早世した大蔵官僚:
戸矢 哲朗
東大法学部卒業後、平成7年(旧)大蔵省入省。スタンフォード大学留学中にPhDを取得。帰国後白血病に罹患していることが判明、2001年6月、闘病生活のすえ27歳の若さで逝去。遺稿となった論文が妻の翻訳により出版される-金融ビッグバンの政治経済学
組織が大事か、事なかれ主義が大事か-「金融ビッグバンの政治経済学:金融と公共政策策定における制度変化」
本書においては、「名声の最大化」を官僚が追求する目標として捉え、それを「組織存続」として定義する(p84)とされる。
ちなみに、この方は官僚の家庭に育ち、小学生のころ既に「将来の夢は大蔵省の事務次官」と公言する「名声の最大化」を内面化した人物だった。「金融ビッグバン」はいかにも合理的な改革のように喧伝されていたが、融資の現場にいたバーディーは、この政策の(一方的な)大転換の副作用ともいうべき、銀行の貸し渋り→企業の倒産(場合によっては経営者の自殺)などといった惨状を目の当たりにしてきた。
今にして思えば、現場を知らない(善意の)人間が抽象的に制度を設計することは、ある種の危険を内在させていたのである。
戸矢 哲朗
東大法学部卒業後、平成7年(旧)大蔵省入省。スタンフォード大学留学中にPhDを取得。帰国後白血病に罹患していることが判明、2001年6月、闘病生活のすえ27歳の若さで逝去。遺稿となった論文が妻の翻訳により出版される-金融ビッグバンの政治経済学
組織が大事か、事なかれ主義が大事か-「金融ビッグバンの政治経済学:金融と公共政策策定における制度変化」
本書においては、「名声の最大化」を官僚が追求する目標として捉え、それを「組織存続」として定義する(p84)とされる。
ちなみに、この方は官僚の家庭に育ち、小学生のころ既に「将来の夢は大蔵省の事務次官」と公言する「名声の最大化」を内面化した人物だった。「金融ビッグバン」はいかにも合理的な改革のように喧伝されていたが、融資の現場にいたバーディーは、この政策の(一方的な)大転換の副作用ともいうべき、銀行の貸し渋り→企業の倒産(場合によっては経営者の自殺)などといった惨状を目の当たりにしてきた。
今にして思えば、現場を知らない(善意の)人間が抽象的に制度を設計することは、ある種の危険を内在させていたのである。