民主党は参院選勝利に向けて鳩山首相を“罷免”しよう!!
普天間基地の辺野古周辺部移設の日米共同声明発表を前に鳩山首相は成果を誇りたかったからなのか、昨28日朝、アメリカのオバマ大統領と電話会談している。《移設問題 日米首脳が電話会談》(NHK/10年5月28日 9時3分)
電話時間は20分。よく20分も持ったと思うが、多分、オバマ大統領が、「Can I trust You ?」と聞いたのに対して、鳩山首相がいつもの如く自信たっぷりに、「Trusut me !」と答え、対してオバマ大統領が、「It' True ? Can I trust You ?」と再度聞く。そのキャッチボールが20分のうちの後半10分間続き、最後にオバマ大統領が、「Ok , I trust You」と締めくくって双方共に受話器を置いたといったところではないだろうか。
鳩山首相は電話会談後、記者団に話している。記事動画から――
鳩山首相「オバマ、大統領とは、先ず、日米関係を、さらに深化させようと。その意味でも、普天間問題、に関して、エー、この5月末ということで、エ、結論を、エ、出したと。日米、プラス・ツーで合意できた、ということを、先方も大変、感謝しておりました」
事実「感謝しておりました」かどうかは、鳩山首相とオバマ大統領のみぞ知るところだが、相手が実際に感謝した場合、その感謝を当然のこととして受け取ったから、記者団に「先方も大変、感謝しておりました」と披露することができたのだろう。
もしオバマ大統領が感謝の言葉など述べずに事務的に片付けただけだったとしたら、鳩山首相自身の方で感謝を受けて当然のことをしたという自負から、オバマ大統領の感謝を演出したと勘繰ることもできる。
感謝したことは事実だとしても、今後のスムーズな進展を考えて、持ち上げる意味からの感謝ということもある。アメリカ側のほぼ思い通りになった“合意”であることを考えると、感謝の安売りにオバマ大統領としても惜しまなかったということもある。
どちらにしても、鳩山首相は日米合意という成果を相手方の感謝という言葉で評価した。
しかし鳩山首相が記者団に「先方も大変、感謝しておりました」と披露したとき、沖縄の民意、沖縄への気遣いが首相の頭に毛程も思い浮かべていなかったとは確実に言える。日米合意のみに目を向け、そのことだけで頭が一杯になっていた。
自らが公言していた「国外、最低でも県外」を実現する指導力を発揮できずに沖縄の期待を裏切った経緯からして、沖縄の民意、沖縄への気遣いが頭に少しでもあったなら、記者団に「先方も大変、感謝しておりました」などと、日米合意だけを成果とする発言を口にすることはできなかったはずである。
少なくとも現時点では今回の日米合意が沖縄側からしたら、沖縄の不同意と対立関係を成しているからに他ならない。
いわば、現時点での沖縄の不同意という民意とのバランスを考えたなら、また自らが「5月末決着」とした地元、連立内閣、日米の三者合意のうち、日米一者のみの不安全な合意となっている以上、その不完全な成果に対応した控え目な評価にとどめておくべきだったろう。
だが、沖縄の民意を一切気遣わずに、「先方も大変、感謝しておりました」と二者落ちの日米合意のみの成果を「感謝」という言葉で自らの評価として誇った。
このように沖縄の民意を頭に毛程も気遣うことができなかった鳩山首相自身の姿勢、大袈裟に言うと、人間性は常日頃から口にしている「沖縄の皆様方」、あるいは「沖縄の痛み」といった沖縄への気遣いに反するものであり、整合性を持って然るべき気遣いが破綻を示していること自体が「沖縄の皆様方」、あるいは「沖縄の痛み」といった言葉が如何に怪しい言葉か暴露している。首相の姿勢、人間性に相応した口先だけの言葉だということができる。
何事も口先だけだから、その口先だけであることに応じて、「国外、最低でも県外」を党の公約ではなく、代表としての発言だと平気で言い替えることができた。
口先だけとは、沖縄の民意、沖縄への気遣いは実際は本心にはないということである。
口先だけの言葉は昨28日、普天間移設の政府対処方針の閣議決定後の夜9時から記者会見の発言でも随所に見ることができる。
(記者会見記事は首相官邸HPから。)
「日本の国土のわずか0.6%の沖縄県に、駐留米軍基地の75%が集中するという偏った負担」を強いられているという気遣い。「沖縄は、先の大戦においても、国内でほぼ唯一の、最大規模の地上戦を経験し、多くの犠牲を強いられることとなりました。ここでもまた、沖縄が、本土の安全のための防波堤となったのであります」の気遣い。「戦後は、27年間にわたるアメリカ統治下でのご苦労、さらに返還後も、基地の負担を一身に担ってきたご苦労を思えば、現在の基地問題を、沖縄に対する不当な差別であると考える沖縄県民の皆様方のお気持ちは、痛いほど分かります」の気遣い。
1972年5月15日発表した沖縄復帰に当たっての政府声明、「沖縄を平和の島とし、我が国とアジア大陸、東南アジア、さらに広く太平洋圏諸国との経済的、文化的交流の新たな舞台とすることこそ、この地に尊い生命をささげられた多くの方々の霊を慰める道であり、われわれ国民の誓いでなければならない」を取り上げて、「この声明が発表された後、38年を超える年月を重ねました。私たちは、祖国復帰を果たした沖縄への『誓い』を十分に果たすことができているのでしょうか?」の気遣い等々。――
これらの心の底から訴えかける気遣いの数々に答を見つけるとしたら、自身が当初言っていたとおりに「国外、最低でも県外」を当然の答としなければならないはずだが、それを当然の答とはせずに口先だけとし、「普天間の代替施設を『県外』に移せないか、徳之島をはじめ全国の他の地域で沖縄の御負担を少しでも引き受けていただけないか、私なりに一生懸命努力をしてまいったつもりでございます」と「努力」に変質させる。あるいは「何とか県外に代替施設を見つけられないか、という強い思いの下、沖縄県内と県外を含め、40数か所の場所について、移設の可能性を探りました。
しかし、大きな問題は、海兵隊の一体運用の必要性でございました。沖縄の海兵隊は、一体となって活動します。この全体を一括りにして本土に移すという選択肢は、現実にはありえませんでした。ヘリ部隊を地上部隊などと切り離し、沖縄から遠く離れた場所に移設する、ということもかないませんでした」と「県外」不可能に至った経緯を持ち出して、「県外」移設の目はないとしながら、「私が当初思い描いていた、沖縄県民の負担や危険性の抜本的な軽減、あるいは除去に比較すれば、この閣議決定は、最初の一歩、あるいは、小さな半歩かもしれません」と、まだ道筋がついているわけではないにも関わらず、その道のりの遠さを感じさせずに、これで終わりではない、これから先のある話だと早くも期待を抱かせるようなことを言う言葉の軽さにしても、単に言葉を弄する一種のゴマカシに当たる。
口先だけのゴマカシはまだある。
「民主党自身も野党時代に県外、国外移設を主張してきたという経緯がある中で、政府は昨年9月の発足以来、普天間飛行場の代替施設に関する過去の日米合意について、見直し作業を実施をいたしました。
鳩山政権として県外の可能性を米国に投げかけることもなく、現行案に同意することにはどうしても納得できなかったのでございます」
自身が先頭に立って「国外、最低でも県外」と言ってきたことを、「民主党自身も野党時代に県外、国外移設を主張してきたという経緯がある」と口先ですり替えるゴマカシ。
「自分の言葉を守れなかったこと、それ以上に、沖縄の皆様方を結果的に傷つけることになったことに対して、心よりお詫びを申し上げます」とは言っているが、米側との交渉、予定していた移設先の地元との交渉の結果、「国外、最低でも県外」を果たすことができなかった、結果として「自分の言葉を守れなかった」とするならまだしも、党の公約ではない、代表としての発言だと口先ですり替えるゴマカシを演じている以上、またオバマ大統領との電話会談で、沖縄の苦渋・怒りを毛程も気遣うことなく、日米同意を「先方も大変、感謝しておりました」と、三者全体に通用しない「感謝」を自身への評価とする姿勢からも、すべてが口先の誤魔化しに満ちた発言としか受け取ることはできない。
「5月末決着」を一つでも完成させるために二者合意を無視、後回しにして日米合意のみを果たしておきながら、首相は質疑応答で次のように発言している。
鳩山首相「2014年までの移設完了に関してでございますが、当然のことながら、一番大事な沖縄県民の皆様方の御理解を深めていくということでございます。そのためには、仲井眞知事を始め、あるいは名護市民の皆様方の御理解を深めていくということ、そのことに誠心誠意、心を尽くしてまいりたいと思っておりまして、私ども辺野古周辺に代替の施設を建設をするということを2プラス2でアメリカとの間で申し合わせたわけでございますので、その方向に向けて最善の努力を積み重ねていく、そのことで環境のアセスの問題もあるわけでございますが、できる限り2014年までに完了できるようなスケジュール感を持って進めてまいりたいと、そのように考えております」――
「一番大事な沖縄県民の皆様方の御理解」という言葉に込めた「一番大事」だとするこの気遣いは日米合意を「一番大事」だとして優先させた姿勢とは一致せず、「国外、最低でも県外」の気遣いとは天と地の距離があり、すべてが口先だけのゴマカシであることを暴露している。
また福島者大臣を罷免したことについて、「連立3党の中で、私は連立3党の、特にいわゆる普天間を始めとする米軍再編に関する食い違いが際立ったところがございましたが、連立3党も真剣に政権の樹立のときに合意をいたした文書がございます。そこには米軍再編は見直すということが書かれておったわけでありますが、その合意文書の中に、必ずしも県外・国外ということを規定したわけではありません。ただ、私自身の発言、あるいは民主党自体がかつてそのことを主張していたという事実がございました。
したがって、連立3党の合意の中には、そのような県外・国外ということは書かれておりませんでしたけれども、発言の重さということをとらえた中での考え方の近似性の中で、社民党さんとすれば、政権はそれを守るべきだと主張された。そこの最終的な中での食い違いというものが表面化をしたということと理解をいたしております」と言っているが、3党合意文書には「国外、最低でも県外」と言っていた手前、「県内」とも書かれていなかったはずだ。書いてあれば、社民党が「国外」を最初に模索するという事態は生じなかったはずで、また社民党の従来の“国外姿勢”からも、「県内」と規定することは反対しただろうから、「県内」と書いてなかったと言える。
いわば鳩山首相やその他の閣僚が最初盛んに言っていた場所の選定に関しては“ゼロベース”の状態だったのだから、社民党が国外、県外に拘っても間違いではない。首相自身も民主党も最初は「沖縄県内と県外を含め、40数か所の場所について、移設の可能性を探りました」と言っている。
当然、「合意文書の中に、必ずしも県外・国外ということを規定したわけではありません」を根拠に3党合意文書で移設場所を制約することには無理がある。もし福島瑞穂女史が3党合意文書で国外、あるいは県外と規定したと言っているなら、彼女自身も間違っていることになる。
いずれにしても、「国外、最低でも県外」を掲げていながら、自身が最も否定していた県内移設へと舵を切った。それも「自然への冒涜だ」と拒絶反応を見せていた辺野古への回帰を平然と果たそうとしている。「国外、最低でも県外」、あるいは「自然への冒涜」をなかったことと抹消し、県内移設を正当化するために訓練の一部移転、その他の負担軽減を掲げた。掲げた手前、実現に努力する義務を負うことになるが、鳩山首相が基地移設に関して沖縄県や沖縄県民に対して発信している自身の発言が偽り・ゴマカシで成り立たせていることに変わりはない。
それにしても4月21日午後に衆議院で鳩山首相と自民・公明両党首との2回目となる党首討論で鳩山首相が言った、「昨年の12月において、もし、『エイヤ』と、辺野古という場所に新たな普天間の移設先を決めていれば、どんなに楽であったか、はかりしれません」の言葉は何だったのだろうか。「国外・最低でも県外」を党の公約ではない、党代表の発言だとした言葉に負けず劣らすの偽り・ゴマカシに満ちた言葉ではないだろうか。