夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

「やさしい嘘と贈り物」

2010年04月24日 22時39分18秒 | Weblog
 うまくできている。正直、鑑賞後にそう思った。冒頭の話からすべてに意味がある。画面が変わるときの雲りがかった映像も、伏線である。映画を見慣れた者にも、珠玉の1本となるだろう。
 アメリカの小さな町で暮らす年老いたロバート。スーパーで働きながら、一人で暮らしてきた。だが、クリスマスが近づいたある日、隣に引っ越してきたというメアリーが、ロバートの家にいた。ロバートの家に鍵がかかっていなかったから心配で家の中に入ってきたと言うメアリー。いきなりメアリーに家に入られ、憤るロバートだったが、彼女にデートに誘われ、喜びを隠せない。
 スーパーの店長のマークに手助けをしてもらいながらデートの計画を立てたり、クリスマスプレゼントを考えたりと、メアリーに出会い、ロバートの日常が変わっていく。
 一方、美しく年を重ねてきたメアリーは娘のアレックスと暮らしているが、スーパーで絵を描いていたロバートが気になっていた。そして、ロバートを食事に誘う。メアリーはロバートに言う『出会ったときから愛している』と。だがメアリーは、ずっと影でロバートを支えていた。まるで妻のように。
 一見、老いらくの恋もの?と思うけれど、後半は話が一転。メアリーの姿が見えなくなったロバートは、パニックに陥る。それはなぜ?
 家族の深い愛情を描いた作品。ロバートを演じるのは78歳のマーティン・ランドー。メアリーは77歳のエレン・バースティンが演じている。監督は、これが長編初監督となる新人ニック・ファラーで24歳。大ベテランキャストに若き監督、そのギャップが魅力。とても老獪さを感じる、そして雰囲気のある作品である。