鉦鼓の音も澄みわたり 名もなつかしき宮戸川 都鳥も声添へて
南無阿弥陀仏みだ仏 浅茅が原のさうさうと 風冷やかに身にぞしむ
不思議や紅葉の影添ひて 塚のうしろにすごすごと 高尾が姿あらはれて
もみぢ葉の 青葉に茂る夏木立 春は昔になりけらし
世渡る中の品々に 我は親同胞の為に沈みし恋の淵 浮びもやらぬ流れのうき身
憂いぞつらいぞ勤めの習ひ 煙草呑んでも煙管より 咽喉が通らぬ薄煙
泣いて明かさぬ夜半とてもなし 人の眺めとなる身はほんに
辛苦万苦の苦の世界 四季の紋日は小車や
先づ春は花のもと 手折りし枝を楽しみて 何処に眺むる春の風
そよりそよりと花吹き散らす ちらりちらりと桜の薫り 野山を写す廓景色
夏のあけぼの有明の つれなく見えし別れ鳥 ほぞんかけたと囀るは
死出の田長や冥途の鳥と 鳴き明かす 籠の鳥かや怨めしや
秋の夜長に牡丹花の 灯籠踊の一節に
残る暑さを凌がんと 大門口の黄昏や いざ鈴虫を思ひ出す
つらい勤めのその中に 可愛男を待ち兼ねて 暮松虫を思ひ出す
虫の声々かはゆらし 我れが住家は草葉にすだく
露を枕に触らば落ちよ 泣いて夜毎の妻ほしさうに 殿子恋しき機織虫よ
露を枕に触らば落ちよ 泣いて夜毎の妻ほしさうに 殿子恋しき機織虫よ
昼は物憂き草の蔭
早時来ぬと云ふ声も 震ひわななき身に沁みわたり どろどろどろ 仇と怨と情の思ひ
追ひめぐり 追ひめぐり 震動稲妻凄まじく
無残や高尾は世の人の 思ひをかけし涙の雨
はんらはんら はらはら はらはら 降りかかれば 身に沁みたへて 木蔭に寄れば
刃の責に煩悩の 犬も集まり 牙を鳴らして飛びかかる
こは情なや牛王の烏 嘴を鳴らして羽をたたき 眼を抜かんと舞ひ下る 実に恐ろしき物語
坂東玉三郎、突然の引退表明の背景に猿之助騒動? 「元弟子からセクハラ問題で訴えられた過去が」
デイリー新潮6/25(日)10:57
23年目のヤブヘビ
“猿之助ショック”を引きずる歌舞伎界で、大物役者の発言が波紋を広げている。
「主は坂東玉三郎(73)。自身のプロデュース公演『坂東玉三郎 PRESENTS PREMIUM SHOW』に関する、今月5日の記者発表での発言でした」
とは歌舞伎担当記者。
「公演は9月。会場は東京・南青山のBAROOMで、バーも併設されている100席ほどの小規模なミュージックホールです。玉三郎は“体力的に歌舞伎座など大劇場で公演を行うのが難しくなった。今後はこのように、お客様と近い空間で芸術を届ける活動を軸にしていければ”と、本興行から距離を置く意向を明らかにしたのです」
言うまでもなく、玉三郎は斯界を代表する大名跡。
「玉三郎は片岡仁左衛門(79)と並ぶ、歌舞伎界きっての観客動員力を持っている。彼らに続く存在が市川團十郎(45)と市川猿之助(47)の二人でしたが、心中騒動で猿之助の復帰が絶望的ないま、玉三郎が実質的に大劇場からの引退を示唆した。松竹には過去に例のない衝撃が走りました」
松竹関係者が振り返る。
「会見では“大きな役で大劇場の公演を1カ月間、背負うことは体力的に難しい”とも。自他ともに認める完璧主義者の玉三郎は、10年ほど前から体力的な衰えを自覚していました。以来、長時間にわたって踊る『鷺娘(さぎむすめ)』や『京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)』といった大曲を避けていましたし、地方における短期公演も3年前からやめていました」
猿之助騒動の影響
都内の料亭に生まれた玉三郎は1歳半の時に小児まひを患いながら、努力と持ち前の美貌で人気を博した。
「歌舞伎入りはリハビリ目的で始めた日本舞踊がきっかけで、デビュー当時は足に後遺症が出ていたそうです。それでも“玉さまブーム”を呼んだ当代一の女形に登り詰め、平成24年には人間国宝に認定されました」
不意に飛び出したスーパースターの弱気発言。松竹幹部は、いまもくすぶる猿之助の騒動の影響を指摘する。
「猿之助の件は彼のセクハラやパワハラがきっかけとされていますが、実は玉三郎にも平成13年に似たようなセクハラ問題が持ち上がっていたんです」
過去のスネの傷
訴えたのは19歳の元弟子と彼の母親。この男性は13歳で玉三郎に弟子入りしたが、直後から「添い寝の強要や、下半身を触られるなど精神的な苦痛を強いられた」として1200万円の損害賠償を求めていた。
「歌舞伎界ではつとに知られた話ですからね。玉三郎は過去のスネの傷への飛び火を恐れて、記者の取材を避けやすい大劇場からの引退を決意した可能性もある」
どういうことか――。
「大勢の記者から猿之助に関するコメントを求められれば、過去の汚点が蒸し返されかねない。その点、いまのところ本人への直撃取材はないとか。翌6日付のスポーツ紙は“玉三郎が大劇場から引退”と大きく報じただけでしたね」
尾上菊五郎(80)と松本白鸚(80)という大看板は体調不良で休演中。猿之助に加えて、玉三郎の“退場”は、歌舞伎界に急速な世代交代を迫っているかのようだ。
「週刊新潮」2023年6月22日号 掲載を引用。
まだ歌舞伎界にデビューして間もないころ、「高校生のための歌舞伎教室」があったときに出演していました。もう50年以上の昔の話です。
そのとき、「全部、男が演じているのは分かったが、たった一人女優が入っていましたよね。」との声。
その女優が玉三郎でした。
まだまだ大活躍して欲しい方です。
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