山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

北岳で見たラン科の植物たち  平成29年7月29日ー30日

2017年08月01日 | 花・花・花
 かつて北岳に咲いていたアツモリソウやキバナノアツモリソウは鹿の食害によって今では見られなくなってしまった。私は北岳ではいずれの花も見ておらずたいへん残念である。しかし、そのほかにも様々なラン科植物が北岳には咲いている。北岳では絶滅したのではないかと思われていた稀少なラン科植物にも今回は出会うことが出来た。


    タカネフタバラン
 この花を初めて見たのが北岳であるが、その後八ヶ岳や櫛形山でも見かけた。昨年は8月中旬に訪問し満開だったが、今年はまだ時期が早く蕾だった。開花はあと2~3週間先になりそうだ。



    テガタチドリ
 櫛形山では良く見かけるが北岳では少ない。後ろに写っているハクサンチドリに比べて花弁が円みを帯びている。良く似たノビネチドリは葉の形で容易に区別できるが、北岳では見かけたことが無い。



    ハクサンチドリ
 花弁がクチバシのように尖っており、濃い赤紫色でお花畑では良く目立つ。北岳の草すべり周辺では普通に見かけることが出来る。



    ホソバノキソチドリ
 判別が難しいツレサギソウ属の花であるが、距が長く前方にやや湾曲していることから、おそらくはホソバノキソチドリと思われる。発見したのはこの1株のみだった。





    ミヤマチドリ
 これもまた判別が難しいツレサギソウ属の花である。長い唇弁と短い距を持ち、距の入り口の上に黄色っぽい葯室が見えている。この花は比較的多く見られた。




    ホザキイチヨウラン
 標高が高い北岳で見るこの花は背丈が低くひとまわり小さい。草地の中で比較的多く目にした。





    タ・カ・ネ・アオチドリ
 数が少ないうえに保護色で小さく、ようやく見つけた花である。北岳では絶滅したのではないかと言われていたが、目の良い花仲間が見つけ出してきてくれた。八ヶ岳で見かけたものとほぼ同じであるが、北岳のほうが若干唇弁が短いようにも見える。赤茶色の唇弁と黄緑色の唇弁の2種類、さらにその中間型のようなタイプがあるが、八ヶ岳も同様である。
 
 おそらく、他にもまだまだ出会ったことが無いような稀少なラン科植物が眠っているのだろう。北岳は見て良し登って良し花を探して良し、文句無しの名峰である。
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花いっぱいで腹いっぱいの北岳へ(2日目)  平成29年7月30日

2017年08月01日 | 山梨百名山
 肩の小屋は宿泊率150%だったそうだが、我々が宿泊させていただいた肩の小屋特設テントも狭く通常ならば8人使用くらいのスペースに11人寝ることになった。なんとか寝返りを打つくらいのスペースは確保できて、意外にもぐっすりと眠ることが出来た。早朝3時半ごろ、テントの屋根を打つ強い雨音で目が覚めた。こんな雨の中をとても登る気はしないだろうと思っていたら、次第に雨音は遠のき起床時間の4時半には雨は上がってくれた。5時過ぎに朝食、6時に北岳山頂に向けて出発である。時期的には目的の花であるキタダケキンポウゲとタカネマンテマがど真中のはずである。さて、良い花に出会えるかどうか?


    朝6時、肩の小屋を出発する。天気はいまいちだが雨は上がった。


    山頂に登って行くと、途中で青空が見え始めた。ハハコヨモギと登山者たち、雲の中には甲斐駒ケ岳が居る。


    イワオウギ


    岩場に付着していたイブキジャコウソウ


    若干遅いが、シナノキンバイとハクサンイチゲのお花畑


    アカイシミヤマクワガタ。登山道脇の足元に咲いていて、一番下の枝は踏まれて痛んでしまっていた。

 混雑している山頂は休憩せずにスルーして、北岳山荘側に下りて行く。こちら側も様々な花が咲いており、写真を撮ってばかりで全く足が進まない。本隊は既にずっと先まで行ってしまい全く姿が見えなくなってしまった。


    アオノツガザクラ


    花弁の先端が細かく切れ込んでいる。ミヤマミミナグサの群落。


    元気なミヤマオダマキ


    タカネヤハズハハコとお花畑


    ミヤマシオガマとオヤマノエンドウ


    ミドリハクサンイチゲ


    こんな足元にタカネマンテマ。踏まれないでね。


    ムカゴユキノシタとキタダケキンポウゲが饗宴


    ウラジロキンバイとタカネツメクサ、イワベンケイ


    ウラジロキンバイ

 八本歯のコルと北岳山荘の分岐に到着した。本隊はトラバース道を散策しているはずだが、どちら周りで周回しているか不明で、下手をすると出会えなくなってしまうかも知れない。トラバース道に下りるのは止めて分岐周辺をうろついて本隊が戻って来るのを待つことにした。しかし、この分岐部に界隈も花が凄い。


    ハハコヨモギとイブキトラノオ


    キタダケヨモギがたくさん。


    シコタンソウ大群落。100㎜マクロで撮影。


    こちらは別株。10㎜超広角で撮影。


    キンロバイ


    タカネコウリンカの群落は霧で霞んでしまった。


    タカネコウリンカ

 北岳山荘と八本歯のコル分岐点で40分ほど周辺の花を楽しみながら写真を撮っていると、本隊が八本歯のコル側から戻ってきた。トラバース道が素晴らしいお花畑になっていて足が進まなかったようだ。今回は行けずに残念だったが、目的の花は存分に見て撮影することが出来た。タカネマンテマ、キタダケキンポウゲ、そしてムカゴユキノシタとも花満開である。


    ようやく出会えたタカネマンテマ。11本の大株主。


    ハハコヨモギと共生。ユリのような緑の葉はおそらくトウヤクリンドウ。


    おちょぼ口のタカネマンテマ。これで満開状態。


    横から少し上向きになったものはもう花が散り始めた状態。上を向くようになるともう花が散っている。


    居ました。ムカゴユキノシタ。


    こんなに咲くのか!? 昨日の苦労して探した3株は何だったのか?


    小さな花だが愛嬌たっぷり。


    こんなにたくさん花を咲かせたゴージャスな株もあった。


    ハハコヨモギと饗宴


    そしてこちらがキタダケキンポウゲ。


    タカネツメクサとキタダケキンポウゲの饗宴


    仲良く並んで咲いているキタダケキンポウゲ。花弁が華奢で花弁と花弁の間に隙間が出来ること、針のような細い葉が特徴。

 予定していた花はほぼ見ることが出来て写真も思う存分撮影させていただいた。2日目は雨も上がって時折陽が射し込む天候となり、レンズの結露も軽かった。花いっぱいの北岳を腹いっぱい堪能できた大満足な山行となった。

 
    


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