山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

花と星の北岳へ 令和1年8月3日‐4日(2日目 朝の部)

2019年08月06日 | 星空
 目覚まし時計は3時15分にかけたが2時半に目が覚めた。もう少し寝ようと思ったのだが寝られそうも無く3時前に置き出してそっと布団をたたんで外に出る。水平線が白々としており東の空を見るとオリオン座の四辺形がもうすぐ全容を見せそうである。カメラ一式とザックを持ち出し、いつでも登山に出発できる体制にして撮影に取りかかる。


    東の空に昇ってきたオリオン座。雲海がうまく甲府盆地の明かりを遮ってくれた。


    西側の仙丈ケ岳の上には天の川が流れる。織姫星(ベガ 中央)と彦星(アルタイル 左)が輝く。


    水平線が次第に赤く染まってきた。


    薄明のオリオン座と富士山


    日の出を見るために山頂を目指している登山者のライトが輝いている。


    夜明け前の空のグラデーション


    雲海に浮かぶ朝富士


    鳳凰山の上から光が放射する。もうすぐ日の出を迎える。


    鳳凰山観音岳の上に真っ赤な朝日が昇る


    同上

 時刻は朝の5時、小屋の朝食はこれから始まるが、私は弁当にしてもらって山岳レインジャー隊よりも一足先に山頂目指して出発する。レインジャー隊は足が速く写真を撮っているとあっという間に姿が見えなくなってしまうので、一足先に出発してタカネマンテマなどを撮影しておこうという作戦である。


    朝日射す仙丈ケ岳。ほとんど焼けなかった。


    ミヤマオダマキ


    タイツリオウギ、ミヤマシオガマ、ハハコヨモギ


    目的の花のひとつ、タカネマンテマ。花期が遅れていてまだほとんどが蕾だった。


    高山性のシダを発見。おそらくトガクシデンダ。

 ここでカメラの電池切れになる。夜の星の撮影を行ったのもあるがフルサイズミラーレスカメラは電池の消耗が早く既に3個の電池を使ってしまった。もう1個持って来たはず・・・とカメラポーチの中を探すが交換電池が見つからない。どうやら充電してきたが車の助手席に置きっぱなしで持って来るのを忘れたようだ。さあ、どうする??まだ今回の目的のキタダケデンダを含めた高山性のシダの撮影が終わっていない。ピンチ!!(2日目後編に続く)

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花と星の北岳へ 令和1年8月3日‐4日(1日目後編 夕の部)

2019年08月05日 | 星空
 今回の北岳は花を見ることが目的のひとつであるが、もうひとつ、北岳山頂に昇って来る天の川を見ることが大きな目的のひとつである。なにせ現在夕空に立ち昇って来る天の川を挟むように木星と土星の2つの惑星が輝いており、肩の小屋から見るとちょうどその2つの惑星が北岳山頂で輝く構図になる。さらに、夕方8時半ごろには北に位置する甲斐駒ケ岳の上を国際宇宙ステーションISSが通過して行くはずである。北岳を選択した理由はこの星空の構図がどこに行くか迷った山の中で最も良かったからである。

 問題だったのはどのカメラを持って行くかだった。ミラーレスのEosM5が最も軽量で星空撮影用のレンズも取り揃えていて最も良かったのだが、花の撮影で酷使していたためセンサーを見てみたら埃だらけである。職場の顕微鏡を使いながら清除してみたがとても取り除けるようなレベルでは無く、今回はフルサイズミラーレスのEosRPを持って来た。問題なのは星撮り用のレンズが無いことだがネットで調べてみたところコネクターを接続するとAPS-Cサイズ用のEF-Sレンズが使えることがわかった。そこで今回は星撮り用にEF-S 17-55mm f2.8 のレンズを持って行くことにした。残念ながら超広角にはならず、フルサイズで25㎜相当の画角にしかならないがそれでも十分に撮れるはずだ。


    仙丈ケ岳に沈む夕陽。夕方6時48分ごろの景色。カメラや携帯を持った人たちが大勢出てきてこの景色を眺めた。


    日没後の仙丈ケ岳の空


    夕方7時18分ごろ、北岳の左上に木星が輝き出した。

 星空が輝き出すのは8時過ぎなので一旦小屋の部屋に戻ってすぐに寝られるように寝床の準備をして休憩する。8時10分、小屋の外に出ると天の川が流れているのが見える。見下ろす視界の下には雲と霞が残っているが空はスッキリと晴れて満天の星空が広がってくれた。さすがは標高3,000mの高所である。下界とは星の輝き方がまるで違う。夕方仙丈ケ岳の夕陽を一緒に眺めていたテント泊の若者2人も星空の撮影に出てきたところだったので、小屋から1段低い場所に移動して山小屋の明かりをカットしつつ3人で並んで天の川の撮影に挑んだ。


    北岳の山頂を流れる天の川。天の川を挟んで右側のいちばん明るい星が木星、左側に居るのが土星である。


    北側の甲斐駒ケ岳の空。甲斐駒ケ岳の真上、画像ギリギリで輝いているのが北極星、画像の右端にはカシオペア座が輝いている。


    北極星の下にある白い筋が国際宇宙ステーションISS。もう少し広い画角が欲しかったが今回の装備ではこれが限界。


    甲斐駒ケ岳の上を舞うISS。12枚を比較明合成。


    もう一度北岳に立ち昇る天の川。


    雲海と霞に浮かぶ富士山。甲府盆地の町灯りがうまく遮られている。明朝はこちら側に昇って来るオリオン座が期待できそうだ。

 9時半まで辛抱すれば北岳の上に真直ぐに立ち昇る天の川が見られるのだがそこまで粘ってしまうと睡眠時間が足りなくなる。めっきり寝不足には弱くなったので最低5時間は寝ておかないと明日の行動に支障が出てしまう。撮影途中の8時半に睡眠薬を飲んで9時少し前に撤収して寝床に入る。9時10分には眠りにつき、ぐっすりと寝ることが出来た。明朝は3時半に東の空にオリオン座が昇って来る。3時15分に起床して撮影に出る予定である。(2日目に続く)

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花と星の北岳へ 令和1年8月3日‐4日(1日目前編)

2019年08月05日 | 高山に咲く花
 八ヶ岳か北岳か、それともそろそろ咲いているであろうタカネビランジを見に鳳凰山に行くか。数少ない土曜日曜の2日間フルに休める機会をどう使うか迷ったが、山岳レインジャー隊が北岳に植物調査に行くのに半分便乗して北岳に行くことを前日の午後に決める。怖いのは夕立と雷だが夜は月明かりが無く星空が期待出来そうである。タカネマンテマも見ごろを迎えている頃だろうし、昨年単独で調査に行ったもののまだ決着が着いていない高山性のシダもある程度目星を付けておきたい。昨年撮影した画像を再度良く確認してみると、キタダケデンダの他に3種類の似たようなシダが有りそうなので確認しておきたい。こっそりとレインジャー隊の後を追いかけて北岳肩の小屋で合流しようと目論んでいたのだが、駐車場に車を止める前で見つかってしまう。花の写真を存分に撮りながら登りたいので、後から小屋に着くことを告げて別行動で入山する。


    広河原から見上げる北岳。朝の天気は良好だが、怖いのは午後の夕立と雷だ。


    まだ蕾だったタカネフタバラン。数が減ったように思う。


    沢の横に咲いたオニシモツケ


    葉がハート形のカイタカラコウ。まだ咲き始めたばかりだった。


    ホソバトリカブト。風で揺れるうえに橋の脇に咲いていて登山者が通過するため撮影に一苦労。


    ホタルサイコかと思っていたのだが調べてみるとオオハクサンサイコという南アルプス特産種だった。枝分かれが少なく萼に筋が入っているらしいがそこまでは観察していない。


    ミヤマハナシノブ。咲き始めの新鮮な花。


    ミツバツチグリとは葉の出方が違い、ツルキンバイと思われる。


    岩に付いていた華奢な菊を発見。


    ミヤマアズマギクかと思ったが図鑑で調べるとどうやらエゾムカシヨモギらしい。


    途中で見つけたテンナンショウ属。葉が5枚で2本出ている。


    葉よりやや低い位置に花が付いており紫色の仏炎苞と付属体である。ヒロハテンナンショウの仲間と思われるが正体不明。オオミネテンナンショウが一番近そうである。


    もう1種類。これはユモトマムシグサに似ているが形がずっと小さい。変種のヤマナシテンナンショウではないかと思われる。


    二又に到着した頃には北岳に雲がかかってきた。

 4時間少々かかって10時45分にやっと二又に到着した。いろいろ探しながら歩くとここまでの行程でもまだ知らない花がいろいろとあることが分かってきた。特に花期が遅れた今年は以前から葉があることは確認していたが咲き残りのテンナンショウ属に出会えたことは大きかった。周辺の林の中に葉がたくさんあるのも確認しており、この花が咲いている頃に是非見に来てみたいと思った。

 軽く食事していよいよここから右又の急登が始まる。夕立が怖いが時間と天候の許す限り出来るだけゆっくりと花を見ながら登ることにする。


    マルバタケブキ


    ヨツバムグラだが大型で葉に筋が入っており、オオバノヨツバムグラと思われる。


    ヒメコゴメグサ


    右又を見下ろすムラサキタカネアオヤギソウ


    タカネコウリンカ


    咲き残りのコイワカガミ


    御池小屋分岐付近のムカゴトラノオのお花畑


    咲き残りのシナノキンバイ


    ミヤマアカバナの群落


    砂礫の中に咲いていたタテヤマキンバイ


    アカイシミヤマクワガタ満開


    仙丈ケ岳の方向で雷鳴が轟いている。こっちに来るなと祈りつつ急ぎ足で肩の小屋まで登る。

 天気が許せば花を探して5時に肩の小屋に到着すれば良いだろうと思っていたのだが、御池小屋分岐付近で遠雷が鳴り始める。さほど近くは無さそうだがいつこちらで鳴り出してもおかしく無い空である。稜線に抜け出て小太郎尾根分岐あたりからはもはや気が気では無く写真を撮るのを控えて急いで小屋に向かい、3時半に肩の小屋に到着した。少しだけ雨に降られたがすぐに止んでくれ、雷雲の直撃も避けられたことは幸運だった。山岳レインジャー隊は今回19名参加という大人数で、2時ごろに到着したそうで既にビールを開けて小宴会が始まっていた。合流して同じ部屋に泊まらせていただくことにした。大学生や留学生も参加しておりなかなか面白い自己紹介や山と花の情報交換で盛り上がった。


    途中の草地で見かけたホザキイチヨウラン。数はそこそこにあるのだが、この場所のこの花は小型で良く探さないと見つからない。


    今年は数が少なかったミヤマチドリ。


    さらに数が少なかったタカネアオチドリ。天候が気になってあまり探せなかったこともあるが1株しか見つからなかった。

 夕食後も談義が続いたが空を見ると雲がだいぶ晴れてきた。カメラを持って外に出ると仙丈ケ岳に沈んで行く真っ赤な夕陽が見えている。これは夜の星空が期待できそうだ。


    仙丈ケ岳に傾く夕陽

(1日目後編 夕の部に続く)
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キンバイソウ咲く草原 乙女高原  令和1年8月2日

2019年08月05日 | 山に咲く花
 保護柵で囲われたこの草原は植生の復活が著しく、アザミ類がたくさん咲いてくれるがキンバイソウとアヤメもだいぶ増えていると聞いている。櫛形山のアヤメ平でもキンバイソウは見られるがあまり数は多く無い。こちらの草原はどうなのだろうか?1週間ほど前にも訪問しようとしたのだが夕立に遭い土砂降りになったうえに雷鳴が轟いて途中で引き返している。この日も途中から雨が降り出しさらにはゴロゴロ・ドーンと鳴り出してしまった。駐車場まで行って空模様を伺っていると、遠雷は鳴っているものの雨は止み青空が見えてきた。カッパを着て保護柵内の草原を見に行くと、一面黄色いお花畑があちらこちらに広がっていた。こんなにキンバイソウが咲いている草原は今までに見たことが無い。


    キンバイソウが咲く草原。素晴らしい!


    キンバイソウ


    あちらこちらに黄色いお花畑が広がっていた。


    こんなに咲くものかと感動した。


    カラマツソウ


    カラマツソウとシシウドの白い草原


    チダケサシ


    チダケサシ咲く草原


    ワレモコウとチダケサシ


    ヒヨドリバナ


    クガイソウ


    ヤマトラノオ


    シモツケ


    シモツケソウ

 これほどのキンバイソウが咲く草原は山梨県では他には無いのではないかと思う。他の花たちも皆生き生きとしている。そろそろタムラソウが蕾を付け出しており、秋になると今度は赤い草原に変わって来るのだろう。また楽しみである。保護柵の効果がいかに絶大であるかがわかる。
    
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風の蘭舞う 令和1年7月31日

2019年08月01日 | 里に咲く花
 何度か見に出かけている風の蘭がようやく開花した。7月になっても花芽が見えていなかったので今年は咲かないのだろうと思っていたのだが開花がだいぶ遅れただけだったようで見事な花を咲かせてくれた。


    こちらの株はまだ開花していない。


    もうすぐ咲きそうである。


    長い尾をくるりと巻いていて格好良い。


    別の場所に行ってみると、見事に咲いている。


    ちょうど満開の見頃である。


    初めて見るこの白いラン。感動の対面である。


    長い尾を垂らして咲くこの花、妖精のような美しさ。


    何株か固まって開花


    シダレザクラの幹で咲いた花


    別角度から見上げる。

 今年は咲かないだろうと思っていたフウランが見事に花を咲かせてくれた。感動の出合いの時間が経つのも忘れて2時間以上も撮影していた。もう1ヶ所別の花を見に行く予定だったのだが時間が足りなくなってしまい中止となってしまった。この花が見られただけで本日は十分に満足である。
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