『凶悪』『弧狼の血』を手がけた白石和彌監督の初プロデュース作品。河林満
の名編「渇水」を原作に、生田斗真を主演に据えた。心の渇きにもがく水道職
員の男が、ある姉妹と知り合ったことで生きる希望を取り戻す姿を描く。
市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)は、後輩の木田拓次(磯村勇斗)
と共に水道料金を滞納する家庭や店舗を回り、料金徴収及び水道停止を行う
「停水執行」の業務に就いていた。猛暑が続く夏、市内に給水制限が発令さ
れ、貧しい家族を訪問して業務執行することは、忌み嫌われる日々だった。妻
子との別居生活も長い俊作は、心の渇きは強まるばかり。そんな時、育児放棄
されていた姉妹に関わることで救いの手を差し伸べる。
監督は、岩井俊二や宮藤官九郎監督の下で助監督を務めてきた高橋正弥。
「渇水」という言葉の意味が後半にいくほどわかってくる。そこからの“解
放“手段がポイントとなる。生きるためのライフラインで最も重要なのが“水”。
電気やガスは人が作ったものだから支払う。だが、水は自然にできたものだか
ら支払う義務がない。だが、どう主張されようが担当者は滞納するなら停止す
るのが仕事だ。つらい場面にも遭遇する。昔は、水が最後の最後まで停止され
ることはないと言われていたが、今はそんなことはない。水道局そのもののあ
り方も変化した。と、福祉的は手段はそれなりにあるのだが、難しいことがあ
るのも現状だ。そして、この映画の持つ意味が“心の渇き”ということにも掛け
ている視点はおもしろい。
岩切の妻・和美を演じるのは尾野真千子。姉妹を育児放棄する母・小出有希
は門脇麦、水道料金滞納者の伏見を宮藤官九郎、今西を宮世琉弥が演じる。他
に、池田成志、柴田理恵、田中要次、大鶴義丹など。
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