地震の話ではない
帯のコピーには
資本主義はもはや「富が集中する様に仕組まれたゲーム」であり
その暴走によって格差はますます拡大し続ける。
暴走の先にはどんな社会が待っているのか?
とある
この本は経済に関する分野の本
著者はロバート・B・ライシュ 東洋経済社
タイトルには
そして中間層がいなくなる
のサブコピーがついている
週刊誌の書評を読んで求めたのだが
なるほど、非常にわかりやすい
景気不景気が循環するのは、富の偏りから起きる
と述べたり、その証拠となる数字を列挙したり
市場に任せればオーケーを無条件に前提とした経済の話とは
かなり違う
ここ数年の富の偏在は著しい
金持ちは富はあるがお金を使わない
中間層は欲しいものはあるがお金が無い
ここの分析で話を進めていく
話は横道に逸れるが最初の方の章に
最近は高度は判断力・スキルを要する仕事と
労働集約的な置き換え可能な仕事に(つまり人件費を安い方に選択できる)
大別されてきているとあったが
まさしくその通り
これはコンピュータの発達・ソフトの発展で人間の熟練は必要とされなくなった
気になることが一つ、日本に限るかもしれないが
今ひとつ経済に活力がないのは
実はもはやモノに満たされているからではないか?
そんなふうに思えてならない
勿論、細かいことを言えばホームレスだったり
就職できない人たちが多かったり
平均収入の半分以下の人たちもいるのは事実
しかし、それらを踏まえた上でも
日本は欠乏感に満ちて絶対欲しいと言う品物は
無くなってしまったのではないかと思う
若者は、その前の時代の人間が必死になって求めた商品は
すでに当たり前のように家に存在する
商品を手にする感激はもはや若者には
そんなに強くないのかもしれない
話はそれたけれど
市場に任せておけば大丈夫と呑気に構えていると
その市場を動かす輩の暗躍で
神の手による均衡にはたどり着けなくなる
様々な例が出てくるが、
つくづく感じるのは、人間の品格というものが
全てに換算できるお金に支配されつつあるという実感
資本と言うものが、そもそもそういった性質を持つものなのか
お金を一旦手にした人間は皆その手の人間性になってしまうのか?
そのことはわからない
だが、この本は昨年のベストセラー「これからの正義の話しをしよう」
と同様に多くの人の目に触れて欲しい一冊だ