次の衆議院選挙で政権党を決めることとして、それまで国の政治を不安定とする衆参ねじれは阻止されるべき
5月8日の「YOMIURI ONLINE」記事――《福島党首「海兵隊、日本の抑止力とは違う」》
記事は社民党党首の福島瑞穂が8日、普天間問題で、「重要なのは時期ではなく、問題を解決することだ」と発言、5月末決着に拘るべきではない考えを改めて示したことを紹介した上で、8日朝のTBSの番組(『みのもんたの朝ズバッ』のこと)で次のように発言したことを伝えている。
「(在沖縄)海兵隊が抑止力や守備と関係があるのか。朝鮮有事の時の救援部隊で、米国人を救出するものだ。日本人の救出ではなく、日本の抑止力とは違う」――
日本の安全保障に関わる素晴らしい認識力を示している。在沖縄米海兵隊の任務が朝鮮有事の際の米国人救出にあるとは初めて知った。そうであるなら、当然、「日本の抑止力とは違う」ことになる。「日本の抑止力とは違う」在沖米海兵隊なら、存在理由の必然性を失う。さっさと出て行ってもらうしかない。
“抑止力”とは、想定し得る、あるいは想定外の“有事”の前以ての回避に備える軍事力、もしくは外交と、万が一発生した場合の“有事”を抑止して“平時”に戻す軍事力、もしくは外交のことを言うと思っていた。
福島はここでは米海兵隊を把えた発言だから、軍事力に限った“抑止力”ということであろう。
有事の際のそういった軍事力行使の過程で自国民、あるいは自国関係国民の救出をその必要が生じたとき行うのであって、いわば救出は二次的使命だと思っていた。
この発言をより詳しく紹介しているインターネット記事はないかと探したら、2チャンネルで紹介していた。参考引用させてもらう。
《☆ばぐた☆◆JSGFLSFOXQ》(2010/05/06(木) 17:00:09 ???0)
・6日放送の「朝ズバッ」で、福島みずほ大臣と自民・石破氏との普天間議論が行われた。
自民・石破氏
「今のままじゃいかんと言うのは一緒なんですけどね。
アメリカじゃなくて、日本の自衛隊が、今の憲法の範囲内で出来ることがたくさんあるんじゃないんですか。
例えば海外にいる日本人、いまアメリカの海兵隊が救出に行くことになっているんです。
じゃあそれを日本でやりましょうよと。
あるいは6千7千ある島を、日本の自衛隊の力で守れるようにしましょうよ。
日本で出来ることたくさんあるでしょ。沖縄の負担を減らすことはできるでしょ。
『自衛隊の強化だ。反対だ』『子ども手当には防衛予算以上の金を出すけど
自衛隊の能力強化には反対だ』というのはだだっ子と一緒。
例えば…反対ですか?賛成ですか?
ソウルやプサンにいる日本人を自衛隊が助け出しに行く。反対ですか?賛成ですか?」
福島みずほ大臣
「石破さんね、沖縄に海兵隊が必要だといって、しかし、沖縄の海兵隊はアメリカ人を先に
救出することになってるでしょ。日本人は(※聞き取れず)救ってもらえないわけですよ。
それが、どうして日本の抑止力なんですか?」
自民・石破氏
「自衛隊法に書いてあるからですよ。『輸送の安全が確保されない限りは行けない』と
書いてあるでしょ。何回この法律の改正を提案しても、反対したのはあなた方じゃないですか。」
みのもんた「じゃ、日本人は日本人が助けに行くってのに賛成したらどうですか?」
自民・石破氏
「賛成してください。」
福島みずほ大臣
「…それは、きちんと、また別の議論で…」
石破は、「今の憲法の範囲内で出来ること」として、「ソウルやプサンにいる日本人を自衛隊が助け出しに行く。反対ですか?賛成ですか?」と言っているが、憲法が第9条で禁じている「武力の行使」をどうクリアするのだろうか。武力を行使しないで救出が可能な場合は問題ないが、救出が目的であっても、救出ができずに戦闘行為に巻き込まれ、救出自衛隊が全滅する場合も想定しなければならないはずだ。
イラクでは日本の自衛隊はイギリス軍やオランダ軍による地域の治安維持のもと、復興支援活動を行うことができたが、「ソウルやプサンにいる日本人」救出に米軍の戦闘部隊に守られて行うとしたら、滑稽な倒錯を演じることになる。自衛隊自体が米軍の救出の対象となるからだ。
軍隊の第一使命は自国民の救出よりも、何よりも韓国に発生した“有事”を“平時”に戻すことで、それができなかった場合、自国民救出が例え成功したとしても、後で支払うことになる代償は遥かに大きなものになるに違いない。
“有事”を引き起こした国が北朝鮮である場合、日本の“平時”自体が危険な方向、“有事”の方向に向かわない保証を失う。北朝鮮の挑発、侵略に備えて自衛隊軍事力の強化、防衛予算の増額、米軍増強の受入れ等々を次の場面として用意しなければならないに違いない。
そういった場面を招かない備えが抑止力であり、それを主として担うのが軍事力ではあるが、外交によっても行われる。
それを福島瑞穂は在沖米海兵隊を、「(在沖縄)海兵隊が抑止力や守備と関係があるのか。朝鮮有事の時の救援部隊で、米国人を救出するものだ。日本人の救出ではなく、日本の抑止力とは違う」と、その抑止力を視野狭窄にも「米国民救出」に矮小化して把えているのみならず、そのように矮小化したいびつな情報をさも正しい情報であるかのように公共の電波を使って広く発信している。
福島瑞穂は3月12日の参院予算委員会で昨年9月の閣僚就任以来、初めて自衛隊を合憲と認めている。
《福島氏「自衛隊合憲」認める答弁 ただし「閣僚として」》(asahi.com/2010年3月12日19時26分)
元自衛官自民党佐藤正久議員「自衛隊は合憲ですよね」
福島瑞穂「閣僚としての意見は控える。社民党党首ですから」
閣僚として予算委員会に出席していたはずである。それとも社民党党首として出席していたのだろうか。社民党党首として閣僚席に列席していた・・・・。首に「社民党党首として当予算委員会に出席しています」と書いた看板を吊るして出席すべきだったろう。
その答弁に自民党が抗議して、審議が中断したと記事は書いている。
再開後――
福島瑞穂「社民党の方針は変わらない。内閣の一員としては内閣の方針に従う。自衛隊は違憲ではない」
「社民党の方針は変わらない」とは、社会党から社民党への名称変更後の2006年に出した「社民党宣言」に次のように書いていることに当たる。(一部抜粋)
(6)世界の人々と共生する平和な日本
国連憲章の精神、憲法の前文と9条を指針にした平和外交と非軍事・文民・民生を基本とする積極的な国際貢献で、世界の人々とともに生きる日本を目指します。核兵器の廃絶、対話による紛争予防を具体化するため、北東アジア地域の非核化と多国間の総合的な安全保障機構の創設に積極的に取り組み、「緊張のアジア」を「平和と協力のアジア」に転換します。現状、明らかに違憲状態にある自衛隊は縮小を図り、国境警備・災害救助・国際協力などの任務別組織に改編・解消して非武装の日本を目指します。また日米安全保障条約は、最終的に平和友好条約へと転換させ、在日米軍基地の整理・縮小・撤去を進めます。
党の宣言では、「現状、明らかに違憲状態にある自衛隊」としている。滑稽にも自衛隊の存在に対して自らに二重基準を強いる矛盾を演じて平気でいる。
自衛隊は違憲ではあるが、内閣の一員として内閣が合憲としている方針に従って合憲とする二重基準を正当と看做す矛盾した体質を抱えているからだろう、社民党は普天間の移設先として米領グアム、サイパンへの全面移転を最優先に掲げながら、〈移転までの暫定措置(5~15年)として、シュワブの部隊を陸上自衛隊相浦駐屯地(長崎県)に、普天間を相浦駐屯地近郊の海上自衛隊大村航空基地(長崎県)や佐賀空港(佐賀県)、航空自衛隊築城基地(福岡県)、海自鹿屋航空基地(鹿児島県)へ移設する案を検討〉(《社民、キャンプ・シュワブ陸上部隊の同時移設も提示へ 普天間移設で》msn産経/2010.3.2 21:03)することができに違いない。
もし内閣の一員としても自衛隊を違憲としていたなら、普天間の移設先とすることで違憲である自衛隊基地を正当化するという別の矛盾を演じることになるからだ。
先に、「(在沖縄)海兵隊が抑止力や守備と関係があるのか。朝鮮有事の時の救援部隊で、米国人を救出するものだ。日本人の救出ではなく、日本の抑止力とは違う」というふうに沖縄駐留米軍を把えているとするなら、存在理由の必然性を失うからさっさと出て行ってもらうしかないと書いたが、沖縄からの撤退に動くとしても、世界の平和維持に先進国家として、民主主義体制国家として役割と責任を担う使命を自らに課す必要が生じる。
世界から多大な経済的利益を得ながら、それを脅かし、阻害する状況に対して如何なる代償も支払わないで済ますことは許されない。
世界の平和維持は――“有事”への備えと発生した場合の“有事”から“平時”への回復は――人道支援のみで可能とすることはできない。
日本のその役目を今まで米軍が代って担ってきた。