夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『ひとよ』

2019年11月11日 09時20分51秒 | Weblog

 ひとよ

劇作家・桑原裕子が主宰する劇団KAKUTAの代表作を実写映画化。運命を狂わされた家族が再会し、絆を取り戻そうとする。

監督は『孤狼の血』『凶悪』などの白石和彌。

冒頭から辛い、重い。そして、重い。ひたすら重い。

しかし、ニュースを見ていてもDVや虐待の話は日々報じられていて、身近に起こっていることである。そこは避けて通れない今日的な問題としてある。

 

ある雨の日。タクシー会社を営む稲村家の母・こはるは(田中裕子)は、夫をひき殺したという。

15年後に自分は戻ってくるから、あとは自由になれると子どもたちに告げて自首していく。

15年後。長男・大樹(鈴木亮平)は電器会社の娘と結婚。1女をもうけるが、妻(MEGUMI)はうまくいっていない。次男・雄二(佐藤健)はフリーライターに。長女・園子(松岡茉優)は美容師になる夢を諦め、スナックで働いていた。

そして、母は約束どおり戻ってきた。戸惑う子どもたちをよそに、母は変わりなく明るくふるまう。長男と長女は受け入れようとし、しかし、次男は反抗的で過去と向き合えず、それぞれの時間は過ぎていく。

 

この手の〝重い〟という感覚のものは最近は避けられる傾向にあり、ドラマや映画もライト感覚なものが多くなっている傾向にあるようだ。

だが、その重さから逃げないのが白石和彌監督である。これまでにも、重いと感じさせる作品を手掛けてきた。この作品も御多分に漏れず〝重い〟が、キャストは注目の若手俳優が使われているので、若い人にも見てほしいという作りて側の意思が伝わる。

白石監督の特徴でもある、大都会ではない、〝地方〟で限られた人間関係の中で生活する人たちに焦点を当てているのがこの作品でも肝となるところ。悪役をやらせてもうまい音尾琢真が、この作品では〝いい人〟。町にはこういう人がいてほしい。

自由のない窮屈さ、閉塞感が描かれているが、人は暗い部分は持ち合わせているもの。そして、それなりの個人の〝格差〟はそれぞれに感じていることだろう。

この映画は家族の再生と生き方に向き合う物語である。

そして、書いておきたい。子役たちの演技がうまい。大人キャストとの違和感なし。

 出演はほかに、佐々木蔵之介、浅利陽介など。