深夜ドラマでありながら人気を博していた「おいハンサム!!」の映画化。
原作は伊藤理佐の『おいピータン!!』『おいおいピータン!!』。脚本・監督
は、ドラマシリーズと同じ山口雅俊が務めている。家族と恋とごはんの物語で
会場を笑いと涙の渦に巻き込んでいく。幸せを求める伊藤家のお話し。
トイレにある張り紙『いつもきれいに使っていただいてありがとうございま
す』。この『ありがとうございます』を有効に使いながら、セリフがやりとり
される。
伊藤源太郎(吉田鋼太郎)は、家族の幸せを願うあまり、ちょっとうっとお
しい。だが、すごく強くて優しい父親である。
長女の由香(木南晴夏)は仕事は絶好だが、恋愛は絶不調。次女の里香(佐久
間由衣)は、浮気をされて離婚をしたのに「好きになってはいけない」原さん
(藤原竜也)をたぶん好きに。
そして、三女・美香(武田玲奈)は、婚約者とうまくいっていない。ある日、
食事中に妻の千鶴(MEGUMI)からショックな言葉を聞いた源太郎は、不適切
な発言を連発してしまう。由香は「男は見た目」という理由で別れたはずの大
森(浜野謙太)をすぐに思い出してしまうぐらい孤独を感じている。里香は
原さんからの逃亡を決め“恋愛疎開”のために京都へ。そこでは、幼馴染のたか
お(宮世琉弥)と再会する。美香は、街で声をかけられたイサオ(野村周平)
やスグル(内藤秀一郎)から猛烈にアプローチされていた。
今作も食べるシーンや家族リモート会議の集合はあり。このシリーズのいい
ところはこうしたシーンから生まれる父からのハンサムな言葉だ。その言葉を
聞いている女四人の表情が良い。なんて素敵な家族。特に今回は、伊藤家のオ
ムライスが出てくる。オムライスの主役はチキンライスであり、卵ではない。
だから、一つの卵を薄く焼いてチキンライスを包む。卵がとろけ落ちるもので
はない。この普通のオムライスは普通であるがゆえに毎日食べても飽きない。
派手な一日を生きようとする若者たち、明日はどう過ごす?そう、父は投げか
ける。そして娘たちに問う、「お前たちは幸せか?」と。
ドラマより少しグレードアップなロケ地?だが、このシリーズはどこかクセ
になるおもしろさがある。家の中のシーンも魅力的。映画も裏切らない。エン
ドロールにも一工夫あるので、座席は立たないようにしよう。
藤田朋子、ふせえり、野波麻帆、太田莉菜などのレギュラー陣の他、映画か
らの出演は光宗薫、六角精児、松下由樹、、中尾明慶などが出演している。