最近めっきり聞くことの少なくなったマーラー
レコード棚から、取り出してくれ!
とメッセージを発しているように
ジャケットが少しはみ出ていたのが
ワルター指揮のマーラーの5番のシンフォニー
マーラーの中ではこの曲とさすらう若人の歌が好き
後者はフルトヴェングラーとフィッシャー・ディスカウの名演にノックアウトされ
前者は実演の若杉弘とケルン放送交響楽団の情感あふれる実演が
今も鮮明に記憶に残っている
この5番、好きなのは最初の2つの楽章
有名な4楽章はきれいとか美しいのは認めるけれど
感動的な音楽じゃない(自分にとって)
だから聴き比べをするときは決まってこの2つの楽章がメイン
現時点でお気に入りは、テンシュテットの指揮のもの
旋律の音色が繊細に移り変わっていくさまは何度聴いてもゾクゾクする
バーンスタインはコッテリしすぎ
シノーポリは何故だかいつも途中で聞くのをやめたくなる
ラトルはまだまだ消化不良
さてワルターは?
録音はモノラル、それもすこしばかり古い
このハンディはあるとして、他の演奏を思い出しながら聴き始めたが
昔聞いているのだけれどあまり記憶にないから
新鮮に感じた(録音も気にするほど悪くない)
この演奏、何よりも音楽が自分のものになって、マーラーの考えたことが
表現されている(ように気がした)
先にあげた指揮者の演奏は、スコアを読み込んで自分なりに想像力を駆使して解釈しているが
ワルターの演奏は、スコアの解釈と言うよりも
友人(?)としてマーラーの人となり、考え方、感じ方を知っている強みで
ひどく説得力のある演奏になっているように思える
やっぱり実際に本人自身と会話し同じ時間を経験したものは少し違う
勿論、演奏はいろんな表現があってしかるべきなのだが
作曲家に近い演奏というものはこういうものかもしれない
このあとフォーレの室内楽を少し聴いた
ピアノ4重奏曲の第3楽章
今日は昼に聴いたが、夜中に聞くと本当にぴったり
しかも秋にはたまらない
ところで音楽はCDだけ聞いていればそれなりの音で不満はなくても
一旦比べてしまうとレコードの厚みのある音、楽器、
声の実在感のある音には叶わない
ということで最近はレコードばっかり
針を下ろす、ひっくり返す、そんな面倒な事も気にならなくなってきている