まず、この作品ははホラーではないということをお知らせしたい。いぬやしきとは人の名前なので、怪しいハウスを指したものではない。が、怪しくないと言えなくもない、そんな雰囲気はある。
とんねるずの木梨憲武が主演、さえない親父を演じるところから始まる。
会社では一人だけ売り上げが上がらす、上司から叱責されるばかりの犬屋敷。家に帰ると、妻や子どもには無視され、ウザがられている。
ある日突然、医者から末期ガンによる余命宣告を受ける。しかし、そのことを打ち明けられず、居場所がない犬屋敷は、立ち寄った近くの公園で時間を過ごそうとしていたところ、少年が一人でベンチに座る姿を見かける。
そのとき、空から強い光が差し、墜落事故に二人は巻き込まれる。それは、何者かによって未知の力を与えられた瞬間だった。
自分の身体の変化に気づき、恐ろしくなる犬屋敷。機械の身体に生まれ変わった彼は人間ではない遥かに超越した力を持つ。一方で、犬屋敷と一緒に不思議な力を与えられた少年・獅子神皓(佐藤健)は、凶器ともなるその能力で、大量殺人鬼となる。
傷ついた人を救おうとする犬屋敷と傷つけていくばかりの獅子神。
その二人がとうとう、向かい合うことに…。
原作は「GANTZ」の作者でもある奥浩哉。監督は佐藤信介と、再びダッグを組んだ。生の映像とCGを融合して、迫真の新宿崩壊シーンをつくった。体内から繰り出す兵器と空を飛ぶ映像の連続。手が込んだ作品となっている。
テレビCMでは円広志の♪飛んで飛んで(夢想花)♪が使われているが、実はそれはあまりマッチしていない。もっと緊迫しているので注意。佐藤健は、冷酷な雰囲気のある役柄の方が合っているような気がする。この作品でも身体能力の高さを発揮している。木梨憲武はちょっととぼけた雰囲気を生かしつつ、よく飛んだ!
このところ、最新技術を生かしたCG処理映画を観ている。これからの映画は、動く映像と独特の世界観のあるものになっていくのだろうか?
濱田マリが犬屋敷の妻役として出演。夫に厳しい言葉を投げかけながらも、パートに出て生活を支える。ほかに、本郷奏多、二階堂ふみ、三吉彩花、伊勢谷友介など。
(公開は4月20日、金曜日)