山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

富士見山、平須登山口から山頂を越え、笹走集落へ縦走

2008年04月24日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成20年4月20日 天候曇時々晴れ

 道なき道を歩くのが大好きな我々嶺朋クラブのメンバーは、先月の五老峰に続いて今月は富士見山山頂の稜線を南に下り、さらに進路を南東に変えて笹走の集落に下山する計画を立てた。富士見山の平須口登山道は入山者も多く、しっかりとした道だが、矢細工からの道はほとんど歩かれておらず、荒れ果てているという。さらに、その南側は地図に書かれた道は無く、ヤブコギになるかもしれない。同じ季節に同じルートを歩いた文献を見ると、カタクリなどの花が楽しめるという。
 5時半、増穂町役場集合、だったのだが、不覚にも私は出発時間が遅くなってしまい、5分遅れて役場の駐車場に到着、既に誰もいない。待ち合わせ場所間違ったか?それとも既に出発したのか?駐車してある車の中を覗き込むとオーバージャケットとザイルが積まれている車を発見、既に出発したらしい。急いで平須に向うが、52号からの曲り口を間違え、さらに平須集落あたりの細い道に入り込み、カーナビに表示されない道を走ることになる。なんとか平須登山口に到着、クラブのメンバーたちが休憩朝食をとっているところだった。なんとか間に合った。
 
    ブナの巨木が立ち並ぶ平須から富士見山への登山道

 
    エゾアオイスミレ  濃い紫色が鮮やか。

 
    ヒトリシズカ  名前の通り、清楚な花。

6時55分、いざ出陣。本日は私を含めて総勢9人。通常の登山ルートを富士見山山頂目指して登る。この山に登ったのは2年前の2月、ダイヤモンド富士を撮影するため未明3時ごろから登った記憶がある。激寒だったが、空気の澄んだきれいなダイヤモンド富士を見ることができた。その時の記憶をたどりながら歩く。スギ・ヒノキ植林帯を過ぎて広葉樹林帯に入ると、道沿いには山の主のような大きなブナの木が何本も立ち並ぶ。足元にはタチツボスミレやエイザンスミレ、ヒトリシズカなどの春の花が咲く。順調なペースで歩き、9時30分、富士見山展望台到着。残念ながら富士山は雲隠れし、裾がわずかに見えるのみだった。裏側に見える笊ヶ岳はまだ雪を被って白く、山頂あたりは雲の中だった。記念撮影を済ませて山梨百名山標柱の立つ三角点に向う。久しぶりに歩くと、こんな急下りだったか?と思わせるような下りとなり、登り返して三角点に到着。小休憩し、矢細工からのルートがあるコルに向うが、ここからはかなりの急下りが続く。平坦になったあたりで矢細工からのルートを探すが、見つからないまま通り過ぎてしまい、眼前に次のピークが見えるあたりで休憩、昼食をとる。上野先生が持ってきてくれた自家性のコーヒーブランデーをご馳走になったが、これが激美味い。コーヒーの香り漂うブランデーの甘味と香りが良くマッチし、ぐいぐいといってしまう。3杯ほどいただいたところ、酒に弱い私は雲の上を歩いているようなほろ酔い気分となった。
 
    富士見山展望台で記念撮影

 さて、休憩して歩き始めるが今度はアルコールのせいでやたらに心拍数と息が上がる。30分ほどでようやく元に戻った。富士見山南端の1516mピークから振り返ると、甲府盆地側から見る形とは全く違う、きれいな三角錐を描く山頂が見えていた。文献ではこのあたりにカタクリの花がたくさんあったようだが、時期が早かったこともあるのか、あるいはイノシシに掘り起こされてしまったのか、わずかに葉があったのみで花は咲いていなかった。予想していたヤブコギにはならず、稜線上は草が刈られ、林業作業道らしき踏み跡が随所についていた。
 
    振り返ってみる富士見山。均整のとれた三角錐を描く。

 
    稜線西側のカラマツ林。手入れがされているきれいな林。

 
    稜線東側の眺望。山裾の集落と早川・富士川合流部が見える。

 
    アンテナ立つピーク

 南端ピークからの下りは途中からはっきりとした道となる。途中のスギ林の横を通過する急斜面は下るのにやや苦労したが、そこを過ぎると至って良い道となる。やがて目指す笹走の青い屋根の建物がある集落が見え始め、十数本のアンテナが立つピークを通過する。そして南東と南に尾根が分かれるピークに到着。道はそのまま南に進んでいるが、その道を行くと笹走ではなくて塩之上集落のほうに行ってしまうため、ここで進路を南東にとり、道なき尾根を下降する。かなりの急斜面で歩きにくく、木につかまりながら下りる。右側にスギの植林地がありそちら側のほうが歩きやすいのでスギ林の中を南東に向って下りてゆくと、30分ほど下りたところでしっかりした道に出た。スギ林の中を何本か道が走っており、道に沿って下りてゆくと、山の水を汲む貯水槽やホースが見え始め、広い林道に抜けた。送電線の下をくぐると、わずかで笹走集落の神社が見え始め、その下に笹走の集落がある。
 
    道無きスギ林を降りる。

 
    笹走の神社横に出る

 笹走集落は動物から作物を守るため、集落全体が金網で囲われていて、中に入るには柵を開けて入るという特殊な造りになっており、車で通過する際も柵を開けなければ通過できない。現在人家は8件、住人は13人だという。驚いたのはその集落のきれいなこと、畑が耕されていてきれいになっているのはわかるが、集落内の道路も清掃が行き届いていて、ゴミどころか枯葉一枚落ちていない。春の花がたくさん咲き、山間の楽園といった雰囲気だった。
 
    笹走集落。集落全体が金網の柵に囲まれている。ゴミ一つ落ちていないきれいな集落。

 さて、朝手配しておいた車に乗って白須の登山口に戻る。車は関さんの8人乗りクルーザー1台、人数は9人。どうやって戻ったかは想像にお任せする。

参考タイム
白須登山口6:55-富士見山展望台9:30-富士見山三角点10:05-矢細工側のコル10:35(昼食)-南端ピーク11:55-アンテナピーク12:25-尾根分岐(南西側下降点)13:20-林道に出る14:00-笹走集落14:10

    今回の行程地図。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 湯村山から小松山園地へ。春... | トップ | 田貫湖のダイヤモンド富士 ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
笹走、独特の集落ですね。 (ヨッシ-)
2008-04-25 12:47:40
 話には聞いていましたが、凄い集落ですね。見方によっては人間が檻に入っているといった感じです。しかし、集落がきれいに清掃されているのには感動しました。住んでいる人たちも高齢ながら良い人たちばかりでした。
返信する
Unknown (こばとし)
2008-04-24 22:09:49
笹走の集落、おいらも仕事で行ったことがあるの
ですが最初に行ったときには驚きました。

近年、イノシシやサルなど獣による農作物の被害
対策として、電柵などで畑を囲ったり、山から里
へ獣が降りてこないように対策しているうケース
は多いのですが、笹走集落のように、『逆転の発
想』で『人間のいるところをすべて柵で囲ってし
まう』という地区もあるのですね。
返信する

コメントを投稿

御坂・毛無・天子山系」カテゴリの最新記事