Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

安楽椅子派の聖地巡礼(12)

2023年11月06日 06時30分00秒 | Weblog
 「「乾船渠ってどこだい?」
「ここだよ」
 山頂の低い崖のかげの、小体な洞穴の前に立つてリーダア格の少年が、微笑しながら洞穴を指さしてゐた。・・・
「ここが僕たちの乾ドック。山の上の乾ドック。ここでイカれた船を直したり、一度バラバラにして造り直したりするんだ」」(「全集9」p380)
 
 「船」と言えば、「潮騒」(昭和29年)の終盤のくだりを思い出す人がいるかもしれない。
 「潮騒」においても、「船」は象徴的な意味を帯びており、柴田勝二先生によれば「<日本人>とその精神の謂」であった(「三島由紀夫ー魅せられる精神」p153)。
 こうした観点からすれば、上で引用した”首領”(くどいようだが三島の分身である)の言葉も、なかなか含蓄深いものに思えてくる。
 つまり、殺害・解体されるのは、「大義」を忘れて経済成長に浮かれる当時の”<日本人>とその精神”だったのかもしれない。
 さて、まだ観て/聴いていないオペラ版「午後の曳航」だが、私は、オペラ鑑賞が大好きだったニーチェ先生に観て/聴いてもらいたいと思う。
 但し、私が予想するニーチェ先生の感想は、次のようなものである。
 「このヘンツェというドイツの作曲家は、ワーグナーのエピゴーネンか?『カマリナ沼』をかき回しておるぞ!
 それに、このミシマとかいう日本人の作家は、ディオニュソス信仰をまるで誤解しておるではないか!
 こんなもののために”予習”をやるなんぞ、とんでもない!
コメント
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