夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『キリエのうた』(DVD)

2024年09月14日 08時36分35秒 | Weblog

原作・脚本・監督の岩井俊二が元「BISH」のアイナ・ジ・エンドを迎え

ての新作。あることがきっかけで、歌うことでしか声を出せなくなった

主人公を演じる。音楽を担当するのは小林武史。松村北斗、黒木華、広

瀬すずという主役クラスのキャスト陣がアイナ・ジ・エンドを支える。

歌うことでしか“声”を出せない住所不定の路上ミュージシャン・キリエ

(アイナ・ジ・エンド)。行方のわからなくなった婚約者を探す夏彦

(松村北斗)。傷ついた人々に寄り添う小学校教師・フミ(黒木華)。

過去と名前を捨ててキリエのマネージャーとなるイッコ(広瀬すず)。

男女4人が出逢いと別れを繰り返し、生きる場所を見つけようとする

13年にわたる物語。

この13年に及ぶ魂の叫びと救済を感じてほしい。

石巻、大阪、東京、帯広と舞台は動く。

アイナ・ジ・エンドは俳優をやりきった。シンガーという役ではある

ので、その独特な歌声を聴かせられるのは言わずもがなである。豪華

な俳優たちの演技で、うなる場面もある。黒木華の小学校教師役は見

事で、子どもたちに寄り添う姿はさすがだった。大阪ことばもネイテ

ィブ。逆に、広瀬すずは良い意味でいつもの広瀬すずで、難役をこな

しているが、表情がいつも同じに見える。というか、アイナと同世代

を演じるにあたって若すぎる。全体的に重いテーマの中で、明るく振

る舞える演技ができる役者がほしかったのかもしれないが。

そして、松村北斗の不器用な生き方演技はハマっているのでそこは推

しで。

久しぶりに鑑賞した岩井俊二作品。繊細に人の心を紡いでいくのは天才

的だと思う。もちろんこれは監督の人柄によるところも大きいのであろ

う。そして、とても個人的にだが、舞台が北海道で移動していくのはも

う、『Love Letter』(1995)と同じ。もうここは“おーーー!”と反応す

るのはかなりのファン??帯広という土地での青春時代はこの映画の大

切な素地となる。美しい雪景色と、楽しい時代が現在に繋がる。

大きい出来事と小さな出来事を繰り返し、両方の表現をしながらこの映

画は構成される。そこに流れているのは、いくつもの“愛”である。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿