次の衆議院選挙で政権党を決めることとして、それまで国の政治を不安定とする衆参ねじれは阻止されるべき
《少女ら25人雇い売春させた疑い 山口の高2少年逮捕》(asahi.com/2010年4月26日12時16分)
私立高校2年生(18歳)が高校を休学して昨年3月に上京、ネットカフェに寝泊まりしながら携帯電話の掲示板サイトに「稼げる仕事を紹介します」と書き込み、応じた14~17歳の少女25人を雇って売春させていたという。
逮捕自体は、〈昨年11月16日ごろ、都内の中学2年の少女(当時14)が18歳に満たないことを知りながら、東京都品川区の会社役員の男(38)=児童買春罪で罰金刑=に引き合わせ、台東区のホテルで料金4万円でわいせつな行為をさせた 〉容疑。
売上げは昨年3月から1年間で総額1千万円。高2男子と売春少女たちの利益分配は、〈少年が半分を得ていた〉と書いてあるから、折半だったことになる。
法に触れているという点を除いて、高2、18歳の若さでありながら、山口から東京に単身で進出、携帯電話1本で事業を起こした起業精神、その積極果敢な行動性は見事と言うしかない。
一人で少女25人の雇用を創出し、尚且つ顧客を開拓、月80万円以上の給与を得ているサラリーマンに相当する売上げを1年間で捻出、その商才もさることながら、利益は折半という従業員保護の平等意識もなかなかのものではないだろうか。
起業を思い立った動機は、《「援デリ」運営の高校生逮捕 少女ら使って1千万円売り上げ》(msn産経/2010.4.26 13:03)によると、 「金持ちになって折り合いが悪くなった同級生を見返したかった」となっている。
「見返したい思い」を直ちに行動に移した積極果敢な実行力、金持に対抗する金持となって手っ取り早く見返すにはどのような方法を採るべきか、職業選択の鋭敏な的確性は現在の日本の若者には期待不可能な資質であろう。
このことは最近の若者の海外旅行離れが言われている“内向き志向”と併せて、《新入社員“安定志向強まる”》(NHK/10年4月19日17時53分)が証明している。
この春に入社した新入社員の意識調査で、「定年まで勤めたい」と答えた若者が去年よりおよそ7ポイント増えて50%。
この50%は調査を始めた平成11年以来最も高い数値で、「転職したい」の42.2%を初めて上回ったそうだ。
この安定志向は当然のことながら処遇期待状況にも表れている。
「どのような処遇を望むか」
「競争よりも平等に昇進する年功主義」――50.4%(去年+8ポイント)
「実力が評価される成果主義」 ――49.1%(去年-7ポイント)
記事は、〈1つの会社で長く安定して働きたいという志向が強まっている〉と解説している。
次に組織内の上下関係構築方法を複数回答で尋ねている。
「上司との人間関係を築くのに何が有効か」
「飲み会への参加」――95.2%(去年+5ポイント)
「メールの利用」 ――29.4%(去年-13ポイント)
この傾向を記事は、〈会社の人間関係も密接な交流を重視しようという姿勢〉の現れだとしているが、仕事の能力を通して信頼を得る職務上の自己表現を以ってして会社内で築くべき人間関係を会社外の飲み会での自己表現能力に多くの若者が期待していることから窺えることは仕事は程々の大勢順応型、独立独歩とは相容れない全体的行動性であろう。
このことは記事が若者の就職に詳しいリクルートワークス研究所の豊田義博主任研究員の言葉として伝えている。
「景気の先行きが不透明なためリスクを避けようという意識が高まり、より安定志向が強まっていると考えられる。安定を求めると、指示待ちや受け身になりがちなので、会社は、新入社員に仕事の主体的な取り組み方をどう教えるかが問われると思う」
“リスク回避意識”(=安定志向)に支配される危険性を指摘している。リスク回避性向が「指示待ちや受け身」の安全運転・安定志向の姿勢を誘導すると。
このような最近の若者の傾向とは正反対の傾向が上記私立高校2年生、18歳の積極果敢な行動性、独立独歩のリスクをかけた起業精神に現れている。
一度労せずに大金を手にする方法を覚えると、覚醒剤に一度手を出すとなかなか抜けられないように再犯を繰返す恐れはある。だが、その積極果敢、独立独歩の起業精神が何らかの突発的なキッカケによって突然変異的にいい方向に向かわないこともない。法に触れない方法で有能な事業家にバケて世に現れない可能性は、それが僅かであっても、捨てきれないのではないだろうか。
記事を読んで、少年にいい方向での将来性を期待したくなった。