山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

台風去りし好天の北岳へ(1日目)  平成30年10月7日ー8日

2018年10月09日 | 山梨百名山
 8月の八ヶ岳も9月の北岳も星を狙って登ったものの空模様が悪く星空は現れなかった。台風24号が去った1週間前も一時的に晴天の日が続いたが、今度は台風25号が日本海側を通り過ぎて行った。3連休初日の10月6日は強風と悪天候が予想され入山する気にはなれなかったが、翌日の10月7日、天気図から予想して午前中は強風が吹くであろうが次第に収まって天候が回復してくると予想される。その日の夕方から朝にかけては星空を見る絶好の機会になるだろう。こんな日を逃すわけには行かない。早起きして朝一番の芦安5時出発のタクシーに乗り広河原に入る。星撮りのためのいつもの装備であるがカメラ2台に三脚2本、レンズは軽いもの3本を含めて全部で5本持って行く。愛用していたEosM2 は前回の北岳で故障した後、電源が全く入らなくなってしまい修理も考えたのだが星撮りのためには水平照準が内蔵されているカメラのほうが好ましく、EosM5 に新調して出かける。


    広河原から見上げる朝の北岳は雲の中。風が強い。


    紅葉の大樺沢だが、あまり色付きは良く無い。


    大樺沢の紅葉。だいぶ葉が落ちてしまっている。


    振り返って見る鳳凰山高嶺。向こうはまずまずの紅葉のように見える。


    色付いたナナカマド

 3時間かかって二又に到着する。朝一番のタクシーだったが後発のバス乗客にもほとんど追い抜かれたようで、後ろにはあまり人が居なくなった。時刻は午前10時、4時半までに到着すれば良いと思っているので撮影しながらゆっくり登っても十分に時間は足りるはずである。随所で三脚を立てながら右又を登って北岳肩の小屋を目指す。


    右又から見る鳳凰山


    紅葉の右又を見上げる


    次第に風が止み、青空が広がった。北岳が見えるようになってきた。


    空には虹色の彩雲が広がった。


    小太郎山分岐の稜線に出る。小太郎山とアサヨ峰が見えているが甲斐駒ケ岳はまだ雲の中。


    ウラシマツツジの紅葉と仙丈ケ岳。ウラシマツツジの紅葉はほとんど終わっていた。

 小太郎尾根分岐で時刻は午後1時半だった。あと1時間もあれば肩の小屋に到着できるが、ここからは岩の間を覗き込みながら別の課題に取りかかる。9月に訪れた際に見つけられなかった高山性のシダがどこかに隠れているはずだ。大きな岩があるとルートを外れて登って岩の間を覗き込む。変なところを歩いている私を見てルートを間違っていると思った登山者も居たことだろう。しかしながら、なかなか成果は上げられず、午後3時、予定よりだいぶ早く肩の小屋に到着した。飲み物を1本注文すると何度かお会いしている小屋主の森本さんがサービスだと言って1本おごってくれた。

 小屋に入って寝床を準備し外に出ると甲斐駒ケ岳が雲の間から顔を出していた。眼下に雲海が広がり予想を遥かに超える素晴らしい景色が見え出した。


    雲間から姿を現した甲斐駒ケ岳


    雲に巻かれた白い甲斐駒ケ岳。雪を被ったような白い斜面、形の良い三角錐、格好良い。ミラーレスカメラ用の55‐200㎜望遠レンズは軽いながら解像度は十分。


    雲海の仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳


    もうすぐ雲海の中に夕陽が沈む。


    雲海に浮かぶ仙丈ケ岳

 もうすぐ夕陽が沈むというところで夕食の順番の5時10分となりコールがかかる。この日の肩の小屋は混雑しており夕食が3回に分かれて振舞われるために遅れて夕食の席に着くと次の順番の人たちに迷惑がかかってしまう。もう少し・・・と思ったがここは三脚をたたんで夕食の席に着く。食べ終わって外に出た頃にはもう太陽は沈んでいたが、赤く染まった水平線が美しかった。


    日没の甲斐駒ケ岳


    夕暮れの仙丈ケ岳


    もうすぐ星が輝き出す。

 さて、日没を過ぎて暗くなった頃、これからが本番である。まず狙うは夕方の6時ごろから甲斐駒ケ岳の山頂を越えて飛ぶはずの国際宇宙ステーションISSである。手帳を確認するとほぼ6時ジャストから8分間見えるはずなので、6時2分前から連写モードに設定してシャッターを切りっぱなしにする。


    ISSが飛んだ138コマを比較明合成。緩い弧を描いている白い筋がISS。上の直線は飛行機。


    7時40分にもう一度チャンスがあった。左下から真ん中に向かう白い線がISS、真ん中の赤い点線は飛行機。他にも縦の白い線とISSと交差している線も別の人工衛星。

 7時40分のISSは途中で先細りに光跡が消えているが、そもそも人工衛星は自分で光を発しているわけでは無く太陽の光を反射して光って見えている。途中で消えているのはその先はもう太陽の光が届かない夕闇の中ということなのだろう。それなりに貴重な画像が撮れたと思う。


    夕空に見え始めた天の川。他にも良い星がたくさん写っている。北岳の左上に輝くオレンジ色の星は火星、右上、天の川の中に輝くのが土星、さらにアンタレス、木星と続く。


    北岳に立ち昇った天の川。


    甲斐駒ケ岳に輝くカシオペア座(右上)と北斗七星(左下)。北極星はちょうど甲斐駒ケ岳の真上になる。

 想定していた以上の素晴らしい星空となった。しかも雲海のおまけまで付き、そのおかげで町灯りの光害にあまり邪魔されない凄い星空となった。明朝は午前4時までには北岳の北峰に登りたいので登る時間を考えると未明の3時前には出発したいところである。狙っていたISSと天の川は予定通りに撮った。そしてもうひとつ、どうしても撮影しておきたいのが甲斐駒ケ岳の上で廻る北天の空である。7時にカメラをセットしてインターバル撮影を開始したが消灯の8時までだと撮影時間が短すぎる。待っていると睡眠時間が無くなってしまう。迷いに迷った挙句、睡眠薬を8時に飲んでカメラはそのまま撮影しっぱなしで置いておくことにした。深夜のうちにはメモリーカードがいっぱいになって撮影が止まっているはずなのでそれまで放置することにして、8時半にに寝床に入って寝ることにする。(続く)


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