音楽を聞いて連想する絵は何か?
との問いが、あるSNSであった
すぐさま思い立ったのがヴィターリのシャコンヌを聴いて思い出す絵画のこと
シャコンヌと言えばバッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ二番の最後の楽章のそれが有名だが
ヴィターリのそれもなかなか感情表現が濃くて印象に残る
クラシック音楽に関心があった小泉純一郎氏もこのヴィターリのシャコンヌのことを
なにかの本で取り上げていた
Youtubeにはたくさんの演奏があがっている
その中の1つがこれ
T.A.ヴィタリ 「シャコンヌ」 演奏:漆原啓子
この濃厚な感情の音楽を聴いた最初の頃から頭に浮かんだのはこの絵画
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ボッティチェッリの「シモネッタの肖像」
正確にはこの肖像を思い出したと言うより、この絵を描いているボッティチェッリの姿を想像したというところ
シモネッタ・ヴェスプッチはその当時(メディチ家が隆盛を極めたルネサンス期)の美女の一人とされており
残念ながら若くして亡くなってしまったが、メディチ家のジュリアーノの愛人(恋人)とも噂されている
その美人を朝の空気のなかでスケッチしているボッティチェッリが何故か頭に浮かんで仕方ない
ボッティチェッリの描く女性の顔はこのシモネッタに似たパターンが多いので
彼は単なる対象としてのシモネッタというより、彼自身もシモネッタにある感情を持っていたに違いない
と勝手に思い込んでいる(知らえぬ恋は苦しきものを、、)
ところでYoutubeにはヴィターリのシャコンヌの動画が沢山アップされているが
男と女の演奏では曲に対する共感の度合いが女性の方が強いように思われる
冒頭から女性は内側から湧き上がってくる情念のようなものを感じさせる(小さな子でも)が
男性は変奏曲形式であるこの楽曲をどこか冷静に眺めているような印象を持つ
ということでこの曲に関しては女性の演奏するもののほうが好きかな
(オイストラフの演奏で知ったので、この演奏も好きだが)
続いて音楽を聞いて思い浮かべる風景は、、
となると、昔からヴァーグナーのジークフリート牧歌を聴くと
青空の下、緑の麦畑がそよそよと風になびく風景が浮かんでくる
この頭の中の風景は1976年にバイロイトに行ったとき祝祭歌劇場の近くで
見かけたものとそっくりだが、その時まで見たことのない風景だったのに
なんで見たこともない光景が頭に浮かぶのか、、と不思議に思ったものだった
(残念ながらその緑の風景は現在は住宅等が建っていて見られない)
音楽を聴いて連想する風景ではないが、風景と音楽のミスマッチみたいなのが
ベートーヴェンが田園を作曲したとき散歩していたとされる道だ
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このハイリゲンシュタットの寂しい小さな川沿いの道からは「田園」を全くと言っていいほど想像できない
その場所に行ってみないと作曲家・作品の本質の理解ができないと言われるが
これは思い切り例外のような気がする
(この風景からあの楽曲をつくるベートーヴェンの凄さを再確認する)
しかしこの道(ベートーヴェンガッセ)ではなく、ハイリゲンシュタットの村の道とか建物の風景を
皇帝の二楽章を聴くとなんとなく思い浮かぶのは、これもまた不思議な気持ち
以上、徒然なるままに日ぐらし、心にうつりゆくよしなしごと、、、
それにしても、思い浮かぶことは、なんで脈絡もないのだろう
人は無意識に想像以上に支配されているってこと?