菅広報担当下村健一内閣審議官が明らかにした3月12日ヘリ津波上空視察はパフォーマンス

2011-05-03 09:40:10 | Weblog



 5月1日日曜日の朝日テレビ「サンデー・フロントライン」に広報担当の元TBSキャスター下村健一内閣審議官が出演して、震災発生翌日3月12日の菅仮免首相ヘリコプター津波上空視察時のビデオを撮影したのは自分だと明かした。

 但し4月26日の衆議院予算委員会で自民党の小野寺五典(いつのり)議員が既に下村審議官だと明かしている。

 興味があったので、この番組の下村氏が出演しているコーナーを昨夕と今朝文字に起したが、このことは日を改めてブログ記事にしたいと思う。

 小野寺議員が3月12日の菅仮免ヘリ視察を取上げて国会で追及した場面は4月28日の当ブログ《菅仮免視察は3月12日の上空視察ヘリコプター内で被災地の窮状を他処にビデオ撮影の主人公を演じていた - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に書いたが、小野寺議員は次のように追及した。

 小野寺議員「なぜ、カメラマンを連れて行くのか。なぜビデオを回す人がいるのか。私は正直言って、初めに総理が行った目的というのは、官邸ブログで自分のプロモーションビデオを作るためじゃないか。こんなことは思いたくないと思います」

 NHKの中継では菅首相は大臣席に座ったまま、唇を突き出して首を何度か左右に振り、そうではない、心外だと抗議するような様子を見せていた。

 だが、小野寺議員が「官邸ブログで自分のプロモーションビデオを作るためじゃないか」と問う前に、「私、この映像、テレビで見ました。総理、これを撮られたのは誰ですか」と問い質したとき、菅仮免はなぜか、「えー、同行した官邸のスタッフ、うー…、だったと思います。シー」と答えている。

 対して小野寺議員は答えている。 

小野寺議員「えー、下村さんという審議官、元TBSの。えー、テレビでキャスターをされた方。エ、この方と伺っております」

 「サンデー・フロントライン」は下村審議官が菅仮免の選挙を手伝ったとき以来の30年の付き合いで、菅仮免自身から広報担当として招かれたと紹介していた。

 その下村審議官が菅仮免一人舞台を目的としたビデオカメラを回していた。そう、菅仮免を主演対象として撮影していたのである。菅仮免一人に焦点を絞っていたと言い換えてもいい。そのことを承知していないはずはないにも関わらず、「同行した官邸のスタッフ」だと答えた。

 下村審議官であることを隠す意識が働いたと看做さなければならない。なぜなのだろうと考えた場合、撮影する側は広報方担当である以上、当然宣伝意識を働らかせて撮影をしているはずである。

 このことは「サンデー・フロントライン」での発言が証明してくれる。

 下村審議官「私が撮ったものを全部の放送局に帰ってきてすぐに分配したんです」

 「帰ってきてすぐに分配した」――タイムリー意識を働かせた宣伝意識に囚われていたことを窺うことができる。

 もし菅仮免がこの宣伝意識を共有していたなら、それは支持率を上げる目的の宣伝意識以外の何ものでもないだろうから、二人以外の誰にも知られたくない宣伝意識となる。いわば隠すべき宣伝意識であり、その後ろめたさを抱えていたから、撮影者の名前を問われても正直に告げることができずに「同行した官邸のスタッフ」だと隠すことになったということであろう。

 このことは下村審議官とキャスターの小宮山悦子や大谷昭宏、後藤謙次、姜尚中等の出演者との間の議論の最中に背景として時折流していた下村審議官撮影の視察ヘリ内のビデオの画面からも証明できる。

 最初菅仮免はブルーの防災服を着て窓際に座り、窓から津波がまだ引かない下界を眺めていた。それが突然、掲載した画像にあるように自衛隊服に着替えていた。ビデオでは青色の防災服の上に自衛隊の制服を重ね着していた。

 先に挙げた当ブログ記事に、〈青色の防災服で間に合うのに、何のために自衛隊服を着ているのだろうか。勿論、自衛隊の最高指揮官ではあるが、自衛隊の最高指揮官としての役目ではなく、あくまでも内閣トップとしての役目上、大震災に当たろうとしているのである。

 わざわざ着替えて写真を撮らせたところを見ると、変わった一枚として宣伝用に用意したとしか思えない。〉と書いた。首相官邸HPの数枚の写真からでは分からなかったが、ビデオでは左胸に、「隊長 宮本」の名札が貼ってあるのを見て取ることができた。

 何の隊長かは、文字が滲んでいて読み取ることができなかった。自衛隊の最高指揮官として着用する自身の自衛隊服ではなく、最初は自身の防災服だったのだから、任務として機上中の自衛隊員の制服を途中から借用したのだろう。

 宮本隊長なる自衛隊員から自衛隊の制服である自衛隊服を脱がせて、わざわざ青色の防災服の上に着て、襟まで立てている。ヘリは暖房設備を設置しているから、寒いということはあるまい。暖房を効かせていても寒いというなら、画像にある菅仮免の右側に立っている人物からジャンパーを着用すれば事は済む。

 軍隊という特殊な組織にあって制服は意識の鎧となる重要なアイテムであるはずだ。それを勤務中の自衛隊員から制服である自衛隊服を取上げるということは、ある意味自衛隊員でなくすことを意味する。勤務中に自衛隊服を取り上げられた自衛隊員にしても、無防備な裸にされたような気分になるのではないだろうか。

 自衛隊服になった写真を何枚か撮り、それを首相官邸のHPに載せる。同じく撮影したビデオを、「私が撮ったものを全部の放送局に帰ってきてすぐに分配したんです」とすべての放送局に配信する。これが宣伝でなくて何であろうか。

 小野寺議員が追及したようにプロモーションビデオを撮ったとしか思えない。福島原発の視察は検証を待たなければならないが、少なくとも津波上空ヘリコプター視察は宣伝のためのパフォーマンスだったと断ぜざるを得ない。


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