
第77回カンヌ国際映画祭の監督週間に出品され、国際批評家連盟賞
を受賞した。監督は山中瑤子。
21歳のカナはエステ脱毛の施術をする仕事をしている。特に生きが
いもなく漠然とした日々を過ごす。ホンダ(寛一郎)とは同棲している
が、すでに刺激がなく飽きている。そんな時、街で出会った映像ク
リエーターのハヤシ(金子大地)と暮らすため、ホンダが留守中に
彼と過ごす部屋から出る。新生活に心躍らせたのもつかの間、ハヤ
シとのけんかが絶えなくなっていく。
出演はほかに、新谷ゆづみ、中島歩、唐田えりか、渡辺満起子ら。
この映画の主題は“心の中が砂漠”ということなのだろうか。
その映像的な表現が難しいが、これはちょっと方向が違うような。
河合優実は圧倒的な芝居を見せるし、廃れた人間の役が本当に上手
いと思う。そういう意味では彼女のための映画なのだ。彼女が主演
だからこそ成立する。
が、途中で観客は置いてけぼりになってしまう。男性がいないと生
きていけない、すぐに暴れてしまうなどの個性を一方的に受け入れ
ないといけなくなるしんどさ。最終的にはそれを精神的な病でまと
めようとするのも強引に思える。
河合優実が前作で主演した『あんのこと』は、その苦しさややるせ
なさにはちゃんとした理由があった。“ナミビア”の鑑賞途中で『蛇
にピアス』(2008)が頭をかすめたが、あの作品の若者たちは、生
きていく痛さを本当の“痛さ”でしかわかることができなかった。し
かし、それは観客も理解することができた。
“ナミビアの砂漠”の動画を見る主人公は何度も登場するし、砂漠で
水を飲むラクダのシーンはエンドロールにも出てくる。当方が“心
が砂漠”と言ったのはその画面があったからである。
外国で賞を獲ったこと、これは悩むなあ。
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