「かごかきの権三と相棒の助十が住んでいる神田の裏長屋。
今日は、年に一度の井戸替えの日だ。夏の日ざしが照りつける中、長屋中が総出で作業をするが、騒ぎの方が多くて、なかなか作業がはかどらない。
そこへ、長年この長屋に住んでいた小間物屋彦兵衛のせがれの彦三郎が、家主の六郎兵衛を訪ねて来た。彦兵衛は強盗殺人の罪で入牢中に病死したのだが、彦三郎は穏やかで人のいい父親がそんなことをするとは信じられず、無実を証明して父の汚名を晴らしたいと、はるばる大坂から来たのだった。
それを聞いた権三と助十は、何やらもじもじ・・・。実はふたり、事件の夜に真犯人とおぼしき人物、左官屋の勘太郎を目撃していながら、かかわり合いになるのを恐れて、これまで黙っていたというのだ(大ひんしゅく~!)。
やはり彦兵衛は無実の罪。しかし、名奉行と評判の大岡越前守の裁きで落着した事件を再審議してもらうにはどうしたものか・・・。六郎兵衛が知恵を絞る。
権三、助十、彦三郎に縄をかけ、「彦兵衛は無実なのに家主が十分に訪ねなかったと暴れ込んできたので引き立ててきた」と訴え出れば、再審議になるのではないか。
長屋のみんなの声援を受けて、権三たちは引き立てられていくのだった。」
今日は、年に一度の井戸替えの日だ。夏の日ざしが照りつける中、長屋中が総出で作業をするが、騒ぎの方が多くて、なかなか作業がはかどらない。
そこへ、長年この長屋に住んでいた小間物屋彦兵衛のせがれの彦三郎が、家主の六郎兵衛を訪ねて来た。彦兵衛は強盗殺人の罪で入牢中に病死したのだが、彦三郎は穏やかで人のいい父親がそんなことをするとは信じられず、無実を証明して父の汚名を晴らしたいと、はるばる大坂から来たのだった。
それを聞いた権三と助十は、何やらもじもじ・・・。実はふたり、事件の夜に真犯人とおぼしき人物、左官屋の勘太郎を目撃していながら、かかわり合いになるのを恐れて、これまで黙っていたというのだ(大ひんしゅく~!)。
やはり彦兵衛は無実の罪。しかし、名奉行と評判の大岡越前守の裁きで落着した事件を再審議してもらうにはどうしたものか・・・。六郎兵衛が知恵を絞る。
権三、助十、彦三郎に縄をかけ、「彦兵衛は無実なのに家主が十分に訪ねなかったと暴れ込んできたので引き立ててきた」と訴え出れば、再審議になるのではないか。
長屋のみんなの声援を受けて、権三たちは引き立てられていくのだった。」
昼の部最期の演目は、岡本綺堂原作の「権三と助十」(【舞台映像】歌舞伎座『権三と助十』初日ダイジェスト)。
岡本綺堂と言えば、「番町皿屋敷」が有名なので、グロテスク路線の作家かと勘違いしていた。
本作を見る限り、ユーモアに富む、テンポのよい会話が絶品で、外国のお客さんも爆笑していた。
「大岡政談」が元ネタらしいが、殺人の場面は出て来ず、大岡越前も登場しないものの、サスペンスの魅力が十分味わえる作品である。
さて、物語に出て来るポトラッチとしては、引用した部分の”再審議”の直訴が挙げられる。
当時、お上が下した裁判の再審を直訴することはご法度とされており、場合によっては罰が下る恐れがあった。
それにもかかわらず、権三と助十は、(大家さんの指示があったとはいえ)罰を恐れず引き立てられていったので、ポトラッチ・ポイントは、1.0×2人=2.0:★★。