Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

金と信用

2023年11月10日 06時30分00秒 | Weblog
  「4月の東京都江東区長選で初当選した木村弥生区長(58)の陣営が違法な有料ネット広告を掲載したとされる事件に関連し、自民党衆院議員の柿沢未途(みと)・前法務副大臣(52)が朝日新聞の取材に対し、選挙前に複数の区議に現金を提供したと証言した。

 「パニックは信用の危機であり、恐慌はその崩壊である。本年日本で起きた政権交代は、各党が選挙で掲げたさまざまな政策を選挙民が熟慮し、選択した結果というよりも、政治社会における「信用」(忠誠)の崩壊の結果であり、その本質においては今回の政権交代に先行した金融危機そして金融恐慌、さらには経済全般に及ぶ世界恐慌と変らないものであったようにさえ思われるのである。それはむしろ経済や政治を超えた一般的な現象であり、現代世界におけるあらゆる「信用」の体系が揺らぎつつあることの一つのあらわれではないかというのが実感である。」(p273)

 日本における「信用」の崩壊について、木庭顕先生は、1930年代以降の連続性を重視するが、三谷太一郎先生は、必ずしもそうではなく、いわゆる「平成金融恐慌」を一つの契機と見ている可能性がある。
 その根拠は、上の2つ目に挙げた、「あとがき」から引用した先生の言葉である(なお、この本は2009(平成21)年12月に発行されたものであり、その年の夏、民主党が衆院選で大勝利を収め、鳩山政権が誕生していた。)。
 この文章の読み方はなかなか難しいが、少なくとも、政権交代を肯定的に評価するものでないことは確かである。
 あくまで一つの読み方であるが、「信用(忠誠)」という言葉から推測すると、三谷先生の批判は、「かつて自民党に属していたものの、党を飛び出して、今度は『政権交代』を声高に叫んでいる人達」に向けられたものと解釈することが出来そうである。
  そうだとすれば、真っ先に浮かんでくるのは、言うまでも無くO氏である。
 そして、そのO氏と一時期行動を共にしたのが、故柿澤弘治氏である。
 私が思うに、この人の”政党遍歴”はすさまじいが、そうはいっても、故渡辺美智雄氏への(日常で使用される一般的な意味における)「忠誠」は、おそらく揺るがなかった(と思う、たぶん)。
 その息子である渡辺喜美氏が設立した「みんなの党」から2009年の衆院選に出馬して当選したのが柿沢未途氏であり、ここに親子二代の「忠誠」を見る向きもあるだろう(それにしても、この人の”政党遍歴”も既にすごいレベル!)。
 さて、「信用(忠誠)」の意味を軽々に論じるわけにはいかないが、少なくとも、「金」(利益)や「力」(数)で動く関係を指していないことは確実だろう。
 そういったものを超えたところに、人間と人間を根本的に結びつける何かがあるということなのだろう。
 そういう観点からこのニュースを見ると、「信用」よりまずは「金」、さらには、「信用」イコール「金」、極端に言えば、「『忠誠』は『金』で覆せる」(対立候補側の区議にも金を配る)と言った感じの、政権交代以降の政治的思考が、現在も支配的であることを再認識させられる。

コメント
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