山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

再び八ヶ岳へ  令和1年7月20日

2019年07月22日 | 高山に咲く花
 7月初旬にも訪れている八ヶ岳を再訪である。前回の訪問はいわば下見のようなもので、今回が本番と言って良いだろう。目的は八ヶ岳で見つかった稀少植物の保護に向けての本格的な現地調査である。今回のメンバーは全員が何らかの形で植物の調査や保護に携わっているそれなりのメンバーが揃っており私はいちばんの下っ端である。植物が見つかった当初から保護のためにどうしたら良いかを考えていろいろ手を回してきたが山梨県や環境省がいよいよ保護に乗り出すことが現実味を帯びてきた。


    今回は植物保護に向けての現地調査。台風接近で一時は中止になるかと思っていたが意外と天候は持ってくれた。


    一時は富士山も見えた。雲の上に山々が浮かんでいる。


    やはり食害を受けて無くなっていたエゾスズラン。背が高くて目立つだけに簡単にやられてしまう。


    ケブカツルカコソウも背が伸びて目立つため、昨年はほとんどが食害を受けた。生えてくれて良かったが今後どうなるかわからない。


    登山道から少し離れた場所でひっそりと咲いていたヤマトキソウ。


    一方、登山道脇にあったヤマトキソウは花の前方の草地が踏み荒らされて陽にさらされていた。可哀想な気がした。


    登山道沿いで見つかったコハクラン。笹に隠れているうえに地味な色なのであまり人目にはさらされていないようだ。


    こちらもツガ樹林帯の登山道脇にあったコハクラン2株。


    コハクラン。まだ幼弱な小型である。周辺にはまだ花芽を出していない幼弱な葉が2枚あった。


    一方、草地の中にあったコハクランは酷い状況になっていた。周辺はふみ跡だらけ、かつ撮影のために花周辺の草がむしり取られている。


    ニョホウチドリは斜面の土砂が一部流れ出て数が減っていた。


    ハクサンチドリはちらほらと咲いている。

 調査地は想定していた以上に踏み跡が著しく、小さな葉の植物が踏まれているものも確認された。珍しい植物の周辺の草は写真撮影のためにむしり取られていて陽にさらされてしまっている。これでは鹿の食害と何ら変わりない状態である。ラン科植物は共生している菌の活性が花を咲かせたり成長して行くために重要な役割を果たしており、踏みつけて地面が固くなったり陽にさらされてしまうことで菌活性は著しく障害されてしまう。こういうことをやられてしまうと今後咲かなくなってしまうことが十分にあり得るのである。他にも貴重な植物が生育している場所でありこの周辺にも重要な植物が生育していて、同じように踏み荒らしや周辺の草がむしり取られているのが確認された。こうなっているであろうことは予想していたが、想定していた以上に残念な状況だった。特に草をむしり取るのは花を観察するうえで絶対にやってはいけないマナー違反であろう。環境と植物を守るためにはもはや囲って保護する以外には方法が無いであろうと確信するに至った。


    花の観察や撮影は植物の保護を第一に考えてマナーを守ってください。

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セイタカスズムシソウとフガクスズムシソウ 富士北麓の森  令和1年7月21日

2019年07月22日 | 山に咲く花
 例年ならばフガクスズムシソウはもう終わりかけている頃だろうが、今年は花期が遅れているうえに天候不順で気温が上がらなかったためにおそらくまだ見ることが出来るであろう。ずっと気になっていたがなかなか行く機会が無かった富士北麓の森のフガクスズムシソウを花仲間とともに見に行ってみた。また、昨年訪問した際に偶然見つかったセイタカスズムシソウがどうなっているのかも気になっていた。


    無事に咲いているのが確認できたセイタカスズムシソウ。


    昨年見つけてGPSに登録してあった場所では発見できず、同行したランに詳しい方が探し出してくれた。咲いていてくれて一安心。


    双眼鏡を忘れて探し出すのに一苦労だったフガクスズムシソウ。100㎜望遠レンズをカメラに装着してなんとか発見することが出来た。


    初めてこの森を訪問した時に、たくさん着生しているのを見て感動した木。その後何度か探したが見つからずようやく見つけ出すことが出来た。


    570㎜望遠レンズ+EosRPフルサイズミラーレスカメラで撮影した画像。


    さらに2倍エクステンダー装着し1,140㎜望遠。この組み合わせは相性が良く、超望遠撮影でもそれなりの画像が得られる。


    この場所に白花のフガクスズムシソウが着生していたはずだが?


    1株だけ確認できるがその手前は苔ごと脱落して消滅してしまったようだ。残念。


    マツノハマンネングサ


    倒木に着生していたマツノハマンネングサ。


    あと1∼2週間で咲きそうである。


    こちらも倒木に着生していたフガクスズムシソウ


    逆光で芸術的に撮ったはずだったが・・・ピントが甘かった。


    こちらは倒木に着生していた白花のフガクスズムシソウ。こんなのが見られるとは、本日はラッキーである。

 今年は訪問時期が良かったうえに花仲間が下見しておいてくれ、さらには同行してくれたランに詳しい方が居てくれたおかげで効率良く、存分に2種類のスズムシソウの仲間を楽しむことが出来た。まだ花の撮影に成功していないマツノハマンネングサが満開の頃に再訪出来ればと思う。
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オオヤマサギソウはまだ蕾だった 芦川  令和1年7月17日

2019年07月22日 | 高山に咲く花
 オオヤマサギソウ群生場所の保護柵を設置して1週間以上が過ぎた。御坂山塊の中でもこれだけまとまってオオヤマサギソウが咲く場所は無いであろう。柵が無事なのかどうかも心配だが、そろそろ咲いているのではないかと見に行ってみる。


    小屋の前にも長い花穂を出していたオオヤマサギソウ。無事に咲いてくれれば良いのだが?


    ポールが少し傾いて抜けかけている場所があったがほぼ良好に立っていた保護柵。


    中に入ってみる。だいぶ花穂が伸びている。


    しかし残念ながらまだ蕾。ここのところずっと天候が悪く気温が低かったのでまだ咲かないようだ。


    保護柵で囲ったので食害の心配はまず無さそうである。


    クモキリソウが満開。


    スズランの森の中を散策してみる。オオバギボウシが咲き出していた。


    しかし保護柵で囲われているにもかかわらず、柵内は鹿の食害があちらこちらで見られる。


    クガイソウ


    今年は見られないだろうと思っていたこの花。


    まだ咲き残っていた。ジガバチソウ。

 もう何年も見ていない御坂山系のオオヤマサギソウ、今年は開花が遅れているが確実に見ることが出来そうである。柵内は6本の花穂が出ているのを確認、柵の外でも2本確認した。開花はまだ1∼2週間先になりそうである。
コメント (2)
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