森本防衛相の国家意志の下僕となったオスプレイ緊急着陸に関わる事実の歪曲

2012-09-14 04:49:09 | Weblog

 沖縄米軍アメリカ軍普天間基地配備計画の最新型輸送機オスプレイが9月6日夜、米南部ノースカロライナ州基地から5キロ離れた市街地のレストランや教会の裏の空き地に緊急着陸した。

 原因は米海兵隊がNHKの問い合わせに対して、「飛行中に操縦席内の計器が直ちに基地に戻るよう求める警告の表示を示したため、パイロットの判断で、安全を最優先に、あくまでも予防的な着陸を行った」と説明したという。

 計器は5キロ先の緊急の基地帰還を指示していたが、パイロットの判断は、要するに実際の操縦の具合から5キロ飛行する余裕を感じることができなくて、市街地ではあったが、着陸可能な空き地を発見して緊急着陸の安全性を最優先したということになる。

 このこと自体が機体のどこかに異変が生じていたことを示しているが、計器が緊急の基地帰還の警告表示を出したことそのものが既に機体に異変があったことの反応でなければならない。

 では、どのような異変なのか、次の記事が伝えているが、直接的な関係者の「原因は調査中」だとしている発言も紹介している。

 《オスプレイ:「エンジン出火」海兵隊筋が証言》沖縄タイムズ/2012年9月9日 09時47分)

 沖縄タイムスの取材に対して複数の海兵隊筋が証言したという。

 海兵隊筋「エンジンから出火したため、すぐに着陸する必要があった。事故につながる可能性もあったが、操縦士の適切な判断で着陸できたため、機体に損傷もなかった」

 2010年のアフガニスタン墜落事故調査委員長を務めたドン・ハーベル元空軍准将。

 ドン・ハーベル元空軍准将「計器(異常)の点検など、危険性の低い予防着陸の場合は、基地への帰還が可能だ。

 緊急着陸が必要となる原因は、出火またはエンジン故障のいずれかだ。今回は、基地が目前にあるにもかかわらず、住宅地の空き地に着陸していることから、二つのエンジンが故障した可能性もある」

 米国防総省国防分析研究所(IDA)アーサー・リボロ元主任分析官は、オスプレイのフライトマニュアルの「予防着陸」には三つのケースが明記されていると指摘。

 アーサー・リボロ元主任分析官「(今回のケースは)安全上の懸念が伴うもので、近くの畑や道路、校庭などにできるだけ早く着陸する(ケース)。

 米本土の基地と立地条件の違う普天間飛行場周辺で、こうした緊急着陸の場は確保されているのだろうか」

 ウルフ米海兵隊司令部広報官(大尉)(沖縄タイムズに対して)「今回の緊急着陸は、できるだけ早く基地に帰還する必要を促す警告表示が点灯したため、安全を優先し、予防的措置として空き地へ着陸した。原因は調査中。

 (緊急着陸の回数などデータの開示には)そのような統計はない」

 米海兵隊司令部広報官は「原因は調査中」と言って、未だ不明の状態にあるとしているのに対して、複数の海兵隊筋は原因はエンジン出火だと証言している。

 どちらが事実を証言しているのか分からないが、何らかの機体の異変を原因としていることは否定することはできない。

 9月11日、沖縄県を訪れた森本防衛相が、その原因を仲井真沖縄県知事に伝えた。《オスプレイ緊急着陸 車の不具合と同じ 防衛相》沖縄タイムズ/2012年9月12日 10時05分)

 原因は熱交換機からの油漏れだと伝えたという。

 森本防衛相「車を運転するときに、警告灯がついたので道の脇に止めてチェックしたことは、必ずしも事故と言わないのと同じようなもの」

 仲井真知事「熱交換機がオーバーヒートというのは大変だ。そうは、軽くない」

 森本防衛相「軽くはないが、事故とはいえない」

 森本防衛相は仲井真知事と会談後、佐喜真淳宜野湾市長と面談。終了後、記者会見に応じている。

 記者の質問とその質問に対する森本防衛相の発言は、《緊急着陸は「自転車の押し歩き」 森本防衛相》沖縄タイムズ/2012年9月12日 10時42分)に依る。

 記者「緊急着陸は車を路肩に止めて調子をみるようなものだと発言した」

 森本防衛相「自転車に乗っていて、ちょっと天候が悪くスリップがしやすいときには、自転車を降りて押して歩く。そういう措置をわれわれは日常生活の中でやっている。それを事故とは言わない」

 記者団に語ったこの発言をその場で直接聞いたのか、あとから聞いたのか分からないが、佐喜真淳宜野湾市長が次のように発言してる。

 前の記事から。

 佐喜真宜野湾市長「自転車と違ってオスプレイは万一、事故、不時着が起これば大惨事につながりかねず、自転車と例えるとはいかがなものか」・・・・・

  森本防衛相は熱交換機からの油漏れを原因としたオスプレイの緊急着陸を、「車を運転するときに、警告灯がついたので道の脇に止めてチェックしたことは、必ずしも事故と言わないのと同じようなもの」だと譬えた。

 確かに車のそのような場面は「必ずしも」どころか、全然「事故と言わない」

 だが、果たして結果は常に車と同様の場面を迎える得るという保証をオスプレイの緊急着陸に与えることができるだろうか。

 停車を必要とし、それが可能な車の不具合、あるいは故障の場合、点検するための停車地を、「道の脇」等、地面続きでどこにでも確保できる。

 だが、飛行機やヘリコプターが緊急着陸を必要とする、熱交換機からの油漏れ等の機械の不具合、故障、いわば機体の異変が生じた場合、緊急着陸地を空中続きでどこにでも確保できる保証を常に背負っているわけではない。

 緊急着陸を必要とするということは直ちに着陸しなければならない機体の状況にあるということだろうから、時には緊急着陸に適当な空き地を見つけることができなくて、民家に突っ込んだりする場合もある。

 今回の緊急着陸が事故ではなくても、車の警告灯がついたのとは違って、簡単に事故に変わり得るということである。

 このことを無視して、車の事故ではない譬えを持ち出して、オスプレイを同列に扱う強弁を働かせている。

 この強弁は事実の歪曲そのものである。

 自転車の“押し歩き”の譬えも事実の歪曲そのものである。決して自転車の“押し歩き”程には些細な出来事であるはずはないにも関わらず、自転車の“押し歩き”という、「事故とは言わない」些細な出来事を譬えに持ってきて、オスプレイの緊急着陸まで、「事故とは言わない」些細な出来事と思わせる狡猾な牽強付会を演じているが、事実の歪曲なくして成り立たない牽強付会の譬えであろう。

 自転車の“押し歩き”という「措置をわれわれは日常生活の中でやっている」とまで言って、オスプレイの緊急着陸を平穏無事なことのように思わせようとしている。

 森本防衛相はなぜこのような強弁、牽強付会の事実の歪曲を働いてまでして、オスプレイの緊急着陸を事故ではない、些細な出来事と思わせようとするのだろうか。

 答は一つ。配備を既成事実としたいがための国家意志優先が働いているからだろう。

 配備を既成事実とするためには事故や故障を小さく見せなければならない。

 民間人であったが、防衛相に就任してから、国家意志の下僕(しもべ)と化した。

 評論家だけあって、言葉の使い方、譬えは巧みだが、事実を歪曲してまで国家意志を通そうとする狡猾さは卑怯であり、下劣である。

コメント (1)
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