山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

チョウジタデとウスゲチョウジタデ再探索  令和3年9月27日

2021年09月29日 | 里に咲く花
 チョウジタデもウスゲチョウジタデも山梨県ではさほどたくさん見かける代物では無く、特にウスゲチョウジタデは環境省の絶滅危惧種になっている。先日のミズアオイが咲く河川域で見たものがウスゲチョウジタデなのかどうか気になっていたが、花が終わってしまった時期のほうが判別し易いことがあるようである。

 ひとつはチョウジタデ(Aとする)が紅葉するのに対してウスゲチョウジタデ(Bとする)は紅葉しないこと。種を見るとAが赤っぽいのに対してBはあまり染まらない。
 さらに、種を見るとAは表面がデコボコしているがBはあまりデコボコが無いこと、Bは種に薄毛が生えていること。
 そして決定的な違いは雄しべの根元にAは毛が生えていないがBは毛が生えていて、これは花が散った後のほうが見分けやすいこと。

など、この時期でこそ見分けやすい特徴がいくつかあるようである。これはもう一度見に行ってみるしかないだろう。まずはウスゲチョウジタデと思わしきものが生育する場所を訪れる。


    さすがにミズアオイは終盤である。


    咲き残りのミズアオイ


    前回見つけたウスゲチョウジタデと思わしき株はもう枯れている。葉は紅葉していないようである。


    種もほぼ緑色である。


    細かい毛が生えており凹凸はあまり目立たない。


    別株。これはまだ葉が青々としており紅葉はしていない。


    種は若干赤みを帯びている。やはり細かい毛があり、表面の凹凸は目立たない。


    花床はどうだろうか?これは薄毛が生えていると言えるのかどうか?枯れ過ぎている。


    もう少し青々としたものがあった。わずかではあるが花床に白い毛が生えている。


    次にチョウジタデが生育している河川に移動する。川岸はアレチウリで覆いつくされている。


    アメリカミズキンバイももう終盤である。


    アメリカミズキンバイの花。チョウジタデに比べると花が大型で4弁である。


    種には明瞭な稜が入る。


    小型だがチョウジタデを発見。個体数は少ない。葉は枯れかけて紅葉している。


    種は赤茶色である。


    花床はどうであろうか?風に揺れて不鮮明だが、毛は無さそうである。


    大き目の別株を発見。


    種は赤茶色。葉は一部紅葉している。


    種の表面はわずかに毛が生えているように見える。表面の凹凸が明瞭である。


    花床はどうであろうか?今度は綺麗に撮影出来た。毛は生えていない。

 以上のことから、最初の場所のものはウスゲチョウジタデ、後から訪問した場所のものはチョウジタデとみて間違いないのではないかと思う。来年はしっかりと花を確認したい。

 左がウスゲチョウジタデ、右がチョウジタデ




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これはテバコワラビなのか? 甘利山・大笹池探索  令和3年9月24日

2021年09月29日 | 山に咲く花
 前日も甘利山に行こうとして甘利山線の登り道を愛車で走っていると、またしてもオーバーヒートランプが点灯してしまった。すぐに道路脇のスペースに車を止めて、ボンネットを開けてみると冷却水が沸騰してあふれ出している。先日もオーバーヒートしたばかりで、どうやら単純に冷却水の不足では無いようである。かかりつけの車屋さんに電話して翌日点検と修理をお願いする。本日は代車を借りての訪問である。

 甘利山と大笹池は6月に訪問した際にテバコワラビと思わしきシダを発見した。まだソーラスが付着しておらず確信が持てなかったのだが、時期的にそろそろ付いている頃ではないかと思う。お昼近くの遅めのスタートとなったが、さほど距離は無いのでゆっくり歩いても十分に日没には間に合うはずである。


    ゴマナが満開。


    甘利山山頂付近のレンゲツツジが少し紅葉している。


    雲の上に頭を出す富士山


    トリカブトが咲いている。


    花柄を見てみると屈毛が生えている。南アルプスなのでこれはキタザワブシになるのであろうか?


    別の場所のトリカブト。葉はほぼ3全裂している。


    花茎を見るとこれは直毛(腺毛)が生えている。直毛のトリカブト属は少なく、これはホソバトリカブトになるのか??


    花の上部が前向きに倒れ気味になるこの形はヤマトリカブトのようである。トリカブトの仲間は難し過ぎる。


    大笹池に到着。ここで昼食をとって休憩。神秘的な池だが、目ぼしい水生植物は見当たらない。

 大笹池からは別ルートを歩いて周回して甘利山に戻った。山頂付近の草地、特に保護柵の中はヤマハハコやノコンギク、マツムシソウなど様々な秋の花が生育しているのだが、残念ながら柵のネットに遮られて写真撮影はままならず、せっかく保護柵設置して植生が戻ってきたのに見られないのはもったいない気がする。


    オヤマリンドウ。夕方近くなり花は閉じてしまっている。


    ヤマラッキョウ。後ろは千頭星山。


    秋の草地を代表するアザミ、ノハラアザミ。


    総苞片は粘らない。


    甘利山道路脇で良く見かけるアザミ。


    トネアザミと思われる。


    こんな黄色い花も数本見かけた。


    ヤナギタンポポだろう。


    さて、これが問題のテバコワラビと思わしきシダである。


    葉質は柔らかい。この倍くらいの大きさにはなるはずであるが、小さな個体しか見つからず。


    どれを見ても裏側にソーラスが付いているものは見当たらなかった。


    裂片の形はテバコワラビに良く似ている。


    根元の鱗片はわずかに付着するのみで、これもテバコワラビに似ている。

 おそらくはテバコワラビと思うのだが、球形のソーラスが付着しているのを確認しないとどうにも確信は持てない。テバコワラビは山梨県で確認されているのはほんの数ヶ所で、鹿の食害や笹に飲まれて絶滅に近い状態になってしまっている貴重なシダである。来年また見に来てみたいと思う。

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