Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

翻訳の工夫(2)

2021年01月22日 06時33分22秒 | Weblog
 ニーチェの「ツァラトゥストラ」の「自由な死」の末尾:
Lieber als Alles sehe ich euch, meine Freunde, den goldenen Ball werfen! Und so verziehe ich noch ein Wenig auf Erden:
verzeiht es mir!


 「わたしの友たちよ、何にもまして、わたしはきみたちが金の球を投げるのを見たい!されば、わたしはなおしばらく地上にとどまる。わたしがそうするのを許せ!」(吉沢伝三郎訳) 

 1行目のverzieheの原形は verziehen で「とどまる」、2行目の verzeiht の原形は verzeihen で「許す」というダジャレである。
 ニーチェは、文献学者として「ゆっくりと読むこと、前や後を見ながら慎重に・・・・・・繊細な指と目で読むこと」を重視していた。
 そういう意味では、上に挙げた文章は慎重に読むべきところなのだと思う。
 だが、悲しいことに、日本語でこのダジャレを訳出するのは不可能である。
 工夫するなら、「わたしはなおしばらく地上にとどまる(verziehen)。わたしがそうするのを許せ(verzeihen)!」とするくらいか?
コメント
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