問題がどこにあるか見抜けない菅広報担当ドンキホーテな下村健一

2011-05-04 13:14:10 | Weblog



 菅仮免個人から広報担当として内閣審議官に任命を受けた元TBSキャスター下村健一のどこに問題があるかを認識できないために懸命に演ずることとなっているドンキホーテな広報担当ぶりを暴いてみたいと思う。うまく暴くことができるかどうか、お楽しみをと言いたいが、番組自体は「1mの距離から見た菅総理の素顔を伺う」とか、「“その距離1m”で見た危機対応」といった前フリ程のことはない期待外れの内容だった。

 但し下村健一という元TBSキャスターである広報担当の内閣審議官がどのようなムダな努力を尽くしているか、十分に知ることができただけでも一見の価値のある番組となっていた。

 菅仮免の広報担当の下村健一内閣審議官が5月5月1日日曜日の朝日テレビ「サンデー・フロントライン」に出演した。

 男性の声で、「今問われる菅総理のリーダーシップ。そして疑問視される情報発信力。菅総理の広報担当者がこのあとスタジオ生出演」とおどろおどろしく幕開けを伝える。声と同時に震災発生の翌日3月12日、ヘリコプターでの被災地上空視察の映像が流れる。菅仮免がヘリコプターの窓から覗いている。このときの服装は青色の防災服。

 小宮山悦子「おはようございます。サンデー・フロントラインです。東日本大震災から50日が過ぎました。菅総理は休日返上で復興への意欲を見せていますが、与野党問わず菅降しの声が高まってきました。理由は菅総理のリーダーシップに対する根深い不信感があるようです。そこで今日はTBSのキャスターで、現在は菅内閣で広報担当の審議官を務めています下村健一さんをお招きいたしました。のちほど1mの距離から見た菅総理の素顔を伺います」

 正面に座った下村議員が頭を下げる。

 「“その距離1m”で見た危機対応」のテロップ。いやが上でも番組を盛り上げようとする。

 小宮山悦子「その前に、菅総理のリーダーシップ、どう評価すればいいのか」

 石破茂自民党政調会長「どういう仕組みで政治を動かしたらいいのか、よくお分かりになっていないのではないのか」

 背景に流したヘリ内を写した映像では菅仮免は防災服の上に自衛隊の迷彩色の制服を着ている。

 松木兼公議員「ご苦労様と、是非一つ、ここ区切りですんでね、おやめいただいたらありがないなと、いうふうに思ってますけどね」

 田中真紀子「菅さんの能力の限界だと思いますね」

 街で拾った声を挙げておくと――

 街の声・男性「菅さんも一生懸命やってると思うんだけども、やっぱり人間の太さが足りないんじゃないでしょうかねぇ」

 街の声・男性「明確なビジョンもリーダーシップもない」

 すべてが菅仮免本人の資質に問題があるとしている。但しこの指摘が事実がどうかである。

 加藤公一前総理補佐官(菅側近)「3月11日の震災以降、非常に厳しい局面に於いては、適切にご自身で決断されてきた。それが最も発揮されたのは、東電に乗り込んだこと。

 相当な意志がないと、東電に押し切られて、それこそ撤退ということにもなりかねなかったから、私は立派だと思った」

 解説「現場を重視し、自分の目で確かめて判断することこそ、菅総理のリーダーシップだと主張する加藤氏。しかしパフォーマンスだと批判を招いている」

 ここで番組は4月26日の衆議院予算委員会で行われた小野寺五典(いつのり)自民党議員による、震災発生翌日の菅仮免ヘリコプター津波上空視察の目的が官邸ブログで自分のプロモーションビデオを作るためではなかったのか、撮影者の下村審議官ではなく、もっと重要な人物を同行すべきではなったのかとする追及の場面を取上げる。

 解説「果して渦中の人物は何を語るのか。TBSに入社、テーマキャスターとして活躍、1999年退社。学生時代に菅総理の選挙運動を手伝ったことが縁で、去年10月、広報担当の審議官として2年間の期限付きで官邸入り」

 下村審議官「その国の人たちにその国のトップの動きがオープンになる方がいいでしょ。そう思って、来て、つくっているわけですよ」

 如何なる情報もつくるのではなく、解釈した事実を解釈したなりに伝えることがオープンな情報伝達、あるいはオープンな情報開示だと思うが、「つくっている」としている。

 尤もどちらの情報伝達、情報開示であっても、都合の悪い情報は隠す力が働く。結果として、“つくる”という情報操作が行われることになる。国民の側が事実かどうかを見抜くしかない。

 5月2日の参議院予算委員会で林芳正自民議員が共同通信社の世論調査を取上げて、「政府の対応についてそれなりに評価する声がある一方で、リーダーシップに関しては非常に厳しい数字が出ている」と前置きして、リーダーシップというものはどういうものか菅仮免に尋ねた。

 菅仮免「私なりに二つのパターンがあると思う。一つは大変個性を持って、あるいは個人というものの発信力を持って、全体を引っ張っていくという、そういうリーダシップと、もう一つはリームのリーダーとして、そのチーム全体が力が発揮できるようにしていく。必ずしもその場合はチームリーダーがそれ程目立ったりしなくても、結果としてチーム全体がしっかりと機能する。この二つのパターンがある。

 私自身のことはなかなか何とも言えませんが、野党時代というのはチームリーダーという立場にはありませんでしたので、個人的にも色々とやってまいりました。しかし今の私の立場は、私は内閣総理大臣という立場で内閣全体、それは政治家ばかりではなく、官僚のみなさんも含め、内閣全体としてしっかり、この大震災といったまさに国難に対応できるように、そういう意味で今、ご指摘された世論調査で内閣に対してのそういう見方がですね、ポジティブだったということは大変私にとってはうれしいことであります」

 何とご都合主義な解釈であることが。だが、このことは事実として菅仮免に把握されている。

 リーダーシップとは何が起きているのか、何が起きたのか状況を的確に判断し、と同時に何をなすべきかを的確に認識する優れた判断能力、あるいは優れた認識能力を基本とし、そのような基本的な能力の上に判断し認識したなすべき必要事項を決断を持って実行に移す実行能力と決断能力、さらにリーダーである以上、成否に関わる結果に対して責任を持つ責任能力を言うはずだ。

 これらの能力を発揮できるか否かで個性は出てくる。個性は決して最初に位置づけていい能力ではない。

 発信力にしても、判断能力や認識能力、さらには実行能力、責任能力を欠いていたなら、満足な発信は不可能となる。

 「野党時代というのはチームリーダーという立場にはありませんでした」と言っているが、国のトップに立つには誰でも最初は少人数のチームリーダーから始まる。そのチームの頭数が次第に増えて、段々と大きなチームとなっていく段階を経るはずだ。

 少人数のチームリーダを務めることができなければ、多人数のチームリーダーを務めることができない。だが、野党時代はそれなりにチームリーダーを務めることができたということは、野党という状況でしか通用しないリーダーシップだったということなのだろう。

 内閣の原発対応を批判して辞任した小佐古内閣参与を任命するとき面談もせず、辞任のときも自身が会って対応したのではなく、他人任せとした場当たりで無責任な人事にしても、仮設住宅全員入居を8月のお盆までと公約しておきながら、同じ林議員の追及で、菅仮免は「100パーセント確定的だったわけではない。私が強く指示すれば実現できると私なりの見通しで言った。もっと人を増やすなど手当てをすれば達成できると私なりに判断した」(SankeiBiz)と確定的根拠で発言したわけではない場当たり、不準備を曝け出してたことについても判断能力や認識能力、さらには実行能力、責任能力すべての能力を欠いるからこそできる発言であって、これらの能力欠如は個人的な解釈が生み出した事実ではなく、客観的事実として存在する菅仮免の能力・資質だと看做さざるを得ない。

 林議員は同じ質疑で、与党・野党出席の「4月27日の実務者会議で国交省は9月末時点でも仮設住宅着工完成個数は必要数の6割程度とする計画を説明、首相答弁との食い違いを指摘されると、国交省側は『首相の思いを大切に努力する』」と答えたと追及している。9月末時点で必要個数の6割程度と国交省が認識していることに対する菅仮免の8月お盆全員入居の認識も如何にいい加減、無責任か分かろうというものである。

 かくかように菅仮免自身の能力と資質が問題となっているのである。そのことを前提としない広報――情報発信は意味をなさないはずだということを最初に断っておく。

 解説「内閣広報室には霞ヶ関の全官庁から送られてくる膨大な情報を各メディアに毎日配信するのが毎日の仕事」

 事務室にいる下村審議官。

 下村審議官「だから、(情報が多くて)間に合わない。私、殆んどずっと殆んど泊り込みです」

 テーブルの右脇最下部の大きな引き出しを開け、膨らんだ風呂敷包みを持ち上げる。着替えだという。下村審議官が内閣に入って始めた仕事の一つが「KAN-FULLブログ」の開設。震災後は更新を中止していたが、4月23日から再開。避難所視察などで厳しい声を浴びせられた様子も、そのまま載せる方針だという。震災後後新たにラジオ番組の放送も始まったと解説。

 ボランティア担当の総理補佐官の辻元清美と共にラジオ番組に出演、GWにボランティアに行くボランティアへの注意を呼びかけたと解説し、2人へのインタビュー場面。

 辻元清美「(下村の役割は)できるだけ官邸と、政治と本当に多くの人たちの壁を低くしていく。そのために走りまわっている。で、どんどん痩せていくんですよ」

 下村審議官(辻元に)「『もしTBSにいたら、今現場に行ってるやろ。今必要なのは食糧と水や』と(菅仮免から)ガツンと言われてエンジンがかかった」

 言うことだけは立派という菅仮免の性格が如実に現れている。震災後約1カ月近く経過してから政府が行った避難所の生活状況を調べるアンケート調査では「おかずや温かい物が時々しかない」避難所が未だ40%にも達していた(NHK)し、5月2日の「MSN産経」記事――《「阪神」より低い宮城の避難所の栄養価 1日2食の所も》(2011.5.2 20:39)は、兵庫県健康増進課が行った調査では阪神大震災と宮城県の避難所で出す震災1カ月後の食事の栄養価を比較したところ、〈阪神では1日3食のうち、1~2食の幕の内弁当とカット野菜が提供されていた。ところが今回は震災1カ月以上が経過した現在でも1日2食で、それもおにぎりやパンが中心の避難所も多いという。〉と、貧弱な食事事情を伝えている。

 このような食事事情からすると、菅仮免が言った「今必要なのは食糧と水や」からは単に満たせばいいといった状況しか見えてこない。

 菅仮免は昨5月3日の昼、震災後初めての外食を官邸近くのホテルの中華料理店で母親と小賢しいだけの夫人と3人で摂ったそうだが、避難所の食事は栄養価が足りない、粗末だからと言って自分もおいしいご馳走は自粛するのは日本の経済にとってよくない、記者会見で“自粛の自粛”を呼びかけた手前もあり、腹一杯満喫することにしたのだろう。菅仮免の日本の経済を考えた避難所被災者に対する思い遣りのバロメーターでもある。

 菅仮免本人は合理的判断能力を欠いているから、気づいていないのだろうが、菅仮免自身こそが情報発信体であって、何をしても様々な情報を発信する。

 小宮山悦子キャスターがANNの世論調査をフリップで示す。

 「原発事故を巡る菅内閣の情報公開は?」

 適切だと思わない   65%
 適切だと思う     19%
 分からない・答えない 16%(4月9日、10日調査)

 この数字の受け止め。

 下村「あのー、まさに菅内閣の情報公開というタイトルの部分を担えと言われて着任したのが私ですから、この65%はもう本当に私の責任だと思っています。本当に特に、あの、被災者、地で苛立ってらっしゃるみなさんに対して本当に申し訳ないと思っています」

 ここで既に勘違いが起きている。被災者を苛立たせているのは菅内閣の対応であり、満足な対応を現地に向けて発信できない菅仮免のリーダーシップである。広報によって埋め合わせることができるわけではない。もし埋め合わせることができたとしたら、誤魔化し、いわば情報操作を行うことによってのみ可能となる。

 だが、下村自身が菅仮免と同様、首相としての資質の問題ではなく、広報の問題だと心底思っているのだろう。菅仮免は首相就任早々から鳩山前首相に対するマスコミの批判的報道を見てきたこともあるからに違いないが、マスコミに警戒心を抱き、マスコミが曲げて伝える、政局絡みでしか問題を捉えないからと自身の資質に目を向けずに、とても向けることはできないだろうが、いわば情報の発信の仕方の問題、報道の問題としてきた。

 報道の問題としたとき、安心を得ることができる。そこで広報で報道の不備を補おうとしたに違いない。

 だが、実際は菅仮免の資質の問題であることから目を背けて、広報でその資質の欠如を補おうとする無駄な努力はまさにドンキホーテである。

 小宮山悦子「どこが一番の原因だと思いますか」

 下村「そうですね、とにかくやっぱりこういうことを言っちゃあいけないんですけど、やっぱりホントーに桁違いの災害で、物凄い量の情報が色々なところから入ってきて、それを届けなければならない。もう懸命に走りながら、やってるんですけども、あの、なかなか(情報が)出ていかない。

 今日はみなさんにホントーに、あの、こうしたらしいいよとアドバイスをいただきたいんで、ちょっとですね、数十秒だけ、(情報発信を)今どういう流れでやっているかっていうことを、今忙しいんでさっき書かせていただいたんですが――」

 内閣広報室への各対策本部、各省庁、メディア(「各テレビの番組は全部見ています」)、避難所からの情報の入りと、内閣広報室からの長官会見、ホームページ、ツイッター、壁新聞、ラジオと、英語版フェイスブック、在外公館、地方紙広告への情報の出を矢印で示したフリップを示す。

 ここからもあくまでも菅仮免自身の資質の問題ではなく、情報発信の問題、広報の問題だと認識しているドンキホーテを窺うことができる。

 「内閣官房内閣広報室『壁新聞』担当 行と郵送先を印刷した封筒を示して。

 下村「壁新聞を作っているんですけど、そこの壁新聞宛に封筒を配っていて、避難所の人々から質問を集めて、何を知りたいのかというのを知って、集まった物をここに私はいるんですが(とフリップに書いてある「内閣広報室」の文字を示し)、出し方を色々工夫しています。長官会見、当然あります。それから直接ホームページ。それから速報性のあるツイッター。で、壁新聞、これですね(とサンプルの壁新聞を手に持ち)、これは既に8号まで出しました。被災地のコンビニなどを合わせると、今5千箇所ぐらい、これどんどん週2回ぐらい貼っています。

 まあ、あとラジオもやっていますし、地方紙の広告の借りてますし、英語版フェイスブック、在外公館のはそれぞれのホームページに40ヶ国語で、それぞれの国にこうなんだと説明をやっている」

 元キャスターでありながら、的確な用語に欠ける憾みがあるが、これもあれも伝えたいという気持が性急な話し方となって現れていて、涙ぐましい努力を窺うことはできる。だが、菅仮免自身の資質の問題である以上、どんな方法を使った広報であっても、どんなに努めても、空回りする宿命しか待ち構えていないことになる。

 小宮山悦子「それを何人のチームでやっているのですか」

 下村「えーとですね。今一生懸命増員して、2~30人と、ボランティアでいわゆる手伝ってくれる民間の情報発信のプロとの方で、その方々が数十人ですかね。というチームなんですけど、追いつかなくて――」

 これだけの陣容で菅仮免の支持率を上げようと躍起となっている。官房機密費からも相当出ているに違いない。

 「共同通信政治部長で編集局長を歴任、旧田中派幹部に深く食い込んだ」とテロップで紹介の後藤謙次が発言する。

 後藤謙次「僕は組織を見ていてですね、非常に問題点が浮かび上がったというか、下村さんが官邸に呼ばれた最大の要因は菅総理の生の声を国民に伝えると、そういう大きな組織の中のですね、掻き集めて整理するって言うのか、下村さんの役割じゃなくてですね、菅さんの魂の叫びを被災地のみなさんに(下村神妙そうに「ウン、ウン」と頷いている。)、あるいはその他の国民に伝えるっていう役割がね、つまり下村さんの立ち位置を菅さん自身が間違っていると、思わざるを得ないですよね」

 こいつ、菅仮免が政権にしがみつくだけの能力しかなく、「魂の叫び」など持ち合わせていると心底から思っているのだろうか。この男にしても菅仮免自身の資質の問題だと捉えるだけの認識能力はなく、単に立ち位置を違えているだけのことで、やはり情報発信の方法に問題があると見ている。

 もし菅仮免が「魂の叫び」なるものを持っていたなら、内閣その他のスタッフを動かし、「政治は結果責任」、それなりの成果を上げていただろう。

 下村「あのー、半年前に、あのー、TBSのそれまで出ている番組をやめて、この仕事に移ったときは確かにそれが自分の役割だと思っていた。やっぱ3月11日を境に変わったのかなあと。

 これ、今、ホントーに色んなことやっているんだけど、伝わっていないんですよ。で、これだけやっていても、政府は何もやっていないって発信していないって言われるってことは、多分、ジャストミートの情報になっていない」

 いくら広報に手を尽くしたとしても、その先から尽くした情報を突き崩していく場当たり、他人任せ、無責任な「ジャストミートの情報」発信を菅仮免自身が常に行って帳消ししていくイタチごっこ。

 いくら菅仮免本人にしても、「震災対応は政府を挙げてやるべきことをしっかりやってきている」という情報発信を行おうと、「政府全体では一定の評価をいただいている」と情報発信しようとも、発言とは異なる結果・実態、あるいは合理的判断能力を欠いた発言等が「ジャストミートの情報」発信となって広く伝わり、これだけやっているとしている広報をムダな抵抗、ムダな努力に仕向けることになっている。

 何度でも繰返して言わなければならないが、すべては菅仮免自身の資質の問題だからだ。

 後藤謙次「それは下村さんのまさに、そういう言葉をパシッと言えば、それはあなたの細々とした情報の遥かに大きな影響力が私は出ると思うが」

 何を言ってるんだか。

 小宮山悦子「震災が起きたからこそ、今までの役割を変えちゃいけなかったんじゃないですか」

 下村「うーん」

 あくまでも菅仮免の政治的な資質・能力自体が情報発信体となっていて、様々なマイナスの情報を発信しているのであって、如何に情報を発信するかの情報発信の巧拙の問題ではない。

 姜尚中「これ非常にさ、内閣広報室は広報官がいるわけですよね。それは先程後藤さんから教えていただいたけど、総務長官、で、その方の上に福山さんがいて」

 下村「福山さん。えー、えー」

 姜尚中「福山さん、官房副長官がいるわけですよね。で、最終的には枝野さんがいると。それで、いわば下村さんがそういう縦割りの中の、中の一人でいるんじゃなくて、いわゆる菅さんともう一心同体で動いて、今おっしゃるようにダイレクトに、その、肌感覚で今これに向かおうとしている菅さんの気持が我々に伝わればいいわけですよね。

 なんかこういう組織の中で下村さんがどう思うかっていうことではなくて、下村さんはやっぱ別個に、もう一心同体で、ある種影のようにこうだから。3月11日に(3月12日の間違いで、視察に)行ったこと、決して悪いことではないと思う。

 下村「ああ、視察にですね」

 姜尚中「ただそれを視察すること自体がね、そのあとのこれは安全だっていう発言は問題だと思いますけども、それは別にすればいいね。一心同体でいればいいわけだから、絶えず。だから、ちょっとやっぱ組織にまだまだ下村さんの役割がはっきりしていないんじゃないの?」

 姜尚中も大いなる勘違いをしている。安全ではないにも関わらず、「安全だ」と発言するのは合理的な状況判断能力、あるいは合理的な状況把握能力を欠いていることが原因しているからで、重大な資質の問題、能力の問題であるはずだが、その安全発言を「問題」だとしていながら、他にも問題発言は枚挙に暇はないのだから、菅仮免自身の資質・能力を問題だと把えるべきを、「それは別にすればいいね」と問題点から外して、「一心同体でいればいい」と訳の分からないことを言っている。

 殆んどの国民が国会中継のテレビ番組は見ないかもしれないし、国会中継の動画を用意しているHPにアクセスしてその動画を閲覧することはないかもしれないが、各テレビ局のニュースや報道番組で問題箇所だけを取上げた放送は多くの国民が見るだろうし、あるいは自然と見せさせられてしまうことによって、そのインパクトは下手な広報をたちまち帳消しして、政治家の資質や能力を曝け出すことになる一般的な情報伝達の経緯から見ても、やはり問題となっているのは常に能力・資質である。

 だが、下村も後藤も姜尚中もその認識がない。

 後藤謙次(菅仮免が視察時のヘリコプターの窓から下界を眺めているパネル写真を立てかけて)「さっきの映像出ているけど、これ、12日の、これ下村さんが撮影された?」

 下村「ま、そうですね」

 「ま、そうですね」の「ま」は明確な事実認定を避ける意識を伴わせた言葉である。菅仮免は撮影者は誰かと小野寺五典自民党議員に問い質されて、「えー、同行した官邸のスタッフ、うー…、だったと思います。シー」と誤魔化している。

 何らかの後ろめたさを抱えていなければ、両者とも明確に答えたはずだ。

 後藤謙次「映像ですね、広報担当としてですね、今の初動の問題、予算委員会の焦点になっているんですけども、広報担当として、どうしてこう行こう、あるいは菅さんのこうビヘイビア(行動・振る舞い)すべきだとっていうことを言ったことありますか」

 下村「ああ、この日のことが問題となっていることは論点が二つあると思う。先ずそもそも、なぜ菅さんが行ったのかという話と、で、2点目で、なぜそこに下村がいたのか、もっと一緒に来るべき人間がいたんじゃないかと。この2点が言われていますけども、今、2点目のお尋ねのことで言えば、まさに広報の仕事っていうのは、さっきVTRの中で私言ってましたけども、やっぱ、この国のトップが何をしているのか、ちょっとここからここまで視察なんでいなくなりますから、サヨナラと言うんじゃなくてね、ちゃんとそこに起きていることを見せるっていうのは、ホントーに本来の広報の仕事だと思うんですよ」

 背景に菅仮免のヘリコプター視察の映像を流している。ブルーの防災服を着て、窓から下を覗いている。

 下村「で、あのー、なんか菅直人という政治家のパフォーマンスビデオを撮りに行っているわけではないんで。あの、ですから、そこでもっとこういうビヘイビアをとかね、それは確かにリーダーたるもの、こういうときはこうしなきゃっていう文脈ではそのとおりなんですけど」

 背景の映像では菅仮免は防災服の上に自衛隊を着けている。
 
 下村「そういうことよりもやっぱり、ここでこういうことをやってきたんだ、というのを伝える。特にこの日に関しては、あの、メディアが一緒にヘリに乗れないという事情がありましたから、私が撮ったものを全部の放送局に帰ってきてすぐに分配したんです。

 で、みなさんがご覧になって違和感を感じたという感じたという方がいらっしゃいましたけれども、すべての方が見た、ニュースの映像、全部私が撮ったものなんで、そういう意味でも、国民に伝える役目はあの日も果たしていたなと思います」

 違和感を感じた者がいたなら、その違和感を問題とすべきを何ら問題としていない。

 ヘリコプターの窓際に座って、最初はブルーの防災服を着て、次は「隊長宮本」と右胸に名札を貼り付けた自衛隊の迷彩服をつけて被災地を遥か上空から見下ろす菅仮免の姿を写したのみで、そういった表面的な事実以外に一体何を伝えようとしたのだろうか。伝えるべき何か重要な発言はあったのだろうか。

 だが、番組は発言の一つも伝えていない。単にヘリコプターを使った視察という、新聞記事なら一行も必要ではない表面的な事実と一国のリーダーがヘリの窓から下界を覗いている、これまた表面的な事実しか伝わってこない。

 果して国民に伝えるべき中身を伴った情報だったのだろうか。遥か下界の被災地では建物の中や屋上に多くの被災者が取り残され、あるいは倒壊した家屋の下敷きになって息を引き取る瞬間を迎えていた被災者もいたに違いない。そういった悲惨な状況とは無関係に一本のビデオを撮影し、それを帰ってくるなりすべての放送局に分配し、それを放送したニュースは全部自分が撮影したものだと誇り、国民に伝える役目を果たしたと言っている。

 特に伝えるべき中身、伝えるべき情報もない一本のビデオということなら、「KAN-FULLブログ」に載せるためのプロモーションビデオと疑われても仕方はあるまい。

 大谷昭宏「あのよく分かんないのは、下村さんがね、野球のチームで言えば、球団広報なのか、監督、こういうふうにしましょうよと、あるいは選手にこういうふうにしましょうよと、コーチの役割をやっているのか、どっちなんだろうかと。

 つまり、総理、この段階で、やっぱり現地、例えあの(震災の)翌日であっても、とにかく飛びましょうというアドバイスをするのか、それとも球団広報があの球はこの辺に来たから、思い切って打ったんだとあとからコメントを出すのか、その役割がはっきりしないから、どういうスタンスで今下村さんが、おられるのかというのがどうも見えてこない。

 これ、どうなんですか。例えば菅さんが下村さんのアドバイスを、こういう言葉で喋りましょうと。ここはこういうフレーズがいいですよと、いうようなことがお聞きになってくれるところがあるんですか」

 下村「あの、まあ、そのどっちだと言われれば、両方ともやっているってところが、あの、ありますね。それで、ただやっぱり総理は、元々自分の言葉で発信してきた人だったんで、野党時代。 

 あの、(総理になって)色んなことに配慮しなければいけないっていう立場に立っちゃって。やっぱり凄く私から見ていても、もう30年くらいの付き合いですけれども、やっぱり凄く遠慮し、配慮し、考えながら発言している。

 で、その中でこういうことを言ったらどうですかと言うと、それはね、この点で難しいから、こういう表現でいくよと」

 「凄く遠慮し、配慮し、考えながら発言」しながら、不用意な発言、合理的判断能力を欠いた発言を繰返す。被災地の実態とはかけ離れた、あるいは世論調査に現れた国民の声とはかけ離れた、「国民から一定の評価を受けている」といった発言繰返す。

 大谷昭宏(感心したふうに)「あー」

 下村「それはね、見ていても、まあ、最終的には菅さんの判断ですから、私はそれよりは今は、ホントーに大きな問題だと思うのはやっぱり色んな各論が伝わっていないこと。これはやっぱり具体的にこの情報さえ知っていれば、日々の生活がちょっと楽になるっていうのは届けたいんですよね、やっぱり。

 あの威勢よく。例えばね、9・11のあと、瓦礫の上でブッシュ大統領が消防団と気勢を上げた。ああいうのとは違うタイプの発信をするリーダーなんだってことじゃないかと思うんです、今は」

 あくまでも勘違いのドンキホーテ状態に陥っている。「日々の生活がちょっと楽になる」情報は一時凌ぎの対症療法でしかない。避難所生活に於ける食事の問題、プライバシーの問題等に関して可能な限りの充実を図り、早期に仮設住宅生活ができるように政治の力を発揮することこそが被災者が必要としている原因療法であるはずだ。

 そこに向ける視点を持ち得ていない。ブッシュ大統領と比較した「違うタイプの発信をするリーダー」というのは理解不明だが、菅仮免はあくまでも菅仮免だということである。能力・資質という本質的な問題だから、菅は菅であることを免れることはできず、菅であり続ける。

 後藤謙次「それは下村さんの役割なんじゃないんですか」

 バカなことを言っている。菅は菅である以上、「違うタイプの発信」を心がけさせたとしても、菅の実体とはかけ離れたニセモノの発信としかならない。

 下村「そこで消防団と肩を組んでもいいんですよということを――」

 自身が情報操作を意図しようとしていることに気づかない。愚かな指導者に一生懸命豪華な服を着せようとしているみたいなことをしようとしていることだと。

 後藤謙次「初動の問題もありますけれども、下村さん、テレビの優れたジャーナリストとして、多分、我々が見えていないものも見えているはずなんですよね。国会の議論もなんか。何か隔靴掻痒だと。

 その下村さんがジャーナリストの目で見た、実はこの初動はこうだったんだっていうね、そういう発信をしてもらうとですね、また一つ我々多くの情報に触れると思うのですね」

 例え国会の議論が政策を掘り下げる議論だろうと政局の話だろうと、菅仮免の資質・能力がその答弁に等身大に現れる。自身の判断能力が言葉を紡ぐことになるからだ。第三者がその言葉を如何ように美しく仕立てようとしても、あるいは官僚が作った答弁どおりに答弁しようと、すべてをそれで間に合わせることができるわけではないから、いつかは判断を欠いた言葉が飛び出して資質・能力の程度を自ら暴露することになる。

 下村「それはね、多分もう間もなく、検証委員会みたいなものが立ち上がりますよね。そこであのときの初動はどうだったんだというのをやるでしょう。そこではもう、私も、あれだけ近くで見ていましたから、知っている限りのことを話そうと、思っています。解釈を交えずに。

 でも、今、内閣審議官という立場で、そういうことを言い始めると、内輪でもね、お前の責任だ、お前の責任だってなっちゃう。今、そういうことをやってる場合ではないと思う」

 見る目――洞察力や認識能力、判断能力を欠いていたなら、いくら近くで見ていたとしても、表面的な事実しか見えないことになる。下村ができることは多分、菅はあれをした、これをしたといった事実だけの説明で終わるに違いない。菅自身が自衛隊を10万人派遣した、警察も派遣した、消防も派遣したと、そのような事実を以て初動を十分に果たしとに言っているように。

 そこには自らが行ったことが被災地や被災者に対してどれ程の充足を与えたのかの視点がない。結果に対する視点である。自分たちがしたことだけを言い立てているに過ぎない。
 
 この発言の最後の責任論は、広報担当として支持率が上がるような菅直人像をつくり上げることができない苛立ちと焦りからのは発言であろう。あくまでもドンキホーテを演じている。

 視察に同行して、プロモーションビデオを撮り、視察から戻るや否や全放送局に持ち込むのが精々似合った仕事といったところなのだろう。その程度の広報担当で満足すべきだが、菅同様に自己省察能力を欠いているから、あくまでも有能なジャーナリストと自任し、こんなはずではないと焦ることになる。

 大谷昭宏「ただね、まだ50日しか経っていない。考えようによっては。と言うことはスタイルを変えていくことはいくらでもできると思うんですね。一国のリーダーがですね、一方的な会見は別にしてですよ、記者の質問を受けたのは一回なんですよ。帰りしなにただ戻ってきて、官邸でね、質問に一回答えただけ。

 少なくとも下村さんもジャーナリストとして、一国の総理が50日間急にやった記者会見は別にしてですよ、国民の前に受けたのは一回しかないこと――」

 下村「まあ、実際には会見のあとに、その場では答えてますよね。その場で」

 小宮山悦子「わけはなぜなのですか」

 下村「うーん、結局、そのー、直後はホントーに時間がなくて、バッタ、バッタで年がら年中走ってましたから、あのーその中でとにかく今は、集中させてということであって」

 菅仮免の記者会見を避ける傾向は震災以前からの現象であった。自身の支持率が低いのはマスコミが事実を事実どおりに情報発信せず、事実を曲げて発信するからだといった趣旨の発言をしている。

 姜尚中「ただね、我々のイメージでは菅さんが退路を断っていないというイメージがあるんですよね。だからね、慎重になるということは政権を維持したいわけだから、僕が思うに3月11日、来年でもう辞めますと、未曾有のこういう震災、大変な事態に自分はこれだけやったと言う自分が歴史に残るようなことをやっぱやれるわけだから、結局菅さんは慎重にやる。政権を維持したいという気持があるから、それがやっぱ伝わるわけですね。

 菅さんはやっぱ3月11日で辞めると、期限をつけると。その代わり協力して欲しいと。やっぱ退路を断っていない。だからリーダーというのは退路を断って、これはもう世界大戦に匹敵するぐらいのことなんだと。自分は3月11日で政治生命をすべて焼き尽くすと。これ死んでも言いぐらいのつもりでね、やろうとしているならば、やはり退路を断つべきだと思う。退路を断てば、必ず発言はできる。

 それからね、下村さんに言い憎いんだけども、僕も知っているけども、やっぱ伸子さんが出てきていない。やっぱ伸子さんはね、やっぱり菅総理大臣を支えるファーストレディでしょ。やっぱりこれは出てこなければいけないですよ。やっぱ出て、震災で、子どもをなくしたお母さんたちや色んな方々の手を取って、そしてやっぱ菅さんの声を伝えると。

 やっぱりね。この大震災が起きて、やっぱそれはできるはずだと思う」

 優れた助言だ。退路を断つということは「政治は結果責任」への追求であって、政権延命優先は退路を断つとは逆の「政治は結果責任」の放棄に当たる。

 すべては菅仮免の資質・能力から発している選択であって、政権延命に走っている以上、退路を断ては馬の耳に念仏の助言にしかならない。姜尚中にしても虚しいばかりのドンキホーテな助言をしたに過ぎない。

 また伸子夫人に依存するというのも、自身の資質・能力で勝負すべき政治の世界にあって情けないアドバイスでしかない。

 大谷昭宏「伸子夫人とお話になったことはあるんですか」

 下村「あります」

 大谷昭宏「で、例えば、ファーストレディとして、例えば、避難所とか、あるいは自衛隊の慰問だとか行く。助言されたことは、そういう動きを出したことはないですか」

 今必要としていることは全体の解決である。その場の一時的な解決ではない。当然、最終的には全体の解決が政府の評価を決する。広報の問題でも夫人がどこそこへ出かけるといった事柄で全体の解決を見るわけではない。

 下村「あのー、できる余力があったら、借りたいんですけども。ちょっと、ホントにそこまで手がまわらないって言うのが正直なところで。私はやるべきですよとは申し上げております」

 小賢しいばかりの伸子夫人が避難所に出かけて、被災者に「仮設住宅にはいつ入れるんですか」と聞かれた場合、どう答えるのだろうか。中にはきつい調子で、「いつまで待たせるんですか」と聞く被災者もいるかもしれない。そう聞かれても文句は言えない震災対応となっている。

 後藤謙次「あのー、下村さんのですね、審議官としての強みというのは私は二つあると思うんですよね。一つは菅さんから直に一本釣りされて官邸入りした。一つは下村さんの過去の実績。つまりご自身を含んで取材力があり、発信力があり、プレゼンテーション能力も極めて高い。

 これを活かさない手はないんじゃないか。今岡に上がったカッパのような状況じゃないんですか」

 下村「プレゼン力って、力(りょく)があるかどうか分かりませんけども、ただ、風評被害が広がらないようにね、あの、情報を正確にしていく努力は目に見えなくとも、一杯やっています。

 一個だけ明らかにさせてください。レベル7の話が急に出ましたよね。福島、ここになっちゃったといえば、うーわ、チェルノブイリ並みだと、大変だというふうになるわけですよね。このときに私たちが何をしたかというと、急いでホームページにこういう表を出しました。

 (それぞれに別の表を描いた二枚のフリップ出す。)

 つまり、あの放射線量、排出量でグラフを見ると、今下がゼロで、レベル1からレベル6までがここですと。これから上が全部レベル7ですと。

 チェルノブイリがここで、福島がここですと。こういう表の出し方をすると、同じ行の幅でレベルを書くと、一緒のレベルに見えるけれども、(福島とチェルノブイリでは)随分違うと視覚的に分かる」

 要するにチェルノブイリのレベル7と福島のレベル7は違うから安心しろの情報発信ということなのだろうが、例え「原発周辺は10年20年住めない」が菅仮免の発言ではなく、松本健一内閣官房参与の発言であったとしても、その発言が帳消ししている福島とチェルノブイリの違いでしかないだろう。

 後藤謙次「下村さんがホームページといったんですけど、今度震災で非常に新聞が見直されてるんですね。特に地元紙、海岸沿いに随分専売所が流されてしまったんですけども、この地方紙がある意味避難所配られていって、新潟の避難所にもある。そこで辛うじてコミュニティを守っている」

 下村「地方紙にも一生懸命広告を打っていますし、これ本当に不思議なんですけど、ホームページは震災翌日にやろうって言って、特別ページを立ち上げてから、おとといまで6千万アクセス超えてるんですよ」

 後藤謙次「ただ電源が落ちたり、お年寄りが使えない人たちが見れないという――」

 下村「そうそう、その人たちのためにこの壁新聞も貼っているわけですよ」

 だが、ホームページも壁新聞も菅仮免自身の場当たり、無責任、その場限りといった能力・資質が発信する情報に当然のことながら打ち勝つことができないでいる。

 後藤謙次「なるべくね、私はね菅さんがね、下村さんの直接なメッセージを直に届けるっていうことがある面で非常に・・・」

 小宮山悦子「・・・(?)が強いんじゃないですか」

 大谷昭宏「例えば政府がですね、海外メディアに今回の支援のお礼を有料広告に出しましたよね。そしたら海外メディアが40社が無料で出しましょうと、日本からのお礼なんだからと言って、官邸に。

 それこそアメリカからイギリスから全部タダで日本からのメッセージを載せてくれると。それがこんな小っちゃな(と指で小さな様子をつくり)記事にしか出ていないんですよ。何でもっと上手にやら――」

 下村「まさにそこが難しいんですけど、こんなにやってるっていう、今日もちょっと喋りながら、あー、厭だなあって思うんだけど、不満とか言い訳に来る場合じゃないですよ、今は」

 後藤謙次「そうです、そうです」

 日本政府の礼を大々的な記事にして、被災者の困窮の足しになるとでも思っているのだろうか。何が問題となっているのか認識することも把握することもできずにつまらないことを論じている。

 下村「ホントーに淡々と必要な情報を出していくっていうのが菅さんも私も方針なんですよ」

 何が問題となっているのかを見抜く目がなければ、何が必要な情報かも見抜くことはできない。

 小宮山悦子「その淡々とっていうのはどうなんでしょうか」

 下村「必要な人に届けばっていう――」

 小宮山悦子「ちょっと足りないんじゃないでしょうかね」

 姜尚中「下村さんにね、一番こう、図で分かるやつを、枝野さん使わないんでしょうかね」

 下村「アー、伝えます」

 記者会見で放射能線量等を伝える場合、図を使えば理解しやすくなるというアドバイスなのだろうが、そういった問題ではない。解決できない問題、菅仮免自身の資質・能力の問題である。

 姜尚中「やっぱりね、枝野さんがフリップを使う。用意してくれたものでいいと思います。カラーポイントを使う。それは下村さんが一番よく知ってらっしゃるし、全然、あのー、保安の方も、やっぱね、あれは理科の実験をレクチャーしている」

 大谷昭宏「逆にね、内閣の中におられるんだったら、内閣、政府の広報だけじゃなくて、今保安院から東電からですね、あらゆるところが記者会見してますね。下村さん、テレビの人間がおられるんだったら、毎回、私が保安院と東電とテレビと散々文句言ったんだけど、プレスの記者相手にお配りしたリリースの3ページを見てください。そのときにテレビは生中継やってるんですよ。なんだろう、これは」

 小宮山悦子「一度打ち切りましたね」

 大谷昭宏「もうやめちゃおうと。だって、テレビの視聴者、3ページ持っていないんですよ」

 後藤謙次「下村さんにお願いがあるんですが。菅さんに非常に頻繁にお会いになられるということで、指揮官ですね、情報の入らない孤独さに耐えなければいけないっていう要件もあるんですね。あまり情報を取り過ぎたり、あまり多くの情報になると、判断が迷ってしまうと。少ない情報をなるべく厳選して、イエスかノーか、右か左か選んで欲しいと。

 そういう態勢を是非下村さんから進言してもらって――」

 役立たせることができるタマではあるまい、菅仮免は。

 下村「そういう意味で言うと、菅がかなり大事にしているのは、直接被災した方の情報を聞きたいと。だからね、ああやって『もう帰るのか』って(避難所の被災者に)言われると、取り巻きは一瞬立ち止まって迷っても、菅さんは自分でスタスタと戻るんですよ。

 で、とにかく私も広報と同時に広聴(こうちょう)、広く聴く、これホントーにやらなければならないと思ってますんで。まだこれから凄く長丁場ですから」

 避難所にわざわざ視察して、そこで生活している被災者全員に声を掛けて激励する形式の視察ではなく、十数人にのみ個人的に話しただけで避難所から立ち去ろうとしたことからの「もう帰るんですか」であって、その対応自体に菅仮免の資質・能力が現れていることを問題とすべきを都合のいい方に解釈している。

 小宮山悦子「そうですね」

 下村「この中で本当にまともな態勢にしていきたいと、ホントーに思っております」

 後藤謙次「是非やってください。よろしく(?)お伝えください」

 小宮山悦子「少しお休みした方がいいですよ。あんまりお痩せになられないで、少し距離を置いて見るってことも大事なことだと思いますので、是非」

 下村「そうですけどね、あの、南三陸町の役場の広報のね、未希さん(「早く高台に避難してください」と広報で伝え続けて、自身は津波に呑まれ、一昨日だかに遺体が発見された遠藤未希(24)さん)が最後まで広報でね、逃げろって言い続けて、呑まれて行方不明になってしまう。やっぱね、今、我々がホントーに伝え続けなければならないと思う」

 菅仮免の実体とは違うことを伝えようとしているに過ぎない。

 小宮山悦子「その思いは本当によく分かりますが、あの長丁場ですので、焦らないように頑張ってください」

 下村「今日あったことは総理に絶対伝えます」(以上)

 下村本人だけでなく、コメンテーターとして出席していた有識者全員が問題がどこにあるのか把握しないままの、あるいは認識しないままの情報発信論となっていた。当然、“1mの距離から見た菅総理の素顔”など見えてくるはずはない。

 問題がどこにあるか見抜けないドンキホーテは下村健一だけではないと言うこともできる。


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