夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『死にゆく妻との旅路』

2011年03月14日 09時57分53秒 | Weblog
 保護責任者遺棄致死。そんな罪状で、とある初老男性が逮捕されたというショッキングなニュース。
 夫が病気の妻を治療も受けさせず、連れ回した。という聞いただけでは、冷たさを感じるこの話には、重々しい罪状とはまったく違う、真実があった。

 小さな縫製工場を営む清水久典は、バブルの崩壊で多大な借金を抱え、住む場所と仕事がなくなった。ガン手術後の妻のひとみを置いて久典は金策に走り回るが、一人残されることを妻が嫌がる。
 そして、妻と二人で仕事を探しながら、ワゴン車で日本全国をさまよう。迫り来る妻の死を見つめながらの、旅。272日、およそ6000キロ。夫と共に過ごすことを望んだ、末期ガンの妻。衰弱していく妻を看病し、夫は献身的な介護で妻を看取る。
 最愛の人と、ただ一緒にいることを望んだ夫婦のラブストーリー。夫婦が四六時中一緒にいることで生まれる心の揺れや、葛藤があることも無視せずに描いている。
 これが保護責任者遺棄というなら、心情的にはあまりにも酷い。深い愛が、じんわりと伝わってくる。
 監督は『初恋』の塙幸成。夫婦を演じるのは、三浦友和と石田ゆり子。清水久典氏本人による手記の映画化となった。


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