自民党「『政治主導』の在り方検証・検討プロジェクトチーム」が民主党への政権交代の意義を認める

2010-05-23 06:26:34 | Weblog

 自民党の「『政治主導』の在り方検証・検討プロジェクトチーム」(座長・林芳正政調会長代理)が5月21日、〈「官僚主導」と呼ばれても仕方のない状態に陥ることもあった――。〉とする、与党時代の反省を盛り込んだ報告書素案を纏めたと、《与党時代「官僚主導」だった… 自民PT反省の報告書案》asahi.com/2010年5月22日0時42分)が伝えている。

 詳しく知ろうとして、自民党HPにアクセス、検索したところ、2009年12月16日日付の、《「政治主導」の在り方に関する緊急提言》をヒットしたが、民主党の「政治主導」の批判に論点を置いた内容で、「asahi.com」記事が5月21日に纏めたと伝える内容とは違っている。記事が書いている「我が党の政権運営の総括」の章を探しても見つからない。日付が違うから、自民党HPのそれが記事が伝えている内容と違うのだろうと見て、記事を頼りに以下を書くしかない。
 
 「我が党の政権運営の総括」の章には次のように書いているという。

 「政務三役が自ら責任を持って行うべき与党・政府間の政策調整を、往々にして官僚任せにしてしまうことがあった」――

 「具体的なあるべき姿」の章――

 「予算編成過程がいわゆる『族議員』主導の硬直化したものと化していたとの反省に立つ」

 「記者会見は各省庁の政策責任者たる政務三役が原則として行うべきもの」――

 要するに自民党政権時代の官僚主導政治、族議員政治の自らの手による総括・否定が結果的に民主党の政治主導政治、族議員政治否定の肯定を成し、例え意図したことではなくても、間接的に民主党への政権交代の意義に向けた認知となっている。

 政権交代がなかったなら、自民党政治は自民党政権時代のまま、官僚主導、族議員主導の惰性で推移しただろう。政権交代が官僚主導、族議員主導を反省する報告書素案作成のキッカケとなった。

 族議員は族議員のみで成り立たず、特定省庁の官僚と結びつく政官癒着によって政策と予算執行の主導権を握り、さらに“財”と結びついて業界団体や利益団体の利益獲得への橋渡しをし、このような政官財癒着の構造を以って自らも様々な見返りの利益を得ることを自らの存在意義とし、こういった構図で特定省庁の官僚と利益獲得の“族”(=一門・系統)を築くことから、族議員と称せられたのだろ。

 その代表的なのが、国土交通省と結びついた道路族、文科省と結びついた文科族、厚生労働省と結びついた厚労族といったところを挙げることができる。

 いわば自民党政権時代は族議員が我が物顔に振舞って、業界団体や利益団体への利益獲得の橋渡しを優先させた政策と予算執行を行う政治を恣(ほしいまま)にしてきた結果、その成果が財政規律を考えない借金政治となって現れ、現在の国の借金が過去最大の882兆円、国民1人当たりに直すと、695万円という有難い財政無規律であろう。

 民主党は政策運営の弊害となる族議員形成の阻止を掲げている。成功するかしないかは別問題だが、族議員反対の意志を明確に持たなかった自民党政治に対して、民主党がその意志を掲げた点に限っても、政権交代の意義がある。

 政務三役とは、各省庁に於ける国会議員任務の閣僚、副大臣、政務官を指すが、自民党時代は政治主導ではなく、官僚主導の政治であったために政務三役とは名ばかり、大臣にしても政策、予算執行が官僚任せの官僚におんぶに抱っこであったことから、官僚なくして自民党議員、族議員は成り立たない存在形式へと自らを追い込んでいたために官僚の天下りや予算の無駄遣い、私的流用等に口出しも、突くこともできず、野放し状態としてきた。

 このことは民主党の事業仕分けが何よりも証明している。事業仕分けによって、初めてこれまでの野放し状態を断ち切る作業に取り掛かることができることになった。ここにも政権交代した意義を認めることができる。

 民主党は衆院選マニフェスト(政権公約)で「政務三役を中心に政治主導で政策を立案、調整、決定する」と掲げている。政治主導だからと言って、特定の集団・団体に利益誘導を図らない保証はないが、自民時代の族議員主導・官僚主導の特定の集団・団体に利益誘導を図った政官財癒着政治からの転換を意図していることだけでも、政権交代の意義を認めなければならない。

 国民はもしも民主党の政治主導政治に賛成するなら、政治主導に反する事例が生じたときは批判を加えるなりして、政治主導がいい方向に向かうように、あるいは政治主導が慣例として確立できるように監視していかなければならない。

 自民党自体が自らの政治体質としてきた自民党政権時代の官僚主導政治、族議員政治を自ら総括・否定して間接的に民主党の政治主導政治、族議員政治否定を肯定、民主党への政権交代の意義を折角認めているのである。この機会を逃さずに政治主導政治、族議員政治否定の確立に目を向けなければならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする