和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

ことごとく。

2024-09-29 | 手紙
桑田忠親氏への司馬遼太郎の手紙。
桑田著『或る蘭方医の生涯』を、司馬さんへ贈ったお礼の手紙が
残っているのでした。

「 ・・・ありがとうございました。
  阪大微研の加藤先生からおくられて参りました。

  桑田先生の御著書はことごとく読ませていただいた
  つもりでございますが、この本が先生の学風とは、
  ちょっと風変りなと思っておりますと、
  先生の御先祖にあたられるときき、
  立斎の後ありと思いました。・・・・  」
            ( p103 臼井史朗著「昭和の茶道」淡交社 )

 ここに出てくる立斎とは、桑田立斎のことで、
 桑田忠親の曽祖父にあたり、幕末の蘭方医だったとあります。

 それにしても、『ことごとく読ませていただいたつもりでございますが』
 と、司馬遼太郎に言われたら、桑田氏はどんな感慨を抱くのだろうなあ。

 それなのに、桑田忠親著「定本 千利休」(角川文庫)を
 私などはちっとも読めずにおります。きちんと読めないと
 パラリと、本文の最後の箇所を読んだりしてみます。
 こうありました。

「 ・・・幾百年の後の世においても、
  お茶といえば必ず利休さんとくる。

  利休は、日本人の実生活の上に無言の恩恵を垂れている。
  気のきいた、しかも深みのある趣向は、みな利休好み、
  便利な日用品はすべて利休形であると、さえ言える。

  われら日本人の実生活を、正しく、清く、上品に、
  しかも最も便利に改革してくれた大恩人こそ利休居士であろう。 」

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