山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

キンラン保護作戦の成果はいかに?  平成30年4月23日

2018年04月23日 | 花・花・花
 昨年数ヶ所に保護柵を設置してキンラン保護作戦に乗り出した秩父多摩甲斐国立公園の一角にある山であるが、先日山仲間が訪問した報告を聞くと、どうもあまりうまくは行っていないようである。そろそろキンランが咲き出している頃だろうし、カザグルマも咲いている頃だ。鎌を持って保護柵内の草刈りもしてきたいところだが、鎌は修理中の車の中に置いてきてしまった。止む無し、とれるだけ手でむしり取ることにする。


    見ごろを迎えていたカザグルマだが、今年は花数がかなり少ない。


    盗掘ではないと思われる。


    地面を這うように咲いたカザグルマ。


    紫色のほうは例年と変わらず咲いている。


    見入ってしまう美しさ。


    こちらはまだ開き切っていない。

 カザグルマの白花が目に見えて少ないが、まだ痛んでいる花が無いところをみるとこれから咲くのかも知れない。

 さて、目的地のキンラン保護柵の場所に行ってみる。


    柵は一応倒れてはおらず、キンランも生えてはいるが花は無し。


    良く見てみると花穂がちぎれており葉先もちぎれている。どうやら鹿の食害に遭ったらしい。


    次の場所。昨年は2株咲いたが今年は1株だけ。問題なのはツル性の植物に囲まれてしまっていること。保護ネットはツルが絡みつくのに持って来いである。


    手で引き抜いて出来るだけツルを除去する。


    昨年花を咲かせた株もしっかり残っていた。


    嬉しいことにネット際にもう1株出ていた。ネットの位置を変えて中に囲い込む。


    この場所は昨年と同様に2株咲いた。はびこっていた笹を除去した後である。


    頑張って種を付けて株を増やしてくれ!


    問題なのが小さく囲ったこの場所。何も出ていない。


    さらに遊歩道脇の鉄柵の中も何も出ていない。

 5ヶ所のうち高めの保護柵で広めに囲った2ヶ所は昨年と同じく株は出たが、姑息的に低いネットで囲った場所は鉄柵を含めて3ヶ所のうち2ヶ所が何も出ず1ヶ所は鹿の食害に遭っている。もう1ヶ所あるのだが時間が足りず回り切れなかった。おそらく、低いネットで狭く囲うだけではこのキンランにとって良い環境が造り出せないのではないだろうか?出ないのであれば柵を解除するか、あるいはもっと広く囲うかを検討しなければならないと思う。単純に今年が外れ年で出ないだけならば良いのだが、全く何も出ないというのはやはりおかしい。作戦はまだ始まったばかりだ。さらなる観察と工夫を重ねて、いつかキンランがたくさん咲く山にしてみたいと願う。


    ギンランも目に見えて数を減らしている。危うし、〇〇山!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

早春の櫛形山を訪れる  平成30年4月22日

2018年04月23日 | 花・花・花
 4月も下旬となり、この日の気温は甲府では30℃近くまで上がった。早春というには遅すぎるかも知れないが、標高2,000mの櫛形山はまだ春と言うには早すぎる。林道ゲートがまだ冬季閉鎖になっているこの時期は、ヴィレッジ伊奈ヶ湖から中尾根を山頂まで登るには単純な標高差だけで1,100mあるロングコースになる。かつ、目的地である池の茶屋まで行くとなると山頂を越えてそちらまで下りるか、あるいは管理歩道を通って回り込むかのいずれかになる。どちらにしても、私の足ではかなり遠いということは間違い無い。それでも、この時期にどうしても確認しておきたい花があった。

 朝7時ごろから歩き始めたかったのだが、どうにも夜に寝付くことが出来ず、寝たのは深夜1時過ぎになってしまう。もはや早起きは困難、目を覚ませば7時だった。伊奈ヶ湖のほとりから歩き始めたのは9時近くになってしまう。山頂まで4~5時間はかかるだろう。予定ではほこら小屋を過ぎたところから分岐する管理歩道を歩いて池の茶屋まで行く予定である。予定時間は10時間、下山時にヘッドライト装着となるのは覚悟の上である。


    中尾根登山道。良く整備されている。


    アケボノスミレ


    エイザンスミレ


    ナガバノスミレサイシン。葉はたくさんあったがまだ時期が早く花は少ししか咲いていなかった。


    カタクリが咲いていたのはちょっと嬉しかった。


    櫛形山林道に出る。

 櫛形山林道までの標高差が約550mで、ここがほぼ中間点になる。かかった時間は2時間弱、まだまだ先は長い。


    林道を過ぎた登山道脇にもカタクリが咲いていた。天気が良く花が反り返っている。


    標高1,700mあたりはまだ何も花は咲いていない。バイケイソウの葉だけが目立つ。


    ほこら小屋にやっと到着。


    ほこら小屋の水場で水を補給する。


    水場の脇にあったハナネコノメソウ。まだ咲き始めたばかりだ。


    やっと管理歩道分岐に到着。ここまでかかった時間は4時間。ここからが本番だが、既に足がクタクタ。

 4時間かかってやっと(というよりも予定通りに)管理歩道分岐に到着した。ここで標高は約1,900mである。目的の花はこの管理歩道の途中と池の茶屋の周辺にもあるはずだ。昨年は葉を見ただけで花は既に種になっていた。本当にその花なのかどうかは行ってみないと分からない。


    殺伐としたカラマツ林を行く。ここはいずれマルバタケブキだらけの林床に変わる。


    出始めたばかりのマルバタケブキの葉。


    富士山が見える。この斜面はいずれはクサタチバナに覆い尽くされる。


    まだ残雪が残る管理歩道。これは少し早すぎたのではないかと思ったが・・・


    ネコノメソウが咲いている。赤紫の葯が8本、花が平開している。ニッコウネコノメソウ。


    別のネコノメソウ。葉っぱが茶色。


    赤紫色の葯が8本だが花が開かない。ヨゴレネコノメソウ。

 GPSに登録しておいた場所の手前でお目当てだった花が現われた。昨年は葉っぱしか見ていなかったが、予想していた通りの花が咲いている。


    居ました。思っていた通りのこの花。


    セリバオウレン。この場所の花は蜘蛛の巣だらけ。


    さらに進むと、残雪の脇の斜面に咲いていた。


    不思議な形をした花。

 90分と書かれた管理歩道を2時間半かけて通過する。さらに池の茶屋の保護柵の周辺と柵の中を散策してみると、やはりそこにもセリバオウレンが咲いていた。


    不思議な形をした美しい花。


    真ん中に雌しべのようなものが5本、その外に雄しべが10本、その外のスプーンのような10本が花弁で、5本の花びらのように見えるのが萼ではないだろうか?


    緑色っぽい花のほうが多かったが、時期による違いなのかどうか?不明なことが多い。


    コセリバオウレンか、あるいはウスギオウレンを期待したが、2回3出複葉のこの葉はセリバオウレンで良さそうだ。

 時刻は5時になった。これから山頂を越えて長い道のりを下山である。もはや日没を過ぎるのは確定なので、急いで歩く意味も無し。足の疲れを増やさないように、かつ夜道で転倒しないように気をつけながら、7時15分にヴィレッジ伊奈ヶ湖に到着した。長い行程だったが昨年種になった葉を見つけておそらくはセリバオウレンだろうと予想していた花に出会えたことは大きな収穫だった。


    展望台から見る白根三山


    櫛形山山頂から見る富士山

 早春の櫛形山で咲くこの花は林道ゲートが開く前に開花することと、咲いている場所が池の茶屋に近い場所であるためほとんどネット上には出て来ない。池の茶屋林道が開く5月15日だと既にこの花は終わっている可能性が高いからである。櫛形山林道が開く4月26日だとまだ咲いているであろうが、池の茶屋は裸山やアヤメ平とは方向が違うために訪れる人も少ないであろう。セリバオウレンは山梨県では絶滅危惧種に入っていないが、さほどお目にかかれる花では無い貴重なものである。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

湯村山エビネパトロール  平成30年4月21日

2018年04月23日 | 花・花・花
 湯村山のエビネが見当たらないという連絡が入った。その場所は登山道から外れた藪の中なのであまり知っている人は居ないはずである。昨年は開花した花を見ているが、秋には時間が足りず確認には行っていない。またしても盗掘か?訪れてみることにするが、時刻がもう4時を過ぎている。最短コースで入山する。


    本日は1日を通して青空が広がった。


    期待していたタカサゴソウはまだ蕾。あと2~3日で開きそうだ。


    別の場所では満開になっていた。


    タカサゴソウ。絶滅危惧種に指定されている貴重な花。


    ガマズミ満開。    


    藪をかき分け、現地に到着。無事に咲いてくれている。


    湯村山らしいピンク色のエビネ。


    いちばんの群生地。数は出ているが笹に飲まれ始めて危険な状況にある。


    頑張れ!湯村山のエビネ。

 年々笹が生い茂って来たこの場所のエビネは若干株が小さくなったようにも見える。周辺には小さな株もあったのだがそれらは消滅してしまっている。草刈り等の処置が必要な状況にあると思われる。

 まだ日没には1時間ほど時間がある。さらに藪をかき分けて別の場所を見に行く。そちらの場所はGPSを持って探しに行っても毎度のようになかなか見つからずに苦戦する場所である。またしても見つからず、GPS片手に藪の中をうろうろしてやっと発見。谷間になっていてGPS座標が正確に出ないようだ。


    毎年のように見に来ているエビネ。まだ蕾だ。


    別株


    さらに別株。この株は少し大きくなったように見える。人が入らず笹が生えていないところが良いのかも知れない。

 時刻は6時近くになり、藪を脱出して登山道に抜け出る。とりあえず例年見回りしている場所は大丈夫のようだ。連絡をいただいた方に後日お会いして話を伺ったところ、どうやら笹に飲まれて消滅してしまった場所のようだ。


    ジュウニヒトエ。紫色の園芸種は?


    シラン満開。


    こんなところにもタカサゴソウ。こちらはもう終わっている。

 エビネが咲く場所は、来年の花芽が出る前のタイミングで笹刈りを検討したいと思う。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする