三島にとって、川端は、自分の文壇デビューをバックアップしてくれた恩人であり、だからこそ結婚式の媒酌人を頼んだりしたのだろう。
とはいえ、作家・文人として見れば、二人の間に上下関係などあるはずもないので、あくまで対等な友人同士と考えるべきだろう。
だから、三島としては、川端の恩情は無償のものであり、これに対して報いる義務があるなどとは全く考えていなかった(義務がなくとも自発的に恩返しする)と思われる。
ところが、川端は、三島に対し、長年の恩情に対する「対価」(ご奉公)として、ノーベル文学賞を自分に譲ることを求めた。
川端としては、三島が断れないことは分かっていたはずなので、これは、親分から子分に対する命令といってよい。
しかも、さすがに「これまでの恩情に報いろ」というストレートな表現が出来ないため、川端が「君はまだ若いから、私は年だから」という風に「長幼の序」を持ち出しているところは欺瞞というほかない。
この瞬間、三島が川端に裏切られたと感じたことは確実である。
このやり取りを法的な言葉で表現すると、「 échange の強要によってbona fides が破壊された」 とでも言ったところだろうか?
とはいえ、作家・文人として見れば、二人の間に上下関係などあるはずもないので、あくまで対等な友人同士と考えるべきだろう。
だから、三島としては、川端の恩情は無償のものであり、これに対して報いる義務があるなどとは全く考えていなかった(義務がなくとも自発的に恩返しする)と思われる。
ところが、川端は、三島に対し、長年の恩情に対する「対価」(ご奉公)として、ノーベル文学賞を自分に譲ることを求めた。
川端としては、三島が断れないことは分かっていたはずなので、これは、親分から子分に対する命令といってよい。
しかも、さすがに「これまでの恩情に報いろ」というストレートな表現が出来ないため、川端が「君はまだ若いから、私は年だから」という風に「長幼の序」を持ち出しているところは欺瞞というほかない。
この瞬間、三島が川端に裏切られたと感じたことは確実である。
このやり取りを法的な言葉で表現すると、「 échange の強要によってbona fides が破壊された」 とでも言ったところだろうか?