次の衆議院選挙で政権党を決めることとして、それまで国の政治を不安定とする衆参ねじれは阻止されるべき
鳩山首相が初めて沖縄に訪問、沖縄県知事や名護市長と面会、5月4日の午後に記者会見した。その模様――
感想は質疑の途中途中で( )付青文字で簡略且つ横着に記した。
――今日は行く先々道中で、反対意見が非常に囲まれる訪問となりました。これだけ反対意見が出ていることについて総理は、どのようにお考えになっていますでしょうか。えー、また一部県内にお残しになることに変わりはないでしょうか。
(「お残しになる」という敬語表現は残される沖縄にとって有難い話ではないのだから、見当違いな使い方に思える。)
鳩山首相「ハイ、大変厳しい1日だったことはそのとおりであります。やはり、県民のみなさん、普天間の移設に関しましては、最低でも県外にして欲しいと、いう思いを殆んどの方から、伺いました。そこまでみなさんが、お考えになっているということの厳しさを改めて実感をいたしました。
ただ、私はやはり、住民のみなさんとそのようにお伺いすることができたし、来てよかったと率直に思っております。厳しかったけれども、来てよかったと。私の思いというものも、理解はなかなかいただけなかったと思います。しかし、自分として、やはり、例えば、この国の平和を考えたときに、日米同盟の将来を思うにつけ、どうしても一部は負担をまた、お願いをしなきゃならないという考え方をそれぞれ、申し上げたところでございます。
これが考え方に変わりはありませんが、ただ、なかなかご理解をいただいていないもんですから、これからも住民のみなさん、あるいは、仲井真知事さんを初め、しっかりと意見交換をしていきながら、解決をしていきたいと思っています」
――公約を覆したことの政治責任、政治的責任については、どのようにお考えですか。
鳩山首相「公約と言う言い方はあれです。私は、公約というのは選挙のとき、の党の考え方と言うことになりますが、党として、は、という発言ではなくて、私自身、オー、代表としての発言、ということで、あります。その発言の重みというのは、感じております。
(代表の発言で、「党の考え方」を述べた発言ではないから、公約ではない、と言っている。では、公約ではないとしても、党の代表として発言した責任はどうなるのか。あるいは党の代表でありながら、「党の考え方」ではないことを発言した責任はどうなるのか。どこか狂っている。
また、「発言の重み」を言いながら、その「重み」を具体化できないでいる責任に関しての発言がない。)
ただやはり、先程から申し上げておりますように、普天間の危険性の除去と、それから、沖縄の負担軽減というものを、パッケージで、考えていくときに、どうしても一部をご負担をお願いせざるを得ないというところを、これからも、しっかりと、みなさん方との意見交換の中で、模索して、解決して参りたいと思っております」
――今日は辺野古の海もご覧になりましたけれども、杭打ち桟橋方式に関しては、これは、この前おっしゃいました、「自然への冒涜」に当たらないと、お考えになっていますでしょうか。
鳩山「うん、これはまだ、今日も辺野古の海を拝見して、大変綺麗な海だと、思います。従って、私はまだ、どこにという、この件に関して、移設先を決めているというわけではありませんが、どのような状況であっても、大事なことは、環境を守ると、環境と言うものに最大限の配慮をしていく必要があると、思っております。
その一環の中で、桟橋という話が、アー、これは新聞紙上に載っている話ではありますが、まだ、それが確実になったとか、いう議論ではありません。一番大事なことは、当然、この国の環境を守りながら、平和を維持していくためにどういう解決策があるかということを、国民のみなさん全員で以て、考えていかなきゃならない。その先頭に立って、私自身が考えなきゃならんことだと思っています」
(直接答えていない。案としてその実現可能性を模索している以上、沖縄訪問もその実現可能性模索の一環なのだから、そうでなければ訪問は必要なくなる、杭打ち桟橋方式となった場合は「自然への冒涜」に当たるかどうか直接答えるのが正直な誠意ある態度というものであろう。)
――(「沖縄琉球放送」の誰とか言っていた。)総理、選挙の際にですね、「最低でも県外」ということをおっしゃって、で、県民の期待も高まったわけですが、先日は県民大会も開かれて、県民の意思というものが示されました。で、そうした中、今回ですね、エー、申し訳ないですとか、お詫びしたいですとか、あとは、その、すべて県外というのは厳しいと、いう発言が出ていますけど、エー、今回説明された、考え方ですね、そうした県民の思いに対して、応えられるものなのかどうなのか、先程名護市長からは、差別という話が出ましたけども、この辺りの整合性、をどう図っていくのかという、お考えを聞かせて欲しいと思います。
鳩山首相「先ず沖縄の県民のみなさんに、こちらにお邪魔をして、色んなお話を伺いながら、改めて、エー、もっと早く来いと、いうお気持も含めて、お詫びを申し上げに参りました。その思いが伝わったかどうかということになれば、そう簡単に、一度で十分に、伝わったとは思っておりません。
それだけに、また、みな様方と、意見交換をできるような機会を、これからも伝えたいと思っております。自分自身の、オー、気持と、それから県民のみな様方のお気持の中で、まだ乖離があることは、認めます。ただ、私は決して沖縄の、みな様方に対して、歴史的に大変な、例えば、基地を自分たちの土地を接収されて、強引に造られてしまったと、いう歴史的な事実が、あるかと思います。
そういった、アー、思いというものが強くあるだけに、沖縄の県民のみな様のご負担を、少しでも、和らげることができないかと、いう一心で、本来なら、もう、ある意味で、前政権がなさったことだからと、いうことで、昨年のうちに、結論を出してしまえば、あるいは、それで、私は終わった話にはならないと思っていますが、一つの結論は出せたかもしれませんが、私にはとても、それをやる、という、思いにはならなかった。
(「前政権がなさったこと」ことを「国外、最低でも県外」だと仕切り直しのスタートを切ったのは首相就任前の鳩山民主党代表自身である。いわば「前政権」の「結論」を自ら覆したのだから、「前政権」の「結論」で「終わった話」になるとかならないとかの問題ではない。)
それだけに、なかなか県民のみな様方にご理解いただけないですが、これからもお詫びを含めて、お邪魔をして、そして、みなさん方のご理解を少しでもいただけるうように努力してまいりたいと思います」
――総理は県外移設に難しい理由としてですね、海兵隊の抑止力の問題であるとか、日米同盟の重要性などを説いていらっしゃいました。今日はエー、そういうことになりますと、既に去年の時点で、エー、総理が最低でも県外と言った時点では、そういった認識が、言い方は悪いですが、浅かったと、県民からすれば、思ってしまうと思うんですね。その辺り、県民に対して、もう一度抑止力であるとか、日米同盟の重要性であるとか、だけで、今回県外移設はダメでしたということで十分な説明になるかどうか、そのあたりを総理はどうお考えでしょうか。
鳩山首相「私は海兵隊、というものの存在が、果たして、直接的な抑止力にどこまでなっているのかと、いうことに関して、エー、その当時は、海兵隊の存在の、そのものを取り上げれば、必ずしも抑止力として、沖縄に存在しなければならない理由にならないと思っておりました。
ただ、このことを学べば学ぶにつけて、やっぱりパッケージとして、即ち、この海兵隊のみならず、エー、沖縄に存在している、米軍の存在全体、の中での、海兵隊の役割というものを考えたとき、それがすべて連携をしていると、その中での抑止力が維持できるんだと、いう思いに至ったところでございます。
(日米の軍事専門家、あるいは軍事問題に詳しい民主党内の議員と議論を戦わせた上で、海兵隊の抑止力効果、存在意義等を煮詰めるといったプロセスを踏まなかった鳩山首相の「国外、最低でも県外」ということになる。だとしたら、「浅かった」ということだけではなく、軽率・無責任の謗りを受けることになる。)
それを浅かったと言われれば、あるいは、そのとおりかもしれませんが、海兵隊に対する存在の、トータルとしての、連携の中での重要性、というものを考えたときに、すべてを外に、県外、あるいは国外に見い出すという結論には、私の心の中でならないと、いうことであります」
(「それを浅かったと言われれば、あるいは、そのとおりかもしれませんが」とは、「私は愚かな首相かもしれません」の二の舞発言ではないのか。)
――総理、遠くにすべてを移すことは不可能な案だという発言がありました。徳之島に関して、・・・・(聞き取れない。)
鳩山首相「私はまだ徳之島の町長さん方にもお目にかかっていない段階で、あります。従って、結論は出ていない段階であります。しかし、やはり、何らかの形で徳之島のみな様方に、ご負担をお願いしたいと、沖縄のみな様方のご負担を、いくらかでも和らげるための、徳之島の活用というものにご協力を願えないかと。その中で、徳之島のみな様方のご理解をできる限りいただきたいということでありますので、これから徳之島の町長さん方にお目にかからせていただく機会がありますので、そのときに申し上げたいと思っておりまして、今ここで、結論が出ている話ではありません。恐縮です」
(鳩山首相の返事からすると、記者の質問は政府案として浮上している徳之島へのヘリコプター部隊の一部移設について聞いたのであろう。だが、「結論が出ている話ではありません」と言って、直接的な返事は避けている。順序として徳之島の町長に先に通す話ではあっても、「何らかの形で徳之島のみな様方に、ご負担をお願いしたい」という表現で徳之島案が実現可能性模索の段階にあることを示唆している以上、またそのための徳之島の町長との会談なのだから、詳しい話はできないがという断りを入れて、政府としては考えているぐらいは明らかにするのが誠意ある態度と言えるかと思うが、「国外、最低でも県外」を誤魔化して“一部県内”を正当づける沖縄訪問となっているから、ウソの上塗りならぬゴマカシの上塗りを犯すこととなって、誠意ある態度を自ら捨てることになっているのだろう。
このことはテレビのニュースで流していたことだが、稲嶺市長と会談したあとの記者会見で、「前政権よりも沖縄の負担軽減は不可欠だ」といったことを言っていたが、自らが約束した「国外、最低でも県外」を条件とした「負担軽減」とすべきを誤魔化して、前政権と比較した沖縄の負担軽減で“一部県内”を正当化し、併せて「国外、最低でも県外」を消去しようとする発言意図にも現れている誠意を欠いた態度であろう。
かくして矛盾だらけ、ゴマカシだらけの記者会見となった。)