山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

深山に咲く双葉のランを求めて 黒戸尾根  平成29年8月13日

2017年08月14日 | 花・花・花
 8月の山の日3連休は全休となったが天候が思わしく無い。13日の未明にペルセウス座流星群の極大を迎えるのだが、昨年・一昨年と2年続けて三ツ峠泊りで狙った流星群はいずれも雲に阻まれて失敗に終わっている。今年はもう少し高度を上げて黒戸尾根の9合目付近から狙おうと計画を立て、12日に黒戸尾根七丈小屋に泊まって未明から甲斐駒ケ岳9合目まで登るはずだった。しかし、12日の朝6時、竹宇駒ケ岳神社の駐車場まで行ってみるとそこでは雨が降っていた。天気予報では午後3時ごろから雨のはずだったが既に降り始めてしまっている。長い黒戸尾根を雨の中を登って行く根性はとても出ない。濡れた刃渡りを歩くのも避けたい。心が折れてこの日の登山はあきらめて、ガスト山に登って朝食・・・をとっていると、8時半ごろから青空が広がってきた。しかしもはや折れた心を立て直すことは出来ず、この日は全休する。

 しかし、なんとしても見ておきたかった花がこの尾根にはあった。昨年甲斐駒ケ岳からこの尾根を下山中に偶然発見したランである。見たのは5株ほどだが、おそらくまだ他の場所にもあるのではないだろうか?翌日の13日は12日よりは天候が良くなる予報だったので、気持ちを入れ替えて、早起きして再度黒戸尾根にチャレンジに行く。


    天気は曇り。昨日よりは益しだ。いざ、出陣!


    笹ノ平の分岐。ここまで2時間半。


    石碑の立つ広場で休憩。霧が深くなりしばしばレンズが結露する。


    ジンバイソウが群れを成して咲いていた。


    ジンバイソウ。この花は頭の部分が開いているのを見たことが無い。


    まだ開花していないこの花。茎に毛が多く、おそらくはフクオウソウ。


    刃渡り。このあたりで拙いことに雨が降り出してしまう。レンズがさらに結露して撮影が大変。


    白いママコナ、タカネママコナ。


    刃渡りの周辺に多く咲いていた。


    セリバシオガマはあちらこちらに咲いている。


    刃利天狗。ここまで登るのにかかった時間は6時間半。

 探しものの花は刃渡り手前の苔の生したツガ樹林帯から上の森の中にあるはずだ。小さいうえに保護色で目立たない。目を凝らして苔の中をじっくりと見ながら歩くので、探索に多大な時間がかかってしまう。


    6月に見つけたまだ蕾だったイチヨウランは、既に散った後だった。この尾根にも素心花のイチヨウランがあるらしい。


    キソチドリ。これは数が多いが、若干時期が遅かった。


    これでもかというくらいに群生しているコイチヨウラン。雨でうなだれているうえに若干時期が遅かった。


    雨の雫が滴るコイチヨウラン


    この場所は見頃だったコイチヨウラン。


    接写。


    居ました。小さな双葉のラン。


    コフタバラン。しかし、探しものはこれでは無い。


    こちらが本命の探しもの。


    深山に咲く双葉のラン。深山・双葉ラン。


    黄緑色の虫が舞うような花。ちょうど満開。


    花の色は黄色っぽいものから緑色のもの、茶色っぽいものまで様々。


    キソチドリと相性が良いようで、並んで咲いていた。

 昨年見かけた場所はかなり念入りに探したつもりだったが発見できず、別の場所2ヶ所でなんとか発見することが出来た。想定していた通り、コフタバランやコイチヨウランに比べるとかなり数は少なく、限局した場所に数株固まって咲いているという感じだった。探索と撮影に多大な時間を要してしまい、午後2時に折り返して下山の予定だったのが午後3時になってしまった。途中から雨が降り出してしまったが、既に汗でびっしょり濡れた服は雨に降られてももはや気にならない。最後はヘッドライト点灯して午後7時の下山となった。12時間以上の長時間を要したが、満開の双葉のランに出会えて満足な山行となった。
コメント (6)
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オオヤマサギソウよ、おまえもか!? 御坂山塊の山へ  平成29年8月11日

2017年08月14日 | 番外編
 前日の鷗の花たちの惨劇を見て、改めて鹿の食害の深刻さを感じた。その近くにあったはずのオオヤマサギソウも見て回ったのだが花は確認できず、葉も見つからない。もう日没近くで暗く、探し方が不十分であったこともあるが、咲かなかったことは確実だろう。ではもう1ヶ所オオヤマサギソウが確認されていた場所はどうなのだろうか? 最後に確認したのはもう3~4年前になる。おそらくは残っていないのではないだろうか?


    登山道はあるのだが、登りも下りもバリアンスルートを使って探索する。


    ようやく見つけた1株はもう花が散った後だった。

 かつてはこの界隈に少なくとも5~6株は咲いていたはずなのだが、葉も含めて見つけたのは1株だけだった。しかも背が低くて株が小さい。鹿の大好物だけに、大きくなるとすぐに食われてしまうのだろう。絶滅に近い状況にあるのは間違いない。稜線の登山道に登り上げてもう1ヶ所自生を確認してあった場所に向かう。


    かつてはもう少し下草が生い茂っていたはずだが、ほとんど何も残っていない荒れた草地になってしまっていた。


    トリカブトも食べられている。


    このあたりに2~3株、草地の中に少なくとも5株はあったはずだが、跡形も無い。

 こちらの自生地は下草も食いつくされていてオオヤマサギソウは葉も残っていない。残念ながら消滅してしまったようだ。他の植物も探索してみる。


    ジンバイソウは葉だけで花穂がひとつも出ていない。周辺の葉っぱに食べられた痕跡がある。


    ようやく見つけた1本はやたらに短い。どうやらこれも食べられたようだ。


    クモキリソウ属の葉。無事に咲いてくれたようで数も増えている。かつて株が消失したことがあり盗掘かと思っていたがどうやら食害で、根が残っていたらしい。


    大き目の株も復活しつつあるが、またいつ食べられてもおかしくない状況にある。


    下草がほとんど無くなってしまった森の中。


    そして増殖してきたこの草。


    鹿が食べないクサタチバナ。食害の著しい櫛形山の斜面に移行する途中の段階を見ているように思える。

 こちらの山も鹿の食害著しく、2~3年でずいぶん森の様子が変わってしまっていた。オオヤマサギソウはもはや風前の灯、このままだと数年でこの山から消失してしまうであろう。現在出来る唯一の手段は柵で囲って保護することだろう。しかし、他の花も含めて囲い込むにはあまりにも時間が足りなすぎる。今年囲い込んだ4ヶ所もその後どうなっているのかパトロールに行けていないし、おそらくは現在使っているポールでは強度に問題があって大部分が倒れてしまっているだろう。無理難題が多すぎる植物の保護、一人ではとうていやれるものでは無く、時間も人手も予算も足りない。


    春先に見つけてあった別株。ここは比較的人が立ち寄る場所にあるので食害を逃れているのかも知れない。
コメント (2)
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