いろいろな事情で孤独な人がいます。年老いて旅立つとき誰も関心を持ちません。人知れず孤独に死んで行きます。市役所が無縁仏の墓へ埋葬し、供養します。都会では死後、何日もたってから発見されたというマスコミ報道が多いのものです。ご本人は覚悟の上なので他人がとやかく言わない方が良いとも思います。
しかし出来ることなら多くの人々が親切な気持ちから関心を持ち、同情し、勇気付ける方が良いと信じています。不運にも無くなったら追悼の気持ちを故人へ送るほうが良いと信じています。
マザーテレサはインドの路上で孤独死をする貧民を家に入れ、最後の日々だけでも愛情を注ぎ人間らしい生活をさせました。故人のいろいろな信仰に従って追悼式を行ったのです。
このように他人へ親切にしたいという善意は全ての人間が持っています。
天涯孤独な人がブログを書いていたお陰で、多くの他人が見舞いへ行き、勇気づけるメッセージを送り、死後は数多くの追悼の投書を送りました。私も見舞いに行きました。励ましのメッセージも送りました。ブログのお陰で孤独死でなくなったのです。
その実例をご報告いたします。
タイやネパールに25年以上、棲みついてアジアの手織り布の蒐集をしてきたHikarunoさんが昨年暮れに肺ガンになり、東京の病院で抗癌剤の治療を受けていました。しかし5月末頃から連絡が途絶えてしまいました。
現地の人々を愛しながら撮影した写真に感動して、このブログで彼の撮った写真を何度もご紹介してきました。アジアの手織り布の展示会にも3回もお邪魔し、親しくお話も聞きました。心やさしい紳士でした。病院へもお見舞いへ行きました。
亡くなったとは思いたくありません。しかし、ひかるのさんとネットの上で知り合い、何度も入院先の病院へ見舞いに行った「がらくた・おやじ」さんが、5月24日は病室で会えたが、6月10日に行った時は既に居なかったという報告を書いていました。
がらくた・おやじさんは方々へ手を尽くして、ひかるのさんの消息を懸命に探しましたが駄目でした。
そしてがらくた・おやじさんは、ご自分のブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/cbe0061/MYBLOG/yblog.html )、で「星は消えた」と題して(1)から(9)まで9編の思い出の記を発表しています。追悼記ではありませんが、内容をよく読んでみると、残念ながら、ひかるのさんは亡くなってしまったと思うようになりました。
そして「星は消えた」(9)、の後に数多くのネット上の友人から情愛あふれる投書が掲載されています。これを見て、私は2つの事実に感動しました。
まず、がらくた・おやじ様の親身のお世話ぶりです。病院に何度も見舞いに行き、いろいろ差し入れをし、ひかるのさんが蒐集したアジアの手織り布を売りさばく努力をしてくれたのです。全くの他人がそのようにして、ネット上で知り合った人を助けたのです。
そしてもう一つは、ひかるのさんへ温かい情愛を感じている人々が多数居ることに感動しました。それは「星は消えた」の(1)から(9)の文章へ対して数多くの投書があったことから分かります。特に最後の(9);http://blogs.yahoo.co.jp/cbe0061/43503147.html (コピー不可能なので、クリックしてご覧ください)の後には数多くの人々から、がらくた・おやじさん対する感謝の投書が寄せられたのです。
そして生前のひかるのさんのブログの7月11日記事として友人から確実な訃報が掲載されました。その訃報へたいして39件の追悼のメッセージが投稿されているのです。http://blogs.yahoo.co.jp/hikaruno_season/36435784.html をクリックするとその39件の追悼の文章を見ることが出来ます。
インターネットの世界は「かりそめの世界」。そんなものに本気になっている奴は馬鹿だ。そんなセリフを何度も聞きました。
しかし、その「かりそめの世界」の中でも、情愛あふれる人間の絆が確実に出来るのです。その絆の重要性が実感出来るのです。ひかるのさんとその周りに集まる人々は強い絆で結ばれているのです。美しいきずなです。私は死ぬまで忘れません。
最後にひかるのさんが小康を得て、一時退院していた時に撮影した江東区のある公園の風景写真をお送りします。合掌。
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下は、夫婦の鴨が散った桜の浮いている水面を泳いでいる様子です。
(この記事の文章の一部分は7月1日に掲載したものを編集しなおしましたものです。)