オバマ大統領の意向で広島での原爆犠牲者追悼式へアメリカ政府関係者が初めて出席する予定という。戦後65年、アメリカ政府は広島や長崎での追悼式を完全に無視して来たのです。
親しくなったアメリカ人へ聞くと、原爆投下は日本の降伏決意を早めたと言います。その結果、無駄に死ぬ多くの日本兵を助けたのです。日本人を助けるために原爆を投下したのです。
「しかし原爆は残酷な兵器ではありませんか?」と聞くと、「原爆も焼夷弾も人を殺す点では同じです。兵器には残酷の差は無いものです」と答えます。
そして。「日本人は卑怯な真珠湾攻撃をしたことを忘れていませんか?」と言います。
日本人は原爆投下したアメリカ人へ対して怨念を持ち続けています。アメリカ人は卑怯な真珠湾攻撃をした日本人へ怨念を持ち続けているようです。その怨念は世代を越えて受け伝えられています。
怨念とは何でしょうか?他人へは言えない恨みを抱いて、いつか相手を呪い殺してしまいたいという暗い情念です。建設的な結果にならないことは百も承知です。しかしそれを綺麗サッパリと捨てられません。それが人間です。復讐をするな。神へ任せよ。しかし人間はその教えに従えないのです。
アメリカ政府関係者は初めて出席すことで日本人の怨念の解消の方向へ動きだします。勿論、追悼と謝罪は別です。しかし本気で追悼を祈る心の先には謝罪の気持ちが自然に湧いて来ると思います。謝罪しろと大声で迫るよりは静かに見守るのが大人の態度です。
アメリカ人も真珠湾攻撃にたいして日本人に謝罪して貰いたいのです。バターンの死の行進へ対して謝罪して貰いたいのです。B29搭乗員捕虜の九州大学医学部に於ける生体解剖へ謝罪して貰いたいのです。
日本政府代表がアメリカでの追悼式へ出席したという新聞記事を見たことがありません。人々の怨念が強いので新聞社は目立たない見出しで小さな記事にしたのでしょうか?
さてキリスト教では原爆投下をどの様に考えているのでしょうか?
今年の読売新聞の4月21日の新聞に長崎で原爆を受け、損傷したマリア様の像をローマ法王がサンピエトロ広場で祝福したと報じています。長崎大司教の高見三明神父が持参した焼けただれたマリア像に按手して祝福を与えたのです。
ローマ法王ベネディクト16世はドイツ人です。しかし出身国とは関係なく、原爆を受けて苦しんだ多くの日本人の為に祈ってくれたのです。そして、マリア像をこんなにしてしまったアメリカ人の為に神へ許しを祈ったに違いありません。ローマ法王は戦争が起きるたびに心を痛め、双方の罪の許しを神に祈るのです。強く、強く、祈ります。どちらがより残酷で、どちらが悪いかは神様だけが判断できるのです。
ドイツ人のユダヤ人の大量殺戮についても同じように祈ります。
人間の暗い情念の怨念が少しでも消えるようにとも祈ります。怨念は決して良い結果を生みません。人間は復讐をしてはいけません。それは神がすることです。
広島の原爆追悼式へアメリカ政府関係者が出席することはアメリカ人の怨念を少し解消する効果も生みます。アメリカ人の為にもなるのです。
とても素晴らしいニュースです。上の挿絵の写真は「怨念」を暗示するように掲載しました。下の写真は、怨念が何時かは解消する希望を暗示したいと思い掲載しました。
今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。藤山杜人