだいげんか)。

2022-03-10 | 本棚並べ
曽野綾子自伝『この世に恋して』(WAC)
長谷川洋子著『サザエさんの東京物語』(朝日出版社)
『長谷川町子思い出記念館』(長谷川町子全集別巻)

長谷川町子は、1920(大正9)年1月30日生まれ。
曽野綾子は、 1931(昭和6)年生まれ。

お二人に共通点がありました。
ということで上の3冊から引用してゆきます。

まず、『サザエさんの東京物語』のはじまりから

「長女・まり子、次女・町子の姉達二人の間にもう一人、
 美恵子という姉がいたが、数え年7歳で亡くなった。

 可愛い盛りだったので母は嘆き、
 悲しみのあまり鬱状態になったそうだ。
 ・・・・・
 その翌年、私が生まれた・・・・ 」(p7)

曽野綾子さんに、姉の死をとりあげた箇所がありました。

「私は昭和6年、母が数えで33歳、父が40歳のときに生まれた、
 2番目の娘です。この世で会ったことのない姉がいて、
 その姉が3歳で病死して6年後に生まれたそうです。」
        ( p20 「この世に恋して」 )

長谷川町子さんは『私のひとり言』に

「学校の成績については、両親とも、ついぞ
 小言らしいことを言ったことがありません。
  
 私のすぐ上の姉が亡くなってからは、
 ただ、元気でいてくれさえすればよい
 という消極的な願いに傾いたらしく・・・

 姉も私も天晴ぐうたら童子を決め込んでいました。」
      (P48 「長谷川町子全集 別巻」)


もどって、曽野綾子さんのつづき

「母は、この子を失えばもう子どもはできないと思っていたのでしょう。
 『絶対死なせちゃいけない』と思ったそうです。

 抗生物質もない時代だから、アイスクリームやかき氷などは
 食べさせてもらったことがありませんでした。当時は
 疫痢(えきり)とか、赤痢(せきり)とかいう病気があったんです。
 アイスクリームをみんな食べているのに、
 私だけは食べさせてもらえない。・・・・・・」(P22)

はい。食べ物のうらみ。
洋子さんの本には、こんな箇所があります。

「母は、美恵子姉が赤痢で亡くなってからは、
 極度に神経質になっていた。
 
 毎日、やってくるシンコ細工屋さんや
 絵入りの大きな飴を藁束に挿して売りに来る飴屋さん。
 きび団子を串に刺して、お釜の湯にサッとくぐらせ、
 黄粉をまんべんなくまぶしつける団子屋さん・・・・

 しかし、これらの屋台のものは一切買ってはいけないと、
 きびしく言われていた。母は不潔で不衛生なものと決めつけていて、
 たとえ人からもらっても食べてはいけないと、
 毎度耳にタコができるほど聞かされている。
 ・・・・・

 後年、町子姉が白状するには、
 『お母さんからいけないと言われた屋台の駄菓子ね、
  私、みーんな買って食べたわ。何度もね』
 と言って、まり子姉や私を驚かせた。
 ・・・

 その頃、姉妹喧嘩が毎日盛大で、最後はつかみ合いの騒ぎになるので、
 姉達はしょっちゅう庭の鳥小屋に入れられていた。・・・

 姉達のご乱行に腹を立てた母が両脇に二人を抱えて
 鳥小屋に引きずっていくと、二人で哀れな声を絞って
 泣きわめくのが常である。
 母の見幕におびえて私まで大声で泣き、
 『許してあげて、出してあげて』と哀訴する。
 それでも錠をかけて一時間は出してもらえなかった。

 姉達は気性の烈しい母をかなり恐れていたはずなのに、
 町子姉は鳥小屋に監禁されようとホッペタをひねられようと、
 ≪ やることはやるさ ≫としたい放題をやったようだ。」
           ( P26 「サザエさんの東京物語」 )

 はい。洋子さんの本には、そういえば喧嘩の話が、 
 ごく自然な生活の延長線上にでてきておりました。

はい。最後は「サザエさん」からの四コマ。

①カツオが机に向って三角定規をクルクル回してる
カツオ『 ああ このさんすう むずかしいなぁ 』
サザエ『 どれさ ぼんくら 』と、裁縫の手をやすめて
カツオの方へのぞきこむしぐさ。

②机に両肘をつきながら、振り向きながら舌をだして
カツオ『 へっ ねえさんにわかってたまるか 』
サザエ『 いったねッ 』と物差しを両手で握りしめる。

③ほこりの塊の中から手や足が出ている。
 ドタバタ喧嘩を表現した箇所。
 母『 これっ やめなさいっ 』と、セリフが太文字。

④3人正座している。乱れた髪のサザエさんから順番に、
 サザエ『 あたしが さんすう みてあげようっていったんです 』
 カツオ『 ボク いいって ことわったんで~す 』と泣いてる。
 母ふね『 じゃ けんかが おこるはずないじゃないの 』


さて、この場合の、サザエさんとカツオと。
どちらが、まり子で、どちらが町子なのか。
ついつい、あてはめては、迷うところです。

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2 コメント

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おはようございます(^^♪ (のり)
2022-03-11 10:20:41
どちらにも当てはまる気がしますが、迷い始めたらきりがありません・・・🤔
返信する
そろそろ。 (和田浦海岸)
2022-03-11 10:46:11
おはようございます。のりさん。
コメントありがとうございます。

昨日はブログ更新がおそくなり、
夜中になってしまいました。
私の興味も賞味期限切れかなあ。

けれども、毎回コメントをいただくと、
もう少し木にのぼっていたくなります。

最後に、気になっているテーマなのは、
『縁談』と、いじわるばあさん。
 独身だった長谷川町子さんを
 思いながらの『縁談』めぐり。

はい。そうなると、まり子さんは
結婚したわけなので、
マスオさんとサザエさんがご夫婦なら、
サザエさんは、まり子さんで、
かつおは、長谷川町子さん。
としてほうが座りがよいような、悪いような。
返信する

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