任命責任者安倍晋三の国民の目から隠す徳田政務官採用と辞表受理判断の説明責任回避

2013-02-05 11:24:46 | Weblog

 ――安倍晋三は徳田政務官採用判断と辞表受理判断の妥当性を辞任理由明確化の上証明する説明責任を負う――

 よく分からないことが多い。復興庁政務官を兼務する徳田毅国交省政務官が女性問題で2月3日夜、自ら辞任申し出を行い、翌日4日午前中に辞表提出、即受理されたということだが、そのあまりのスピード処理からすると、かなり重大な罪に相当する女性問題のようにも思えるが、にも関わらず、その事実内容を本人は明らかにしていない。

 過去の女性問題だと伝えている記事もある。

 この過去がどのくらい遡った過去なのか分からないが、過ぎ去ったという意味の過去と解釈すると、過去の女性問題に関わる責任をいつまでも引きずらなければならないわけではないから、スピード辞任劇が不可解な側面を持つことになる。

 いつまでも引きずって、ついて回るとしたら、昨年の2012年7月に6年遡る2006年の高級クラブ女性との不倫を週刊誌に報道された橋下徹大阪市長などは徳田政務官に習って大阪市長を辞任しなければならなかったはずだ。

 だが、無事生き残っている。

 考えられることは殆どの記事が憶測しているように、第一次安倍内閣が複数の閣僚の不祥事や不適切発言等のスキャンダルと安倍自身のその対応のまずさから支持率を下げていき、2007年7月の参院選で歴史的大敗、国会運営に支障をきたして遂には病気を理由に自ら首相の座を投げ出した苦過ぎる過去を学習・反省して、まもなく始まる国会審議での追及を避けるために内閣運営の障害物可能性を早めに取り去ったということなのかもしれない。

 しかし、そういった事情で辞表を受理したからといって、全ての問題が片付くわけではない。辞表を受理したということは、任命責任者の安倍晋三自身が徳田議員の過去の女性関係を、例え過去のことでも、現在の政務官としての職務に、人格上の観点からなのかどうか分からないが、関係してくる至って不適切な問題だと、一方では判断していなければならないからだ。

 つまり、安倍晋三が任命責任者として一度は徳田議員を復興庁政務官兼務の国交省政務官に採用しているということは人物を見込んだ上でのことだろうから、内閣運営の障害物可能性の早々の除去のみを理由とした辞表受理ではあってはならないということである。

 当然、安倍首相の徳田議員に対する人物評価に関わる採用の判断と、採用の判断に反した辞表受理判断が妥当かどうか、国民に説明する責任を負うはずだ。

 国民が安倍首相の判断の妥当性を判断するためには徳田議員の女性問題を詳しく知る不必要が生じる。どんな女性関係だったのか、どんな女性問題だったのか、スキャンダルと言っていい人格に関わる問題だったのか、徳田議員自身が記者会見か国会で説明責任を果たすことによって知り得る情報から、国民は安倍首相の採用と辞表受理の判断との比較で、その妥当性を推し量ることが初めてできることになる。

 では、政府はどういった対応を取るつもりでいるのか次の記事で見てみる。《徳田氏辞任 過去の反省踏まえ対応》NHK NEWS WEB/2013年2月4日 18時53分)

 この記事も過去の反省からの対応として把えているが、過去の反省からのみの辞表受理など前代未聞で、あっていい訳はない。あくまでも個別に判断しなければならない問題のはずである。

 2月4日午前の記者会見。

 菅官房長官「大変残念だ。国政の遂行に支障が生じないよう、後任の任命を速やかに行って責任を果たしていきたい。対象を数人に絞っており、国土交通行政と震災復興に力を発揮できる人という考え方で選考している。

 (辞任を直ちに認めたことについて)政権を遂行していくうえで、必要な判断をできるだけ早くしていくのが政権の役割であり、安倍総理大臣もさまざまな反省のうえに立って今度の決断をしたのだろう」

 記者「徳田政務官は、議員辞職する必要はないのか」

 菅官房長官「私が今、概略の報告を受けていることから判断すると、必要ないだろうと思っている」――

 徳田毅国交省政務官(コメント)「一身上の都合で政務官を辞任した。問題の内容については、相手との関係で明らかにすることができないが、私自身の問題で内閣に迷惑をかけたくないと考え、辞任を決意した。経済再生と被災地の復興に向け始動したやさきに、国民の皆様、政府や党の関係者に大変ご迷惑をおかけすることになり、心よりおわび申し上げる」――

 菅官房長官の発言は政権遂行上の障害としないための辞表受理という点のみは理解できるが、それだけでは肝心要としなければならない任命責任者の安倍晋三の徳田氏政務官採用の判断とスピード辞表受理の判断の妥当性を国民は判断しようがないし、徳田氏の辞表提出理由が「相手との関係で明らかにすることができない」では、安倍首相の任命責任と徳田氏の辞任との整合性が理解不能のまま終わることになって、このまま片付けるのなら、任命責任者安倍晋三の国民の目に事実を隠す説明責任回避を策しているとしか思えない。

 また、菅官房長官は議員辞職の必要はないと言っているが、安倍政権が一方的に言っていることで、国民の側からしたら、議員辞職しなくていいのか、議員辞職までいくべきなのかの判断材料を一切持たない状態なのだから、採用判断と辞表受理判断をも含めて、国民の与り知らない所で行われる、情報の多くを隠した、あるいは説明責任を省いた密室辞任劇となる。

 このことも問題だが、国民を与り知らない状態に置くこと自体が一種の情報遮断、あるいは情報操作、さらにあるいは情報隠蔽に当たるはずだ。

 菅政権は福島第一原発の放射性物質拡散に関わる情報を発表しない情報遮断や、情報を隠す情報隠蔽、政権に都合のいいように情報を操作する情報操作等々を犯してきた。

 安倍政権になっても、情報に関わる様々な処理に関して期待できないことになる。

 記事は主だった人物の発言を伝えている。

 太田国交相「昨夜、電話をもらい、徳田国土交通政務官から辞任したい旨の報告があったが、夜ということもあったので『また、あすにでも』という話をした。はっきりと辞任するということではなかったと記憶しているが、辞表の届けを出したということなので、私としてはそれを受け止めたい。国土交通省としては、国土交通行政に遅れが出ないようしっかり進めていきたい」

 石破自民党幹事長「徳田政務官としては、内閣や自民党にいささかなりとも迷惑がかかってはならないということで、早い決断をしたのではないか。政権に与える影響が全くないかと言えばそうではないが、最小限にとどめることが必要だ」

 漆原公明党国会対策委員長「理由は詳しく聞いていないが、内容によっては厳しく問われることがあるかもしれない。政府は、仲間意識や温情で対応するのではなく、国民の視点に立って、素早く処理することが大事だ。相当前の話が原因のようだが、その事実を知りながら政務官に任命したのかどうかも、衆議院の予算委員会などで話題になるだろう」

 与党関係者のうち前二者は任命責任者としての安倍晋三の徳田氏政務官採用判断と辞表受理判断に触れていない。当然のことだが、漆原国対委員長のみが徳田氏政務官採用判断に触れているが、安倍晋三の辞表受理判断には触れない片手落ちを犯している。

 細野民主党幹事長「ニュースで流れているのは速報で見たが、全くどういう状況なのか分からないので、今の段階ではコメントしかねる」

 「全くどういう状況なのか分からない」からこそ、どういった経緯で2012年12月26日第二次安倍内閣発足から1カ月そこそこで自らが採用した政務官を辞任させなければならないのか、その状況を知るために任命責任者たる安倍首相の説明責任、辞表提出の徳田議員に説明責任を求めなければならない立場にありながら、「今の段階ではコメントしかねる」などと、この程度の咄嗟の判断しかできないようだ。

 「詳しい説明責任が必要だ」の一言ぐらい言えないのだろうか。

 共産・市田書記局長「事実関係は詳しく掌握していないが、みずから辞任を申し出て、それが受理されたということは、『任にふさわしくない』という事実を、政府としてもつかんだからではないか。政府にしてみれば、『はやくシッポを切っておこう』ということではないか」

 過去の反省を主たる動機とした、第一次安倍内閣失態の二の舞を避ける理由からの早手回しの辞任劇ということなら、まさしく市田氏が言っているように、トカゲのシッポ切りということになる。

 実際にトカゲのシッポ切りかどうかの判断に資するためと、どのような女性問題だったのか、徳田氏自身が説明責任を果たすことによって可能となる彼自身の辞任の妥当性に対する判断材料の提供と、その判断材料から得ることができる国民の判断との比較で、安倍晋三の任命責任者としての徳田氏政務官採用判断と辞表受理判断の妥当性を国民が判断できる説明責任を果たさなければならないことは改めてここで繰返す。

 内閣総理大臣の任命責任に関わる問題である。如何なる情報操作も許してはならない。少しの情報操作でも許した場合、放射性物質拡散といった重大な緊急事態に於いても国民の生命を無視した情報操作・情報隠蔽・情報遮断が引き起こされることになる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする