
2016年に、ゆとり世代を描き好評を得ていたドラマ「ゆとりですがなにか」
が7年を経て映像化された。脚本は宮藤官九郎、監督は日本テレビ出身の水田
伸生で当時から変わらず。キャストもすべて当時のままで出演している。
野心がない、競争心がない、協調性がないなどと言われた〈ゆとり世代〉。
そんな彼らも30代半ばを超え、時代はさらに変化し、人生の岐路にも立たさ
れている。
倦怠期のただ中にある夫婦仲、家業の酒屋も得意先から契約打ち切
りになりそうで浮かない日々を過ごす坂間正和(岡田将生)。よかれと思い始
めた動画配信もうまくいっていない。いまだに女性経験ゼロの小学校教師の山
路一豊(松坂桃李)。そして、事業に失敗し中国から帰ってきたフリーターの
堂上まりぶ(柳楽優弥)。それぞれが、良かれと思いやってきたことはから回
っていそうだ。そこに、家族や仕事の問題、ライバルに不倫疑惑が彼らの前に
立ちはだかる。
ばかばかしい。だが、社会の本質をやんわりと刺される宮藤官九郎の世界観
が満載である。そして、この映画のゆとり世代が手をやいているのが≪Z世代
≫の人々。あの≪ゆとりモンスター≫と言われて驚異の演技を見せていた仲野
太賀(当時は太賀)が、そのZ世代に泣かされる。うわーーー、出てきたと思
うが少々大人になっていて違和感がなくなっている。岡田将生の妻は安藤サク
ラ。カカア殿下を演じているのに、可愛げのある女性を表現し、この凹凸のあ
る夫婦はこのコンビしか表現できないと言える。岡田将生は一拍はずれたボケ
がおもしろい。レンタルおじさんの吉田鋼太郎も相変わらずの楽しさ←ちょっ
とハンサムなことを言う。
働き方改革やコンプライアンスと、生きづらくなっているこの時代。それで
も、日常は日常として続いていく。
それにしても、衝撃の≪ゆとりモンスター≫を演じていた仲野太賀が、今や
人気実力派俳優となり、NHKの大河ドラマの主演に抜擢されるようになったの
が凄い。7年間の活躍が生きた。出演は他に、吉岡里帆、島崎遥香、木南晴
夏、上白石萌歌、吉原光男。でんでん、中田喜子など。